第24話 8月30日金曜日 【はるか】
ディアファンさん、お帰りなさい!
ほんのひと月だったのに、とても長いことお話しができていないような気分でした。
交換日記を再開できて本当に嬉しいです。
さて、奈穂美に紹介するという件ですが、ディアファンさんの言葉をそのまま伝えました。
彼女は確かにその通りだと言って感謝していました。
なぜ一人だと思ったのだろうと反省もしていましたし、さっそく校長先生にも相談すると言っています。
的確なアドバイスをいただきありがとうございました。
そしてニュースです。
といってもきっとディアファンさんは知っていたのでしょう?
あなたの言う通り、私が勤める小学校が選ばれました。
でも私が担任をしている学年ではなかったです。
出雲に暮らす透明な子は6年生と4年生なんですね。
9月からすぐに転入する予定らしく、学校では連日職員会議が開催されています。
見えない子を守る方法とか、制服をどうするかとか。
この時期になって今更感が拭えません。
ディアファンさんは決まりましたか?
会いたいっていうのは変ですが、直接言葉でお礼が言いたいという私の希望はまだかなっていませんから、どちらだったとしても一度お時間は下さいね。
制服の件ですが、ディアファンさんはどう思いますか?
私は千葉で見た状況を会議で話してみましたが、賛否両論というところです。
ヴィレッジというか転入する子の保護者に聞いてみるべきだとも言ってみましたが、果たして実行されるのかどうか……
私なりに考えてみたのですが、透明な子は透明のままで良いのではないでしょうか。
自分の個性を台無しにしてまでこちらの都合に合わせる必要は無いのではないかなと思うのです。
でも危険や急病などには備える必要がありますから、透明な大人が常に付き添っているというのが良いんじゃないかなって思うのです。
きっと私と同じことを考えた人もいて、だからこその巡回員制度なのかなとも考えたりしています。
でもこれだと廊下とかで気付かずに誰かとぶつかったりする危険はありますよね……
その度に透明な大人が盾になるというのも違うような気がしますし。
どういう形が理想なのでしょう。
きっとディアファンさん達は「今まで通り」が良いとお考えでしょうね。
こちら側の、ましてや人気取りの道具のようにされるのはきっと不本意でしょう?
どうするべきなのでしょうね。
前回お手紙でも書きましたが、日本以外の国ではどのようにしているのですか?
やっぱり同じ学校に通わせているのですか?
そもそも学校に通う必要があるなら、いつでも勝手にいけるでしょ?
わざわざ「この学校に入学しろ」なんて決められるのって迷惑でしかないですよね?
でもね、ディアファンさん。
私たち教師は一生懸命に考えています。
どうすれば少しでも不安を取り除いてあげられるのか。
どういう方法なら安全を確保してあげられるのか。
授業の内容を変えることはできませんが、ほんのちょっとでも興味を持てるような内容にしたいと思っているのです。
何年かして「あの学校に行って良かった」と思ってもらいたいじゃないですか。
透明な子と不透明な子が「友達になる」って素敵ですよね?
私とディアファンさんが仲良くなれたのと同じように、話し合える関係を知ってほしいと思っています。
できることは本当に少なくて、むしろできないことばかりではありますが、それでも頑張ろうと思っていることは是非わかってほしいと思います。
明日の会議でもう一度話してみますね。
もし私を通して伝えたいことがあるなら書いておいてください。
頑張ってみますから。
最後になりましたが、お土産をありがとうございました。
私ったら気が利かなくて、何も用意していなくて恥ずかしいです。
ではまた。
交換日記が再開できて本当に嬉しいって思っています。
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