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     三人称の男視点、と神視点で書かれた文体かと思ったのですが、物語のはじめの方、( )部分では砂漠を歩く男を上から見ている人物の心の声と考えられる一人称の書き方がされています。つまり、空から砂漠の様子をみている人物の、一人称視点で書かれているともいえます。
     男は白装束を着ているので亡者であり、上から見ているのは神様、あるいは、お釈迦様の可能性もありえる。焦熱地獄、炎熱地獄を彷徨っていたのかもしれません。
     この物語は、詩的な表現と五感、比喩、オノマトペ、形容詞や形容動詞、時間経過を使いながら、砂漠の厳しい環境と男の孤独感、生と死、絶望と希望、自然との関わりを詳細に描いています。
     書き出しが砂漠からはじまるのは、良かったと思います。
     テーマ「雨」は男の絶望的状況を一変させる象徴として、終盤で効果的に描かれています。雨が降りだした展開は読者に強い印象を与え、その雨が男の命を奪う結末は、人間の運命や自然の力を象徴していると考えられます。
     言葉の重複を感じる部分を詩的として捉えるかどうか。また、比喩の用い方が作品に適しているかどうか。男がどれほどの時間、砂漠を歩いてきたか。目的地は? 雨によって溺れ死んだかどうか。その表現は適切かどうか、といったところが気になりました。
    「砂はポップコーンになってもおかしくないぐらい熱く」では、熱で爆ぜるイメージから、男にまだ元気が残されているようにも感じます。「元気だった頃の残り香で、ふらつきながらも前に進んでいる」では、以前の元気を失って現在は力尽きている状態を描写しています。砂漠の暑さと男の状態の対比を表現しようとしているものの、作品に適した比喩なのか、若干の逡巡をおぼえます。残り香は良かったです。
     男がサソリを踏む場面は、非常に強い衝撃があります。その場面が物語全体のテーマやメッセージにどう関連しているのだろう。
     サソリは人間の内面や性格の一側面を象徴的に表している、と考えました。つまり、サソリは男そのものを喩えているのでしょう。
     不意に空から現れた力(男の左足)によって命を奪われる。そんな男も、不意に空から降り出した雨に命を奪われる。これから起こることを、暗示させたかったのかもしれない。
     あるいは、空から様子を伺っていた本作の主人公と思しき「僕」は読者を意味しており、わたしたちも、いつ災難が降りかかって命を落とすかわからないといった教訓にしたいのでは、と邪推します。
     そう考えたとき、男がサソリを踏み潰し「両の掌でつくった祭壇の上に乗せ」涙し「あぁ、」と言葉を漏らしたように、ラストで男が死んだとき、読者も言葉を漏らして泣いてほしいのかもしれない。
     わたしたちにとって、雨はときに恵みであり災難をもたらす。そんなことを描いた作品かもしれない。読後、タイトルを見ながら思いました。

    作者からの返信

     応援コメントありがとうございます。snowdorpさんは以前から私の作品にハートをつけてくださったりしていただいて嬉しく思っていましたし、何より創作論、読ませていただいていました。今回感想とアドバイスを頂けて本当にうれしいです。
     展開やメタファー、暗示について褒めていただけて光栄です。
     私は普段、読者に対して自分に見えている世界のどこを見せてどこを見せないか、ということを意識しているように思います。今回の様な、半分現実で、半分現実でないような世界を描く時には特にそうです。なぜならば小説は創作である以上言ってしまえば嘘であり、それを無理やりに現実世界のものとして見せようとする努力が見えると読者は冷めてしまうのではないかと危惧しているからです。ですので、無駄にリアリズムを突き詰めてしまうよりかは、説明しきれない、辻褄を合わせられない部分というのを、隠して、ある意味では読者に委ねてしまっています。
    これが、私の技量不足故の、気になる部分はとりあえずそのままにしておいて、不思議な世界だと思って見てくれないか、という哀願でもあるかもしれないということは、悔しいですが可能性の一つとしてあります。頑張ります。
    言葉の重複については、没入感を誘うという目的で、リズミカルな文体によるグルーヴを生み出せるような方法として用いました。自分なりの詩的な表現や比喩も、不思議な世界への没入の手助けとして使用しました。一人称、三人称の視点の揺れも相まってある程度不思議な感覚をある程度読者に与えられたのではないかと思っています。
    ご指摘いただいた比喩の部分についてですが、男の描写にも影響を与えてしまうという点、私もここは気になっていました。ポップコーンの持つ弾けるような元気さのイメージによって、無邪気に暴力的な自然、その雰囲気を少々加えたかったのですが、もう少しいい表現があるよな、とたしかに引っ掛かります。現在さいかわ水無月賞に出させていただいている作品ですので、その企画が終わりましたら随時再考していきたいと思います。
    今後もっとたくさん面白い作品を発表して、snowdropさんも驚かせられるよう頑張ります。ぜひ今後とも、よろしくお願い致します。

    編集済
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    絵面がダイナミックなのに、実は細部の描写が簡潔・丁寧でそちらのイメージもすぐ頭の中に浮かぶという、稀有な事をされてますね!
    ちょっと真似できないので羨ましいです。

    なんだか夢十夜みたいな感じがして好きです。
    読み終わった後に、「とほほ、もう、懲り懲りだよ~」という幻聴とアイリスアウトが見えた気がしましたw

    作者からの返信

    コメントありがとうございます。過不足ないカメラワークを褒めていただき光栄です。
    特に意識はしていませんでしたがたしかに夢幻物っぽいので、夢十夜のようと言っていただけてとても嬉しいです。
    あの演出アイリスアウトって言うんですね。かっこいくてかわいくて、いい言葉ですね。
    ぜひ今後とも、よろしくお願い致します。

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    石田くんさま

    こんにちは。

    文章にリズム感があって、斜に構えたような、でも大真面目なような、不思議な読み心地でした。こういうの、いいですね。

    理屈じゃなく、感覚で楽しめって言われているような気持ちになりました。

    素敵な作品でした。ありがとうございます。

    作者からの返信

    ありがとうございます。
    私も感覚で必死に書いたので、その雰囲気を感じ取っていただけたこと、嬉しいです。
    励みになります。
    今後ともぜひよろしくお願い致します。

  • への応援コメント

    地の文の描写が個性的で惹かれました。
    ポップコーン、フレームイン、水滴が恋人のように、ほとんど死んだ。
    こういう文章を私も書いてみたいなぁと思いました……!(*´ω`*)
    石田くんさん、ありがとうございました。

    作者からの返信

    ありがとうございます。
    励みになります。
    奔放に書いたので読めたものか不安だったのですが、今回は却ってそれがよかったかもしれません。
    今後とも引き続き、よろしくお願い致します。
    環さんの作品も読ませていただきますね。