~夏~(『夢時代』より)
天川裕司
~夏~(『夢時代』より)
~夏~
…ミーン、ミーン、ミーン、ミンミンミンミー…、ジ、ジ、ジ、…クルッ、ワッ、クルッワッ、キュルキュル、キュル、ワ――あああ…。。。「明日(あす)の晴れ間に神秘(ふしぎ)に連なる無数の家屋は孤独に捕まり、一女(おんな)の孤独をひょいと絡めた無言の自然(あるじ)は自己(おのれ)を迷わせ私闘(しとう)を昇(たか)めて、明日(あす)の孤独を蹂躙して生く夏の真夜(しんや)へ放浪して行く…」。苦労の絶えない無心(むしん)の共鳴(さけび)は幻(ゆめ)の孤独と相成(あいな)り発狂(くる)い、虫の居場所を彼処(かしこ)へ追い遣る無数の日(ひ)の掌(て)を群像(むれ)に染め活き、葛藤して生く自体(おのれ)の〝生(せい)〟には、夏虫(むし)の報せがぽんと浮んだ…。堂々足るまま向きを報せる微弱(よわ)い空気(しとね)に生気を揮わせ、分厚(あつ)い夏場を驕り高ぶる羽虫(はむし)の小声(こえ)から気高さなど観て、小鳥に囀る〝今日の小声(こえ)〟には一人(ひと)の生気が謳歌され活き、一幻(ゆめ)の生憶(きおく)に自体(おのれ)が活き生く無謀の広さを宙(そら)で埋め得た…。一人(ひと)の寝床から居間に湧き出て幻視(ゆめ)に翻(かえ)れる夢想の一光(ひかり)は現代人(ひと)の常識(かたち)を軽く飛び越え、幻(ゆめ)の身軽に傾聴して行く孤高の遊離に臨散(りんさん)して生く。一人(ひと)の両瞼(まぶた)は「夏」を観ながら冬に跨げる感覚(いしき)を追いつつ夢想の広さを時系に拾わす〝白紙・遊戯〟の後光(ひかり)を紐解き、一人(ひと)の幼稚を皆殺しにする羽虫(はむし)の努力(ちから)に幸(こう)を見ながら、自体(おのれ)の規矩から無倣(むほう)を招ける孤高の賛辞を捏造して生く…。
一夏(なつ)の火蓋に幻想(ゆめ)が顕れ、自己(おのれ)の未知から自来(じらい)が傾く夜半(よわ)の鈍(くもり)が俄かに跳び去り、一幻(ゆめ)の虚無から〝孤高〟が逃げ生く羽虫(はむし)の界(かい)にて未踏(みとう)が萎え活き、無想の生憶(きおく)に暴挙が二重(かさ)なる普遍の晴嵐(あらし)に「夏」を観て居た。孤独の初夏(なつ)から無応(むおう)の晩夏(なつ)へと、幻覚(ゆめ)の成果(かなた)へ虫が活き行く延命(いのち)の娯楽に活気を見て取り、俺を安(やす)める魅惑の自然(あるじ)は虚無に捕われ虚構(ドラマ)を貪り、貧しいながらに眩しく灯れる一夏(なつ)の灯(あかり)を一層彩(と)った…。…一人(ひと)の両腕(かいな)が真上に昇(あが)れる一夏(なつ)の空気(しとね)の斬新(あらた)な生気に、ぽつんと突き出す少女(おんな)の揺蕩(ゆらぎ)が幻覚(ゆめ)の身重に丁寧差(ていねいさ)を識(し)り、挙句の果てには初冬(ふゆ)を馴らせる強靭(つよ)い派手へとその実(み)を送らせ、無適(むてき)ばかりが小春(はる)を謳わす脆い進化が結託して活き、孤高に吃(ども)らす〝併鏡(あわせかがみ)〟は無法の逆鏡(かがみ)にその実(み)を投げた…。
孤独を見知れる幾つの謳歌は思春(ししゅん)に併(あわ)さる言語を紐解き、未知の一幻(ゆめ)から大器(うつわ)を積み行く諸刃の捨て身へ〝虫〟を就かせて、私闘の昼寝に一幻(ゆめ)を侍らす無答(むとう)の感覚(いしき)にその身を打った。小声(こえ)が鳴るのは沖の方(ほう)から…、自己(おのれ)の無憶(むおく)の沖の方から…。児(こども)の容姿(すがた)が大樹へ透れる旧い社(やしろ)は言語(ことば)を剥き出し、気玉(けだま)の方から小声(こえ)を鳴らせる…旧(むかし)の生憶(きおく)を黄泉へと放り…、分厚(あつ)い皮(かわ)から大樹へ流れる一人(ひと)…の生気は昏睡して生き、白紙(こころ)の見定(さだ)め…!を!…概(おお)きく捌…!け…!ガ―――――――――。―――
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「幻(ゆめ)の到来」
…醜い気忙(きぜわ)な老婆が俺の家に居り、まるで俺の付き添い時(じ)にでも、氏(し)の携帯電話を山里病院へ忘れて居た、という設定に成っていた。俺は又、「ああくそ、これがバレたら元職場の奴らに怒られる、面倒な事になる…」など考え、中々(自分の携帯電話で)電話して元職場の奴らにその事を知らせる事が出来ずに居た。
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帰還。…児(こども)の還りに合せる体裁(かたち)で純白(しろ)い夢見に現代人(むし)が湧き出し、「駆け込み寺」から自由へ繋げる現沫独語(うたかたかたり)を手中に置いた。幻(ゆめ)の文言(ことば)に嗣業を儲けて幻想(ゆめ)の成果(はて)へと細(ほっそ)り跳び発(た)つ夢中の気忙(きぜわ)に独創(こごと)を無くされ、脆弱(よわ)い明日(あす)へと未完(みじゅく)を保(も)ち出す浮遊の哀れに衰退して居た…。女性(おんな)の内実(なかみ)が一男(おとこ)に解らず幻想(ゆめ)の生果(かなた)へ寄り添う〝繋ぎ〟は紺(あお)の界(かぎり)で昏倒しながら、明日(あす)の目下(ふもと)へ跳び発(た)つ〝我が家〟は向きに襲われ地道に覆われ、脆弱(よわ)い家屋へ引っ込み始める漆黒(くろ)い一兆(きざし)を宙(ちゅう)へ観て居た。鋭い羽音(はおと)を好く好く発(た)てつつ目間苦(めまぐる)しく成る気楼の様子は俺の生憶(きおく)に悶絶した儘、暗闇(やみ)の許容(うち)へと段々込まれる古郷(こきょう)の様子を未然に建て活き、併鏡(あわせかがみ)の映りに於いては「他(ひと)を見知らぬ滑稽(おかし)な成果(せいか)」が、きちんと具わる自然(あるじ)の生果へ〝俺〟を連れ込み失くして行った。〝失くした先〟には見知らぬ紋様(もよう)が宙(そら)で立ち込め、幻(ゆめ)の周囲(まわり)でどんどん膨らむ貴重の〝勇気〟を「ごっこ」に見せ掛け、容易(やす)い連想(ドラマ)に夢中に成り生く併鏡(あわせかがみ)の「俺」に向かって、死活を超え行く斬新(あらた)な活力(ちから)を、女性(おんな)を置かずに虚無を緩めず密かに講じた。俺の背中は一女(おんな)が眺める初夏(なつ)の残香(かおり)に優雅を侍らせ、一男(おとこ)の嗜む旧い嗜好に魅惑を併せて懐古を想わせ、「夏」に突き出る一女(おんな)の全体(からだ)は虫の体(てい)してほろほろ散った。俺の「男性(おとこ)」に脆弱(よわ)さを見せずに狭筵(むしろ)を呈して初夏(なつ)を射るのは一女(おんな)の表情(かお)した羽虫(むし)の体裁(かたち)で、晩夏(ばんか)に届かぬ延命(いのち)を観て居る…。端正(きれい)に纏まる四旬(きせつ)の許容(うち)から純白(しろ)い隔離が揚々蹴上がり、幻想(ゆめ)の迷路に初めて観て生く「夏虫(むし)」の気体を悠々貪り、端正(きれい)な表情(かお)した一男(おとこ)の横には人路(みち)に迷わぬ夏が訪れ、明日(あす)の目的(あて)から今日の旧巣(ふるす)へ快走(かいそう)したまま這入って行った。男性(おとこ)の虚無には「見事」を偽る虚構が仕上がり、幻(ゆめ)の白亜(はくあ)へ消沈して居る黄色い「明日(あす)」には幻視(ゆめ)の馬幌(まほろ)がちんとん鳴り浮き、正白(しろ)い一宙(そら)から寿命(いのち)が退(さ)がれる一幻(ゆめ)の遊夢(ゆうむ)の誕生など観て、一(はじめ)に捨て置く虚無の一体(かたち)は物の無残に停滞していた。
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「羽虫(はむし)の到来」
初め場所は温(ぬる)い小学校の正門の前、小学時代の旧友・小里(こざと)の家のガレージ(喫茶店が在った所)の前で、そこに醜い気忙(きぜわ)な老婆と俺が居て、そこで、気忙(きぜわ)の老婆の携帯電話を山里病院へ置き忘れて居た事を思い出し、如何(どう)しようか迷って居り、中々次の行動に移れず右往左往して居り(俺は元々関わり無く、又、一旦辞めた元職場の奴らに対して、今更出て行くのも恥ずかしかったので)出来れば気忙な老婆を放(ほう)って置きたいとさえ考えて居た様(よう)だった。
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再俊(さいしゅん)。…未知の〝毛布〟に包(くる)まりながらも羽虫(むし)の共鳴(なげき)に耳を貸せない拙い男性(おとこ)の律儀の様子は、真夜(よる)の永さに延々痺れる足の不快を暗黙(やみ)へ投げ付け、羽虫(むし)と小躍(おど)れる愉快な寝床へ半信半疑に留(とど)まり居座る…。分厚(あつ)い虫陰(かげ)から過去が仕上がる無重(むじゅう)の〝芥(あくた)〟が成熟して活き、一幻(ゆめ)の集成(シグマ)に身投げをして生く俗世(このよ)の延命(いのち)に凡(ぼん)を見た後(のち)、快活から得る無痛の揺蕩(ゆらぎ)は事始(こと)に盛(さか)れる一命(いのち)を顧み、俺の身欲(よく)との集成(しゅうせい)ばかりを暗黙(やみ)の許容(うち)から私闘に掲げた…。俗世(このよ)の女性(おんな)に絶望した後(のち)、俗世(このよ)の男性(おとこ)に絶望して活き、個室ばかりが不断に並べる無憶(むおく)の参加を幻想(ゆめ)に観ながら、自己(おのれ)の分体(からだ)が故習を射止める矮小(ちいさ)な人界(かぎり)へその実(み)を進めて、分厚(あつ)い空間(すきま)に自身を置き去る旧い囃(はや)しが雑気(ぞうき)に失(き)え活き、孤独を見知らぬ若い老気(ろうき)は俺の生果(かなた)で噴散(ふんさん)して居た。羽虫(むし)の報せが初夏(なつ)を呼び付け朝な夕なに暗闇(やみ)を被(こうむ)る一日(いちにち)ばかりの用を見出し、分厚(あつ)い静寂(しじま)へ自体(おのれ)を翻(かえ)せる陽気な温度へ精神(こころ)が任され、発狂(くる)い始める景色の許容(うち)には四季に満たせぬ憂慮が活き付け、古豪を見知らぬ滑稽(おかし)な虚無には未踏(みとう)の自主(あるじ)が拡散して居た。文言(ことば)の限りに無痛を想わす旧い時限の確保から観て、夜渡(よわた)りして生く幻(ゆめ)の調子は孤高の確保に躍起に働き、脆弱(よわ)い自覚(かくご)に自体(おのれ)を見出す羽虫(むし)の流動(ながれ)は流行(はやり)に弱まり、人間(ひと)の延命(いのち)を嘲笑して生く恐怖の寝言を空言(そらごと)仕立てに纏め始めて、俺の界(かぎり)へ踏襲して行く旧い胴着の一端(すそ)の方(ほう)では、晩夏(なつ)の気色が一縷に自滅(ほろ)べる未有(みゆう)の景色にに空転(ころ)んであった。
一宙(そら)に始まる駄天(だてん)の景色は細(ほっそ)りして生く灯馬(とうま)の如くに、〝併せ鏡(あわせかがみ)〟に嗣業を点(とも)らす不在の身辺(あたり)を有頂へ込めて、牧師に見紛う人の揺蕩(ゆらぎ)が事始(こと)への未完(みじゅく)に堪能する時、自体(おのれ)の毒牙に体液(えき)を垂らせる無遊(むゆう)の自主(あるじ)を撤退させ得た。自体(おのれのからだ)を正白(しろ)く魅せ生く羽虫(はむし)の大器(うつわ)に貌(かお)を顰(しか)らめ、分厚(あつ)い一夜(とばり)を恩に着せ行く未完(みじゅく)を掌(て)にした脆弱(よわ)い羽虫(はむし)は、人間(ひと)の生憶(きおく)を自由に鈍(くも)らす初夏(なつ)の〝晩夏〟を満喫させ活き、幻(ゆめ)の有限(かぎり)に自在に跳び得る〝現(うたかた)続き〟を呆(ぼ)んやり観て居た…。活きる労苦を分身(からだ)に認(したた)め旧い葦から根削(ねこそ)ぎ奪(と)れ得る思中(しちゅう)の記憶へ配慮しながら、遠く乖離(はな)れた暴挙の仕組みに〝人物(もの)の哀れ〟を凝結させ行き、気楼(きろう)の過程(さなか)へ自分を投(とう)ずる脆弱(よわ)い生命(いのち)を真面に挙げた。―――、昨日と現行(いま)との旧(ふる)びた空気(しとね)を感じる空間(すきま)に事毎相(あい)する羽虫(むし)の屍(かばね)は幻想(ゆめ)を見上げて〝自分の名〟を言い、明日(あす)の生果(かなた)へ流行(なが)れる空間(すきま)へ自明(あかり)の所以(ありか)を捜す合間に、淡麗(きれい)に纏まる女性(おんな)の一命(いのち)を事始(こと)の見定(さだ)めに縫い付け始めた…。
自己(おのれ)の延命(いのち)が過去へ片付く自由の見方を牙城(とりで)に保(も)ち出し、〝憂き世〟の一姿(すがた)を温存して行く一夜(とばり)の早さを通感(つうかん)してしながら、純白(しろ)い人界(かぎり)で蝶が遊べる屈強(つよ)い感覚(いしき)が上手(じょうず)に羽ばたき、孤踏(ことう)に咲き生く自体(おのれ)の生命(いのち)は無断に飛び散る温度と成った。純白(しろ)い豪気に良く良く羽ばたく弱音を呈した羽虫(はむし)の発音(おと)には、幻覚(ゆめ)の無力が宙(そら)へ飛び交い結託して生く苦労の〝容姿〟を活(かつ)に見出し、夢中の寝言に俗を詠むのは旧い兆しの根堀り葉掘りで、一幻(ゆめ)の有限(かぎり)で一女(おんな)を射止める孤独の気色は無残に散った…。無為の晴嵐(あらし)に人が集まり流行(はや)り話(ばなし)に談笑して生く〝孤独の謳歌〟が孤独を舐めては、俺の目下(もと)へと一女(おんな)を侍らす夢中の陽気へ運動して活き、俗世(このよ)の難儀に活(かつ)を見出す幻(ゆめ)に溺れた独意(どくい)の法(ほう)では、人伝(ひとづて)から観た独露(どくろ)の成果に自己(おのれ)の自然(あるじ)を通感(つうかん)して居る…。文言(ことば)の界(かぎり)に問答して生く孤独の塊(たまり)を見知る人間(ひと)には、自己(おのれ)の強靭味(つよみ)を自体(からだ)に覗ける浮遊の正義を自由に見出せ、重い空気(くうき)の〝秋の空〟には「詰らぬ許容(うち)へと疾走して行く代わり文句」の空宙(くうちゅう)さえ在る。純白(しろ)い虚空に虚無を詠み生く羽虫(むし)の温度は活動さえせず、空(あき)の宙(そら)から一命(いのち)を囀る独り善がりの成体など解(と)き、自己(おのれ)の脚(あし)にて陰府(よみ)を呈する旧い宙(そら)へと自明(あかり)を揺らして、通り相場の身軽(かる)い人事は遠く一宙(そら)に分断して生く。―――生憶(きおく)の陰から羽虫(むし)に呼ばれた成体(からだ)が縮まり、小虫(むし)の記憶に脆(よわ)り果て生く未知の〝問い〟へと不断を観て活き、自体(おのれ)を知り行く初夏(なつ)の報せが余程に朗(あか)るく物見遊山にて、明日(あす)の一夜(とばり)を一命(いのち)で惑(まよ)わす白夜の蜃気を一層舐めた…。一体(かたち)の付かない初夏(なつ)の前夜は無知を頬張る羽虫(はむし)を並べて、天外(てんがい)へと咲く晩夏(なつ)の華から未憶(みおく)に苦しむ流行(ながれ)が産れて、幻想(ゆめ)の寝床をきちんと畳める純白(しろ)い気色は一宙(そら)の〝遠く〟で小躍りして居り、小人(ひと)に化け得た夢中の焦りは痛い想いを一掃せず儘、初夏(なつ)の彩(あや)から児(こども)を操(あや)せる不毛の論議を再開して居た。初冬(ふゆ)へ始まる自己(おのれ)の〝意味〟へは自体(おのれのからだ)が未頂(みちょう)を視(め)にした「無欲で欲する自己(おのれ)の進化」を搔終(かっしゅう)して居り、自己(おのれ)の自然(あるじ)に問答打ち生く〝物の見事〟は脆(よわ)くも傾倒(たお)され、分厚(あつ)い凡(ぼん)から非凡が産れる旧い過去にはさよならさえした、孤踏(ことう)の進化が焦って見得た。無垢の空気(くうき)に斜陽が照り映え、無傷の調子に〝乍ら〟を化(か)えても、分厚(あつ)い一夜(よる)には中々跳ばない〝不揃い〟から成る羽虫(むし)が活きたえ、生粋から成る無性(むせい)の一人(ひと)には小山(おやま)が働く苦しい羽音(はおと)が真傍(まよこ)に飛んだ…。
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「擬音の到来」
…苦悩の竿から宙(そら)が跳び出し、不屈の姿勢(すがた)へ自己(おのれ)を画せる無重の芥(あくた)を突いて出るのが、一女(おんな)を射止めて精華(はな)を掌(て)にする不従(ふじゅう)の水面(みなも)の蹂躙でもある。女性(おんな)の自覚(すがた)を俺の背中に華(あせ)を滴(した)らせ懐かせるのは幻想(ゆめ)の脆(もろ)さに悪態吐(づ)き生く不毛の傘下の旧い水面(みなも)で、古豪に対せる不意の軽身(かるみ)は宇宙を目指して夢中を目指し、幻(ゆめ)に根差せる思考の回路を目覚まし始める追走さえした。事始(ことのはじめ)へ追憶して生く無知を象る愚鈍の成果(はて)には、自ずの生果を女性(おんな)に絶やせる無従(むじゅう)の成果を活気に見積もり、事始(こと)の斬新(あらた)へ気楼を薄める神秘(ふしぎ)の快無(オルガ)をその視(め)に観た儘、のらりくらりと幸先良くする人物(もの)の快無(オルガ)を蹂躙して居た。自己(おのれ)の傍(そば)から身辺(あたり)を見廻す無造(むぞう)の共鳴(さけび)は身辺(あたり)を晦まし、事始(こと)の豊穣(ゆたか)へ端正(きれい)に纏まる幻想(ゆめ)の牙城(とりで)は夕日に根付き、俺の背中を有頂に嗜む〝夕陽の紅(あか)〟さえ難無く失(き)えた…。生(せい)を活(かっ)する要所の点にて無想に羽ばたく幻(ゆめ)の哀れは事始(こと)に追い付く孤高の動静(うごき)を延命(いのち)の沈みに気分と成らしめ、宙(そら)の懐(うち)へと跳び発(た)つ無意味を呈した人間(ひと)の寝息は、幻想(ゆめ)の幻理(げんり)を夢中に捨て置く孤高の生憶(きおく)に立ち寄り出した。自体(おのれ)の未知から希望が仕上がり俗人(ひと)の憂慮へ先行するのは、孤高に化け生く〝人物(もの)の哀れ〟が生気を費やす小宙(そら)の許容(うち)にて、俗世(このよ)の奮起に嫌気が差し行く児(こども)の活気は〝白紙(こころ)〟に準え、自命(じめい)の成果(はて)にて未知を連れ添う一幻(ゆめ)の気色をその実(み)に観て居る…。苦労ばかりで尽力して生く自己(おのれ)の過程(さなか)は無己(むこ)を観た儘、宙(そら)の彼方で一男(おとこ)を養う女性(おんな)の幾多を余程裏切り、蝙蝠傘から身分を偽り、自己(おのれ)の活気へ自明が呈する陽(よう)の微温味(ぬるみ)を吟味しながら、分厚(あつ)い〝一通(とおり)〟を現代人(ひと)に見果てる拙い気色を鈍々(どんどん)吟味(あじ)わい、「明日(あす)」の生果(かなた)へ自己(おのれ)を誘(いざな)う人体(ひとのからだ)を努々好いた…。一人(ひと)の孤独を一女(おんな)に配(はい)して、自己(おのれ)の独創(こごと)を宙(そら)に見果てる無様(むよう)の自覚(かくご)を徹(てつ)に仕舞って、一男(おとこ)の虚無から愚像(ぐじょう)に仕立てる不意の感覚(いしき)に道理を観て活き、幻(ゆめ)の自覚(かくご)が俗世(このよ)で成らない自然(あるじ)の形見を存分想う…。生活して行く無想が欲する一杯(うつわ)の厚味(あつみ)は〝傀儡(どうぐ)〟へ従い、人間(ひと)の体(からだ)の傀儡(どうぐ)と成るのを無理に報せる文句(ことば)を培い、幻(ゆめ)の白紙(はくし)へ〝自明〟を描(か)き生く神秘(ふしぎ)の未活(みかつ)を切(せつ)に想った…。幻(ゆめ)の限りに一男(おとこ)が成り立ち不意に仕上がる孤独の独気(オーラ)は小宙(そら)に跨る生気を保(も)ち出し、俺の背中に〝女性(おんな)〟が立つのを好(よ)く好(よ)く感じて夢想を跳び出て、自体(おのれ)と宙(そら)との夢中の合図を人間(ひと)に化けさせ我信(がしん)を説いた。幻想(ゆめ)の白紙に空転(ころ)げて来たのは固陋の小敗地(アジト)の生気の故にて、純白(しろ)い連体(からだ)に未重(みじゅう)を見送る一宙(そら)の気高(たか)さは仄(ほ)んのりしながら、白質ばかりが夢遊に飛び交う人間(ひと)の無機へと新進(しんしん)して居た…。
自体(おのれ)の無憶(むおく)が過去(かこ)へ息衝く不意の遊離は自然(あるじ)を蹴忘(けわす)れ、一幻(ゆめ)の髑髏にこの身を統(たば)ねる夢限(むげん)の性(せい)には活気が漏れ活き、明日(あす)の自覚(かくご)を自己(おのれ)に見紛う素人仕立ての見方の功(こう)には、分厚(あつ)い滾りが陰府(よみ)を牛耳る無感の王者を拝して在った。―――自己(おのれ)の無知から〝詩吟〟を吐き生く身重の惨事は豪華ながらに、一人(ひと)の身欲(よく)には性器が二重(かさ)なる無言の奥地が充分活きたえ、分厚(あつ)い空転(まろび)を幻(ゆめ)に見送る気楼(きろう)の感度は自然(あるじ)へ解け込み、一幻(ゆめ)の成果(かなた)で或いは失くせる固陋の調子に辟易して居た。無知の謳歌を自信に任せて幻想(ゆめ)の振動(ふるえ)に耐えて居ながら、孤高に根差した私欲(よく)の有利は依然変らず総身を巡らせ、〝併せ鏡〟に自身を宿せる恩恵ばかりが白紙を目にした。孤高の〝不埒〟に肝を抜かれて俺の「人間(ひと)」から虚無が生くのは、無言の〝哀れ〟が才智を照らせる人物(もの)の有利を謳うからにて、女性(おんな)の我信(エゴ)から一男(おとこ)が活き生く旧(むかし)の形見(かたち)は内実(なかみ)を置き去り、脆弱(よわ)い小春(はる)から生気を気取らす無通(むつう)の遊戯を参観して居た。
一女(おんな)の目下(ふもと)に転がり行くのは自体(おのれ)の過去から不断に活き得る初春(はる)の盛気(せいき)の不断の様子で、俺の目前(まえ)から嫉妬を燃やせる若い活気は内向へと活き、自分の界(かぎり)を不断に実らす不意の自主(あるじ)を大事に見て取り、「明日(あす)」の夜から〝昼夜〟を照らせる己勝手(おのれがって)な独歩の前方(まえ)では男性(おとこ)も一女(おんな)も幻(ゆめ)を割けない不様(ふよう)の自然(あるじ)を散々描(か)いた。描(か)いては消し生き、書いては消し活き、…自己(おのれ)の目前(まえ)では陽(よう)を呈(しめ)さぬ微弱(よわ)い肉塊(かたち)が日中(ひなか)を避(さ)け得て、一幻(ゆめ)の仮定が俺に向くのを今か未(いま)かと詩吟しながら、旧い体裁(かたち)に霞を付けない孤独の自然(あるじ)を見果て続ける…。一女(おんな)の糸には紅(べに)が差し込む夕日が照らされ、人物(もの)の哀れが個有(こゆう)に相(あい)する旧い〝上着〟は張羅に代わり、相(あい)する者等(ものら)の杞憂の総ては初春(はる)の憂いにその気を焚き付け、五月蠅(あわ)い旧巣(ふるす)を牛耳り生くのは一男(おとこ)に合せる女性(どくろ)であった。現代人(ひと)の男性(おとこ)が如何(どう)にも斯うにも下らなくも見え、相(あい)する間際に憎悪を見出す身欲(よく)の不埒が本能(ちから)を崇め続ける未覚(みかく)の遊戯に新参すれども、紺(あお)い律儀は不埒を相(あい)する根気に寄り添い、孤高を脱する無知の生憶(きおく)を曖昧にもして、淡い生憶(きおく)を充分喜ぶ無適(むてき)の喜楽の内には、「孤高の生憶(きおく)」が体熱(ねつ)を灯せる神秘(ふしぎ)の気力を既視(おおめ)に観て居た。幻想(ゆめ)の白亜に改竄して行く自己(おのれ)の集成(シグマ)の成立から観て、無己(おのれ)の無機から孤高に絶えない旧い調子に踏切(ふんぎ)り付け活き、純白(しろ)い人煙(けむり)に文言(ことば)を二重(かさ)ねる夢遊病者の実体から成る斬新(あらた)な行為に身元を縫い付け、暗夜(よる)の帳に古豪を観て行く併鏡(あわせかがみ)の新機(しんき)の上では、一人(ひと)の孤憶(こおく)が初夏(なつ)に気取れぬ羽虫(むし)の謳歌をその〝死〟に観て居た…。…―――大樹の陰から人間(ひと)に寄り添う初夏(なつ)の勝手は勝気を呼び付け、俺の文言(ことば)へ一女(おんな)を侍らす羽虫(むし)の謳歌を孤独の振りして散々伝えて面白がるのは常と成り行く旧い景色の残骸でもあり、幻(ゆめ)の角(かど)からふっと吹き貫(ぬ)く緩い涼風(かぜ)には羽虫(むし)が飛び交い、蝮に似て居る皮膚の絵柄は大樹の表情(かお)した幼稚であった…。青春(はる)の名残が晩夏(なつ)に基づく陽気の殿(との)にて不倖(ふこう)を掌(て)にして、五月蠅(あわ)い気色が路頭に迷わす自己(おのれ)の〝真面目〟は白空(そら)へ還らす活力(ちから)さえ取り、人の遊戯を私算(しさん)に呈する孤独の〝絵図〟には毒を這わせて、夏の夕日が微妙に落ち生く二社の対峙の一幻(ゆめ)の許容(うち)では、孤高に徹した一人(ひと)の〝哀れ〟を羽虫(むし)が運べる去来を識(し)った…!
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「思春の寝床」
…気忙(きぜわ)な老婆は以前と変らず、妙にそわそわしながら俺に対して面倒事を生む様(よう)で、俺は唯、目前の気忙(きぜわ)な老婆はもう放っといて、気忙な老婆の携帯電話の件だけ如何(どう)にかしよう、と考えたりして居た。
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夏々(なつなつ)交換―――。不意の晴嵐(あらし)へ迫れる思春(はる)の小声(こえ)には美声(びせい)に企む主従が出で立ち、自己(おのれ)の未完(みじゅく)に煩悶して生く孤高の小躍(おどり)に幻視(ゆめ)を観た儘、一幻(ゆめ)の寝言に独創(こごと)に〝寝耳〟を見付ける不意の凌駕を密かに識(し)った…。児(こども)の記憶が有頂を観たあと俺の文言(ことば)を集成(シグマ)に表し、無能な進化を遂げ行く間(ま)を無知の狭間で共感して居る。無垢の断片(かけら)を拾い集めて初夏(なつ)の景色を呆(ぼ)んやり観てると、孤高が突き刺す不毛の諸刃(やいば)を純白差(しろさ)へ突き付け、幻想(ゆめ)の便りに煩悩(なやみ)を好く観る無言の朝陽に貌(かお)を見て居る。一幻(ゆめ)の内(なか)まで良く良く滑走(はし)れる孤独の〝児(こども)〟は感覚(いしき)を象り、よもや幻(ゆめ)にて気配を気取れる無信(むしん)の音頭を棚上げしながら、身欲(みよく)の総てを豪語して生く無色(むしょく)の脚色(いろ)から小躍(おど)りを見て居た。純白(しろ)い朝陽に揚々気取れる旧(むかし)の自主(あるじ)を母性(はは)に従え、器量ばかりを気にして頷く俗世(このよ)の女性(おんな)は俺から乖離(はな)れて、幻(ゆめ)に掛かれる無様(むよう)の労苦を〝芯〟に見ながら、厚い感覚(いしき)を初夏(なつ)へ放れる幻視(ゆめ)の重差(おもさ)を通感(つうかん)して居た…。児(こども)の一声(こえ)から馬幌(まほろ)が仕上がり、孤高に見て取る無性(むせい)の揺蕩(ゆらぎ)は晩夏に阿る生き血を眺めて、「明日(あす)」と今日との相異に活き貫(ぬ)く強靭(つよ)い無価値が生憶(きおく)を呼び付け、孤高の文言(ことば)が俺に纏わる旧(むかし)の幻(ゆめ)では気楼の歩速(ほそく)が断行され生く…。
幻(ゆめ)の生果へ細(ほっそ)り立つのは一女(おんな)に対する無駄な四肢(てあし)と、孤独を大事に葬り去り生く生憶(きおく)の盲者(もうじゃ)に未然を敷く為、分厚(あつ)い逆行(もどり)が「断片(かけら)」を観るのは陰府(よみ)の理郷(くに)での行為と成った。滑稽成る哉、滑稽成る哉…。
無知の自主(あるじ)が初夏(なつ)へ解け込む微弱(よわ)い所以(ありか)は底儚(そこはかな)れども一幻(ゆめ)の王者へ返り咲くのは無謀を識(し)り生く生粋でもあり、事始(こと)の調子に類(るい)を見得ない非常の両刃(もろは)を楯にして居る。漂白(しろ)い霧が一幻(ゆめ)が築かれ、事始(こと)の概(おお)くは痩躯(やせみ)に在れども、矛盾を呈する幻想(ゆめ)の揺蕩(ゆらぎ)は未知に底擦(そこず)る奇譚に訴え、へどろもどろの欲歯(よくば)の態(てい)など無意識(いしき)の許容(うち)にて耄碌して生く。純白(しろ)い気色が貌(かお)に発(た)ち行く精神(こころ)の余裕(ゆとり)は無い訳でもなく、仔猫の発声(こえ)にも夏虫(むし)の一声(こえ)にも、非常に良く似た自然(あるじ)の鼾が、俺と一女(おんな)の一肢(からだ)を透して強靭(つよ)く湧き立ち未完(みじゅく)を相(あい)して、脆弱(よわ)い気色を総身に観て生く不屈の思惑(こころ)に跳び出す内にて、一幻(ゆめ)の騒然(さわぎ)が未知に活き生く一糸の功(こう)にも巣立って在った。活き活きしたのは束の間でもあり、俗世(このよ)に活(かっ)する延命(いのち)の微弱は一幻(ゆめ)に沿っても膨(おお)きく成れずに、俗世(このよ)に生き得る男・女(だんじょ)の姿勢(すがた)が概(おお)きく可笑しく滑稽にも見得、努めて流行(なが)れる四季(きせつ)の「移り」は、事始(こと)に感ける至難を識(し)った。全く独りの俺の背後(あと)から夢中に成り生く女性(おんな)を娶り、俗世(このよ)の誰にも伝えず教えぬ有機の幻(ゆめ)から「理想」が産れて、俺と女性(おんな)の生気の跡には、俗世(このよ)の何処(どこ)でも決して認めぬ強靭(つよ)い生絆(きずな)が盛期を見て居た。
奇言。
「俗世(このよ)の女性(おんな)等、そんなものだ…。」
「俗世(このよ)の男性(おとこ)等、そんなものだ…。」
論破。
無名の涙に論駁しながらばくぱくして行く孤高の小躍(おどり)は幻幽(ゆらぎ)を伝(たた)える億土の果てから一人(ひと)を乖離(はな)れて生命(いのち)を見せ付け、初夏(なつ)の果てから盛夏(せいか)へ辿れる夏と隣りの揺蕩(ゆらぎ)の許容(うち)では、一人(ひと)の苦悩が快楽(らく)を欲する知能の所以(ありか)が美笑(わら)って在った…。自己(おのれ)の無知から自体(からだ)が仕上がり、自体(からだ)の所以(ありか)が一宙(そら)へ飛び付く無能の軌跡を事毎囃し、人の「己」が我信(エゴ)を働く無心の教理は肉体から成り、幻(ゆめ)の教区を震え小躍(おど)らす無謀の自主(あるじ)の盲言(もうげん)等には、分厚(あつ)い生軸(きじく)の摂理を賄う孤高の晴嵐(あらし)を体験して来た幻想(ゆめ)の独創(こごと)が滅法仕上がり、文言(ことば)の巧みに自体(からだ)を小躍(おど)らす「俺」の自然(せつり)の問答等には、旧い訓(おし)えが一向働く夢限(むげん)の大差がその実(み)を覚(さと)せる…。
通り相場の〝下等〟の許容(うち)から一幻(ゆめ)の身軽がその掌(て)に矢を保(も)ち、幻(ゆめ)が与(あずか)る夢想の未完(みじゅく)を〝最果て知らずの巨躯〟に見送り、巨躯を呈した大樹の人陰(かげ)では分厚(あつ)い辛苦が取り分け目立ち、紅(あか)い首(こうべ)に夕日が差すのは陰府(よみ)に跨る幻(ゆめ)の生憶(きおく)の無想の進化の顕れだった。幻(ゆめ)の現(うつつ)の希望(あかり)の許容(うち)から未想(みそう)を躊躇う柔軟さえ在り、俺の覚悟は一女(おんな)を衒える幻覚(ゆめ)への末路が存分足るまま未能(みのう)に見得出し、苦しい覚悟の挙断(きょだん)の許容(うち)から孤狼(ころう)を想わす想起を計れば、旧い幻(ゆめ)から〝水面(みなも)〟を潤す思譚(したん)の有利が絶頂にも発(た)つ。幻(ゆめ)を脚色取(いろど)る個人(ひと)の身重は欲を講じた〝我(われ)〟を見出し、苦労を二重(かさ)ねた楼気(ろうき)の許容(うち)にて無答(むとう)に棚引く「明日(あす)」を訴え、幻視(ゆめ)の記憶に無理を講じる賽(さい)の輪(わ)の立つ無難を観ている…。一人(ひと)の孤独が孤独で無くなり、五月蠅(あわ)い使命(いのち)が生果(はて)に成るのを無業(むぎょう)の許容(うち)より細(ほっそ)り見出せ、一女(おんな)の過去から晩夏(なつ)が成り生く幻(ゆめ)の温度が交換されても、一男(おとこ)と男性(おとこ)の無信(むしん)の所以(ありか)は密に伴い密に併され、緩い景色を呆(ぼう)っと観るうち交換され生く「夏」の景色は一人(ひと)の延命(いのち)に通底して居る…。
分厚(あつ)い景色の経過(ながれ)の許容(うち)にて一人(ひと)の孤独は文句(ことば)を発する無能の実利に賛嘆した儘、五月蠅(あわ)く統(たば)ねる無能の進化は生(せい)に紛れて生(せい)を挙げつつ、羽虫(むし)の小躍(おどり)に愛着さえ無い脆弱(よわ)い感無(オルガ)を通伝(つうでん)している。白夜(しろいよる)から通底して生く一女(おんな)の社(やしろ)は暗夜(よる)を毛嫌い、幻(ゆめ)の白紙(こころ)に未完(みじゅく)を保(も)たせる気楼の極意を宙(そら)に観ながら、男性(おとこ)に課された一男(おとこ)の淡差(あわさ)を魅了に噛むうち詩吟を奏でて、脆弱(よわ)い生気に〝羽虫(むし)〟を詠み取る無意(むい)の気色を仄かに識(し)った…。女性(おんな)と羽虫(むし)とが交尾して生く一女(おんな)の気色を追観(ついかん)する内、苦労の限りを一人(ひと)に詠み解(と)く無能の一理(いちり)は暗(あん)に黙って、幻(ゆめ)に綻ぶ魅惑の自然(あるじ)が殊に困っては感覚(いしき)を盛(も)り立て、暗い過去から律儀が擁する旧い可能(かぎり)が美声を吐(つ)いた。夏の断片(かけら)を拾い集める美性(びせい)を模写する有利の人輩(やから)は孤高を牛耳る俺の躰と、無為に徹して総理を保(も)たない暗い闇夜の感覚(いしき)から成り、分厚(あつ)い〝途切り〟に未想(みそう)を連ねる神秘(ふしぎ)の〝木の実〟の淡い吟味(あじ)には、一角(かど)を曲がれぬ旧(よわ)い正義が未完(みじゅく)を冠して密着して居る…。
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…と、ここまで一気に加速するように自棄糞に考え、働いて居た時に良く味わっていたような焦りの内で気忙な老婆を見捨てて事の成り行き(辻褄合わせ)を考えて居たが、現実と向き合い、仕方が無いので、気忙な老婆を連れて、俺の自宅のガレージの前まで連れて行き、そこで俺の車に乗せて、そこから気忙な老婆を病院へ連れて行こうと決めた。
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無断に通ずる不快の奥義(おく)には、俺の肉体(からだ)に縋って活き生く常緑(みどり)の〝信徒〟が如何(どう)でも永らえ、盛夏(なつ)の景色を噴茂(ふんも)へ返せる幻(ゆめ)の感覚(いしき)に欠伸をしながら、経過(とき)の空城(くるわ)に居座り続ける旧い自主(あるじ)を事毎大事に葬り続けた…。夢中の意固地を身に付け始めて自己(おのれ)の日(ひ)の輪(わ)を空城(くるわ)に囲えば〝無機の泡沫(あぶく)〟が涎を垂らし、一男(おとこ)と一女(おんな)の人間(ひと)の正体(からだ)を具体に見付けて関係付け生く〝延命(いのち)〟の哀れに相異が見えない…。男性(おとこ)の自覚(かくご)が女性(おんな)に表れ、幻想(ゆめ)の宙(そら)にて知識が死ぬのは、無機を翻(かえ)せる有機の暴力(ちから)の未定に見定(さだ)める行為に落ち着く。初夏(なつ)の感覚(いしき)を早める温度は幻覚(ゆめ)の調子に相対(あいたい)しながら日本人(ひと)の行為を地中に埋めない自己(おのれ)の感覚(いしき)へ崩壊して生く…。精神(こころ)に咲き行く具体の知識は具現を寄越せる不意の感覚(いしき)に、一幻(ゆめ)の空転(まろび)を決定付ける未覚(みかく)の心理を「進理(しんり)」と呼び決め、盛夏(なつ)の生憶(きおく)を涼風(かぜ)へ流行(なが)さぬ予定調和を端目(よこめ)にしながら、分厚(あつ)い「大樹」の皮に二重(かさ)ねる人間(ゆめ)の長寿に相対(あいたい)して居る。女性(おんな)の表情(かお)から日々(ひにち)が流行(なが)れて男性(おとこ)の歪曲(ゆがみ)が地中に阿る未想(みそう)の信理(しんり)は宙(そら)へ蹴上がり、女性(おんな)の前途に葛藤するのは旧来独白(むかしがたり)の粗末な感覚(いしき)で、小春(はる)の奥義(おく)へと心算(しんさん)束ねる旧来独語(むかしがたり)の記憶の程度(ほど)では、初夏(なつ)に象(と)られる脚色(いろ)への知識が宙返りをして軒端に伏せた。
児(こども)の側(そば)から観られた生憶(きおく)は白夜(びゃくや)の許容(うち)より「御覧」を見通し、古豪の生憶(きおく)へ吸い付き始める真白(しろ)い律儀の極端から観て、無効に了(おわ)れる厚い一幻(ゆめ)には素人張りした絵本が仕上がる。
未知に集まる無想の集成(シグマ)は元来傾く思想の成果(はて)から「自己(おのれ)」の形成(かたち)を未知へ送れる無機の屍(かばね)に相対(あいたい)しながら、余りに歯牙(しが)ない畜犬ばかりの宙(そら)へ繋がる〝傀儡(どうぐ)〟を得ながら、虚無の許容(うち)へと無想が働く追走ばかりが虚遁(きょとん)と突っ立つ…。初夏(なつ)に始まる自体(おのれ)の感覚(いしき)に未想(みそう)の未完(みじゅく)が幸先解(ほつ)れて、漆黒(くろ)い擬人がその実(み)に付くまで無理して通せる格子を連れ添い、分厚(あつ)い規定(さだめ)を見定め始める純白(しろ)い気色の華厳の信仰(めいろ)は、逡巡しながら闊歩を図れる旧い幼児の貌(かお)等観て居た。架空を照らせる〝律儀〟の厚味(あつみ)に幻想(ゆめ)の空転(まろび)は競走して居り、互いの精神(こころ)を相対(あいたい)させ行く斬新(あらた)な試(たの)みに駆逐を働き、陽(よう)の照射が減退し得ない現行(いま)の晴嵐(あらし)を相(あい)して居るのは、俺の背後の自主(あるじ)にとっては不要の刺激に終局して生く。不要の暴嵐(あらし)に満喫するのは愚かで幼稚な現代人(ひと)の成果で、成る可(べ)くして成る孤高の心理に基づく形で、人間(ひと)の虚無から身近な虚構(ドラマ)を一向変らず構造して生く…。一幻(ゆめ)の讃美が一旦途切れる…。―――。…。―――。…。―――。…。―――。…。―――。…。―――。…。ピーピーピーピー、ギャリギャリギャリギャリ、無傷で居られる宇宙の恋人…。星の印(マーク)の淡い生命体(ならずや)…。分厚(あつ)い独論(ドグマ)を強制するのは現行人(ひと)の暴嵐(あらし)が一旦過ぎ去り、羽虫(むし)の音頭と共生して行く無憶(むおく)の震度に相異が見得ない…。自己(おのれ)の嫉妬が一宙(ちゅう)を跳び交い無効へ失(き)え行く滑稽(おかし)な一連(ドラマ)は、明くる朝から狂々(くるくる)廻れる旧来人種(きゅうらいじんしゅ)の独言(ことば)に阿り、分厚(あつ)い景色の身内に辿れる脆弱(よわ)い快無(オルガ)の欠陥ばかりは、俗世(このよ)に産れる孤高に息(いき)して身許を識(し)り貫(ぬ)く乾いた信理(しんり)へ傾倒して居る…。初夏(なつ)の感覚(いしき)が滔々流行(なが)れる旧い孤独の空間(すきま)の人陰(かげ)から、一幻(ゆめ)の成果(かなた)へそっと見紛う旧い感覚(いしき)が現代人(ひと)を見限り、現代人(ひと)の全命(いのち)が透過(すか)っと終れる旧い過失に進歩を生やせた、空論絶後(くうろんぜつご)の神秘が問われ、一幻(ゆめ)の初端(はし)では未完(みじゅく)が片付く無知の生憶(きおく)が問われて生くのは、孤高の感覚(いしき)に絶対跨る夜目(よめ)の奇想に他が見得ない…。一幻(ゆめ)を漏らせる思想の人陰(かげ)から一人(ひと)の生憶(きおく)は晩夏(なつ)を報され、孤独に活き勝(が)る強靭(つよ)い独義(ドグマ)を機敏に綾(あや)して夢想(むそう)に偽り、虚構を灯した旧(むかし)の呼笛(あいず)は〝家来〟を従え殉教して生く…。
未知の見定(さだ)めに翻(かえ)る「夜目(よめ)」から未憶(みおく)に赴く旧い栄華は、黄泉の人類(ひと)から脱走して生く淡い人影(かげ)など充分気取らせ、孤高に生やせる一途(いちず)の延命(いのち)は悪の方(ほう)へと加虐(かぎゃく)して活き、端正(きれい)に纏まる人の音色(ねいろ)は律儀に絡まり無音を投じた…。自己(おのれ)の感覚(いしき)に初夏(なつ)が来たのは無音の翳りに人を観た故、白粉(おしろい)ばかりに白壁(かべ)を埋(うず)める独人(ひと)の掌(て)に依る努力を識(し)り付け、旧来独白(むかしがたり)の不穏に招ける情緒を詠めずの現代人(ひと)の過失は、猿真似ばかりで「自己(おのれ)」を識(し)れない愚図の極致の許容に在った。無言の空気(しとね)に日夜巻かれて、俺を動かす初夏(なつ)の白衣(ころも)は夢中に成りつつ〝意味〟を捜すが、俺の周囲(まわり)に蠢く存在(もの)には至極の延命(いのち)が真傍(まよこ)に揺れて、女性(おんな)の体形(かたち)が揺蕩(ゆらぎ)へ酔う内、身近に息衝く盲言(もうげん)さえ識(し)る。無言の懐古(レトロ)を大手を振りつつ宙(ちゅう)に見立てた言動(うごき)を採ったが、俺の自覚(かくご)を延命(いのち)へ囀る空に浮べた妄執から観て、盛夏(なつ)の生果は概(おお)きく膨らむ時限の懐古(レトロ)を通感(つうかん)して居る。遠方(とおく)を詠めば近隣(ちかく)が観えずに、矮小(ちいさ)な希望(あかり)は身辺(あたり)を散らせる無己(むこ)の限界(かぎり)を矮小(ちいさ)く鈍(くも)らす…。羽虫(むし)の一種が夜宙(よぞら)へ羽ばたき無謀に観得行く幻(ゆめ)の身辺(あたり)を無知に誘われ未完(みじゅく)を想われ、白衣(ころも)に敷かれた初夏(なつ)の自主(あるじ)は顧問を忘れて遠方(とおく)へ移ろい、初めから無い夢中の集体(シグマ)を要所々々に点在させ得た。矮小(ちいさ)な集成(シグマ)を両脇(わき)へ据え置き小さな初夏(なつ)から概(おお)きな盛夏(なつ)まで「意味」を講じて捜せる間(あいだ)は、夏に埋(うも)れる夏の一体(からだ)が純白(しろ)く映れる逆鏡(かがみ)が立った…。未有(みゆう)に伴う不思議な残香(かおり)は宙(そら)に伴い初夏(なつ)を蹴散らし、併鏡(あわせかがみ)にぽつんと置かれた旧い〝水面(みなも)〟に思考を奪われ、一夏(なつ)の王佐に常緑(みどり)が遣られる酷い俗世(このよ)に未潤(みじゅん)を見限り、小春(はる)への気取りに「意味」を見出す滑稽(おかし)な遊戯に曖昧差を観た。一つの初夏(なつ)から無断に解(と)け込む未知の自明(あかり)は人を費やし、人間(ひと)の常識(かたち)を呆(ぼ)けさせ始める夜半(よわ)の景色に両眼(まなこ)を投じて、分厚(あつ)い晩夏(なつ)から盛夏(なつ)が零れる無為の独走(はしり)は怪訝を浮かせど、柔い身辺(あたり)は未活(みかつ)に伴う人間(ひと)の塒が散乱して居た…。灰色(グレーいろ)から純白差(しろさ)が引き立つ狭筵(むしろ)の広さは俺に合いつつ、初めから発(た)つ一命(いのち)の木の実は明日(あす)に根付かれ宇宙を旅して、男性(おとこ)と女性(おんな)の旅行の総てを幻(ゆめ)の白亜へ減退させつつ、男性(おとこ)に産れた〝大樹〟の分厚(あつ)さは死活の狭間を浮き立たせて居る…。
思春(はる)の孤独が人へ懐けず、純白(しろ)い人皮(ころも)が正白(しろ)く成り生く無駄を信じぬ斬新(あらた)な自明(あかり)は、無音の調子を何処(どこ)まで真似して活きて行くかを本気で講じて思考の身軽を相(あい)して、一人(ひと)に纏わる概(おお)きな生軸(きじく)に「意味」を見付ける努力をして居た。男性(おとこ)に産れた一女(おんな)の仕種を四季(きせつ)に跨り俯瞰しながら、俺を活かせる盛夏(なつ)の調子は不利を想わす未活(みかつ)を解(と)いた…。
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「無為の離間(りかん)」
と言うのは、面倒事を避けようと、まるで気忙な老婆を見捨てて、俺が自宅へ帰ろうと小里(こざと)の家の横の短い坂を上り掛けた頃、山里病院(やまざとびょういん)から俺の携帯へ連絡が入り、「気忙な老婆様の携帯電話は山里(ここ)に忘れられて居た様(よう)で、お預かり致して居ります」と言うような内容を受けた事が切っ掛けと成って、そこまで言われたら仕方が無い、と言う程に気持ちが沸き立ちそうに成った訳で、正直、俺の気分は面倒臭くて、落ち込んで居た。
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荒野(こうや)を脱出――。無知を引き連れ夏を独歩(ある)くて見知らぬ景色が風(ふう)っと現れ、未然に片付く一命(いのち)の言動(うごき)が無重に脚色付(いろづ)き可弱(かよわ)く見えて、…脆(よわ)り果て生く漆黒(くろ)い景色は何時(いつ)の間(ま)にやら爽快さえ識(し)る…。不倖(ふこう)に見積もる羽虫(むし)の一肢(からだ)の哀れな末路は一幻(ゆめ)の一声(こえ)から未重(みじゅう)に片付く拙い延命(いのち)に程々(ほとほと)戯れ、事始(こと)の進理(しんり)に幸先(さき)が見得ない無数の過憶(かおく)が梵天(そら)から降(ふ)り落ち、「無己(むこ)」を象る司教の奴らは利潤に絶え貫(ぬ)く幻想(ゆめ)の温差(ぬるさ)を、一つ、一つ、二つ、二つ、…古豪と称され失(け)される羽虫(かれら)に一気に訓(つた)えて拡散して居た。欲張り貌(がお)から孤独の貌(かお)迄、一つ一つに落ち着く延命(いのち)は思惑(こころ)の界(かぎり)に絹を脱ぎ出し、悶着ばかりの古豪の棲家を事毎荒らして追随して活き、盛夏(なつ)の哀れを小言に謳える奇妙の調子に順曲(じゅんきょく)している。男性(おとこ)の自覚(かくご)に「意味」を付すのは一女(おんな)の貌(かお)した怜悧(つめ)たい存在(もの)にて、一夏(なつ)の証明(あかり)を一宙(そら)へ見送る不貞の自主(あるじ)に従順でも在り、涼秋(あき)の冷風(かぜ)から延命(いのち)を想わす無垢を講じた自体(おのれ)の証明(あかし)は、身分を問わずに情緒を奏でる旧来独白(むかしがたり)の浅博(せんばく)でもある。―――幻(ゆめ)の白霧(はくむ)を潜(くぐ)り終えれば俺の前方(まえ)から一局(ひとつ)に統(たば)ねる無想の快無(オルガ)が散行(さんこう)して活き、文言(ことば)凌ぎに未完(みじゅく)を燃やせる現方(うたかた)ばかりが理論を踏んで、証明(あか)るい「明日(あす)」から今日が片付く夢想の感無(オルガ)を憎しみながらも、端麗(きれい)な一女(おんな)を求め始める理高(りだか)い行為へ明け暮れ始める。朗(あか)るい葦から鳶(とんび)が飛び跳ね、条理を決めては一夏(なつ)に向かない奇妙の自主(あるじ)を介在させ活き、自己(おのれ)の未知から陽(よう)を求める不屈の驚異に身元を問うのは、自体(おのれ)の未知から愚鈍が羽ばたく無意(むい)の気色が呆(ぼ)んやり蹴上がる…。一女(おんな)の狭筵(むしろ)を仄かに呈(しめ)せる明日(あす)の生憶(きおく)に追随しながら、児(こども)を操(あや)せる事始(こと)の概(おお)くは未信(みしん)に赴き自覚(かくご)を報され、明日(あす)の一定(さだめ)に安穏だけ知る無通(むつう)の容疑を確認して居る。一男(おとこ)の容疑は女性(おんな)に気取れず識(し)られず在ったが、初夏(なつ)に見送る自主(あるじ)の生果は無二を想わす未分(みぶん)の厚味(あつみ)で、明日(あす)の行方を嗣業に見定(さだ)める白洲の小敗地(アジト)に活き尽(き)る幻(ゆめ)には、孤高の合図が自然(しぜん)に解け入る無通の自体(からだ)を充足して居た。一女(おんな)の貌(かお)から感覚(いしき)が遠退く小春(はる)の一朗(あかり)は穏やかばかりで、男性(おとこ)の生憶(きおく)に羽虫(むし)が発(た)つのは無欲に転じた出遅(おく)れを想わせ、初春(はる)に片付く無応(むおう)の調子を利欲(よく)に見定(さだ)める旧(むかし)の交響(ひびき)は、一人(ひと)の一定(さだめ)に通感(つうかん)し得ない〝併鏡(あわせかがみ)〟の一途(いっと)に発(た)った…。自体(おのれ)の小言に独創(こごと)が立ち生く暗黙(やみ)への成就は男性(おとこ)の気色に認識され得る「理想の一女(おんな)」の変容から観て、幻(ゆめ)の児(こども)に孤独を見送る無通の気色が「明日(あす)」を奏でた旧い〝律儀〟へ俗世(このよ)を省み、明日(あす)の〝仕種〟を煩悩(なやみ)に見定(さだ)める未憶(みおく)の空虚を手毬に突くのは、一女(おんな)の幼体(からだ)に利己が佇む未信の脳裏へ羽ばたき続ける…。変容して生く旧(むかし)の理女(おんな)は旧来(むかしながら)の未完(みじゅく)の概(おお)さに、一幻(ゆめ)の感覚(いしき)をつとつと奏でる無理の記憶を重々二重(かさ)ねて見定(さだ)めて、〝併鏡(あわせかがみ)〟の無風の内にて長髪(かみ)を掻き揚げ流し続ける無動(むどう)の自主(あるじ)を真横にたえらせ、初めから無い身憶(みおく)の長者は自己(おのれ)の感覚(いしき)に通感した儘、事始(こと)の概(おお)くを自然(あるじ)に失くせる幻覚(ゆめ)の両刃(もろは)を良き物ともした。苦労に幻見(ゆめみ9る無一(むいつ)の箴言(ことば)も俺にとっては甘言とも成り、五月蠅(あわ)い現代人(ひと)から良く良く蹴上がる「理想」を尽せぬ流行(ながれ)の不様は、密(みつ)に通せぬ信仰(まよい)の礫と何ら化(か)わらぬ末路を象る――。感覚(いしき)を成せない素人ばかりの一夏(なつ)の微温味(ぬるみ)は、私欲(よく)に任せて利信(りしん)を哀れみ、過度の調子を損ねる事無く無心に統(たば)ねた孤独の表情(かお)へと、未貌(みぼう)を二重(かさ)ねて閑散(しずか)に在った。夏の一連(ドグマ)は一宙(そら)へ木霊し宙返りをして、自分の身重を私欲(よく)に枯らせる。唯一(ひとつ)の両刃(もろは)を強靭差(つよさ)に見立てて、紺(あお)い一宙(そら)から一夏(なつ)を見下ろす無適(むてき)の哀れを一人(ひと)へと遣った…。羽虫(むし)の初歩(いろは)が、一夏(なつ)の脚色(いろ)へと呑まれて入(い)った。
一夏(なつ)の逆行(もどり)が逆光(ひかり)を迷わせ羽虫(むし)の無機から思考の有機へどんどん膨らむ初暖(しょだん)の頃には、幾らも尽きない羽虫(むし)の孤独が文句(ことば)を呑まずに躊躇して在り、旧来独語(むかしがたり)の哀れな調子に幾つも欠かせぬ未曾有を据えれば、晩夏(なつ)へ落せる不断の一光(ひかり)は有機を費やす堕落を見送り、夕日の涼風(かぜ)には思惑(こころ)が点(つ)かない脆(よわ)い自体(おのれ)が散見され得た。
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「無重の従酔(じゅうすい)」
しかしまぁ気分を取り直し、気忙な老婆を俺の自宅のガレージ前に連れて行こうとした。「面倒」と頻りに思った理由の一つに、介護技術的に、気忙な老婆を如何(どう)して自宅のガレージ前まで連れて行ったら良いのか、が分らないで、安全の図り方が判らなかった故の「気忙な老婆にとっての危ない橋を渡らせたくない」とも言う、俺の弱い気持ちも在ったからだ。その頃から、小里の家の前の小さな坂は俺の自宅の中の急な階段に変っており、その階段は、坂を上る途中で気付くと、何処(どこ)かの高層施設ででも見るような、滅茶苦茶長く、今上った階段の位置から吹き抜けになっていた階段の下方を覗くと、立ち眩みがする程の高い位置に在る事にさえ気付かされた。
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不動の綱渡り。初夏(なつ)の空城(くるわ)に未知を置きつつ、無謀の辷りを固より毛嫌い模索を続ける無難の自主(あるじ)を懐(おく)へと突っ込み、無名の自主(あるじ)とその掌(て)を繋げる一幻(ゆめ)の孤独は無頂(むちょう)を調べて、気忙な老婆の羽虫(むし)への誤算は、延命(いのち)の歯切れにその実(み)を見定め、分厚(あつ)い一流(ながれ)を空城(くるわ)に見込める暗中模索を空(そら)んじ続けた…。晩夏(なつ)の一夜(ひとよ)は奇人の末裔(すえ)より〝意味〟を解(かい)せぬ憂き世に成り立ち、不倖(ふこう)に続ける無一(むいち)の生茂(しげみ)にその眼(め)を見届け一女(おんな)を拝し、分厚(あつ)い途切りに華(あせ)を搔かせぬ夜半(よわ)の冷気は滅法優しく、室(むろ)の許容(うち)から熱尾(ねつび)を保(も)たせる〝併鏡(あわせかがみ)〟の満潮等には、一夜(よる)の彼方に成果を見送る浮浪の定律(おきて)が態々(まざまざ)在った。文言(ことば)を囀る旧(むかし)の一肢(からだ)は俺の葦から至純(しじゅん)を統(たば)ねる「一夜(ひとよ)限りの可能の連度(れんど)」を弓に弾くまま三明(つき)へと放り、孤高を射止めた〝合(あわ)せ司(づかさ)〟が自分の身重を身欲(よく)に観るのは、旧来独白(むかしがたり)の合図の底から未知を統一(たば)ねて利潤を幻見(ゆめみ)る人間(ひと)の感覚(いしき)に通感(つうかん)して居る。他(ひと)に気取れぬ漆黒(くろ)い両瞳(まなこ)は渇夜(かつや)の目下(もと)から一糸を気取らせ、現代人(ひと)の概(おお)くに連動して生く物見相場(ものみそうば)の成果(なれのはて)から感覚(いしき)を集める覚動(うごき)をし続け、夜半(よわ)の三日月(つき)から見得行く温味(ぬくみ)を自己(おのれ)の分身(かわり)へ着せ替え始めた。一幻(ゆめ)の弛味(ゆるみ)は無言に羽ばたく文言(ことば)の可能(かぎり)を無音に認(したた)め、分厚(あつ)い一夜(とばり)に概句(おおく)を見せない不夜の煽りを路傍に置いた。無機に寝そべる机上の紙には俺の憂慮が堂々照り映え、無知に名高い気楼の歩陰(ほかげ)が幻(ゆめ)に表れ〝寝首〟を搔く儘、自体(おのれ)を呈した無謀に抗う漆黒(くろ)い霞を上手(じょうず)に解(と)いた。自体(おのれのからだ)が日夜の床(とこ)からむくりと起きては未想(みそう)を突き出し、幻想(ゆめ)の白亜に空気(もぬけ)を見取れる無創(むそう)の孤独を追随させつつ、幻想(ゆめ)に気違(きちが)う寡の暮らしは未己(みこ)に従い無想(むそう)に埋(うず)もれ、見果てぬ一幻(ゆめ)にて自分(てめえ)を彩る旧(むかし)に抗う奇想を識(し)った。明日(あす)の寝床に独義(ドグマ)を識(し)りつつ幻(ゆめ)に隠れる天賦の労苦は自己(おのれ)の感覚(いしき)に分捕り始める未有(みゆう)の蛻を樞(ひみつ)に留(と)め置き、幻想(ゆめ)に見紛う気性(きしょう)の一夏(なつ)には、〝雪解け間近の自体(おのれ)の感覚(いしき)〟が宙(ちゅう)を駆け活き無断を知った。
手痛い初夏(なつ)から無機に頬張る呪文(ことば)の手数(かず)には、自己(おのれ)の相手が退屈(ひま)に見え行く真っ向勝負の布陣が観得活き、一幻(ゆめ)の背中へすんなり還れる文言(ことば)の調子を一定(さだめ)に見た後、幻想(ゆめ)の概句(おおく)に閑散(しずか)を呑み行く無適の情緒を一気に知れた。明日(あす)の元気へ近付く間際に「此処までおいで。」と何(だれ)か呼ばれて、幻(ゆめ)の湯気から発(た)ち生く夢限(むげん)を呈した旧い小宿(やど)には、旧い躯(からだ)が感覚(いしき)を揃える無間奈落(むげんならく)を〝調子〟に置きつつ、「尻軽」ばかりが朝日に名高い覚めた真面が坊主を突いた…。
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「三寒四温の小春(はる)の時期(ころ)から」
…その階段を、俺は気忙な老婆と上って居たのであるが、俺は、気忙な老婆の「焦り」の所為でこんな面倒事になっている、事に内心結構目茶目茶腹を立てて居た事もあり、気忙な老婆を自分の後から付いて来させて、自分は先々(さきさき)、後から付いて来る気忙な老婆を待つ事もせずに、俺の自宅のガレージ前まで行く事だけを考えて居り、そこから如何(どう)すれば最も効率良く事を終えられるか、を考えて居た。
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夏不精(なつぶしょう)。―――苦労の絶えない四季の折りから幻想(ゆめ)の活気に拡がり続ける無心の揺蕩(ゆらぎ)に未知を連ねる不義を識(し)る内、幻(ゆめ)の暗夜(やみよ)に文言(ことば)を辿らす事始(こと)の概(おお)くを微塵に観るのは、明日(あす)に小波(さざ)めく未音(みおん)の形成(かたち)に刃ね虫(むし)の気勢が還(もど)った時期(ころ)だ。一女(おんな)の体形(かたち)が不夜に在るころ孤独の概句(おおく)は暗夜(あんや)に拾われ、自己(おのれ)の無機から情緒を育む無明(むめい)の自主(あるじ)を散見した後(のち)、女性(おんな)の自主(あるじ)は虚無を識(し)るのを自己(おのれ)の身陰(かげ)から吐き出す態(てい)にて、「明日(あす)」の延命(いのち)を〝木の葉〟に見立てる孤高の揺蕩(ゆらぎ)に没して在った。―――幻(ゆめ)の規律に追随して生く孤高の不埒に見送る遊戯は、児(こども)を掌(て)にした神秘(ふしぎ)な遊戯を滑稽(おかし)く見据える独義(ドグマ)に訓(おし)えて、分厚(あつ)い牙城(とりで)を空気(しとね)に漏らせる神秘(ふしぎ)の遊戯を得難い代物(もの)だと確認した儘、旧い扉をずんぐり開(ひら)ける幻(ゆめ)の小躍(おど)りの概(おお)きな一輝(あかり)は、無残に死んでも無残に生き行く旧(むかし)の傀儡(どうぐ)を道連れにもした。無知に纏わる災い事には日用(にちよう)から成る不変が挙がるが、俺の方から一夏(なつ)に近付く夢限(むげん)の遥かは、未知の文言(ことば)に出遅れながらも、脆弱(よわ)い私欲(よく)から「俺」が挙がれる無想の神秘を拡散して居た…。不動の幻(ゆめ)から〝調子〟が活き付き幻(ゆめ)の文句(もんく)を古豪に翻(かえ)すも、一夏(なつ)に与(あず)けた児(こども)の概(おお)くは無知を幻見(ゆめみ)て怒涛に削られ、旧い限りに一夏(なつ)の予兆を認(みと)める事始(こと)の進化を見定めながらも、一幻(ゆめ)の脆さの未想(みそう)の果(さ)きでは孤独の概(おお)さが充満せられて、分厚(あつ)い空気(しとね)が晩夏を踏むのは遥か果(さ)きでの夢想に在った…。孤独の元(もと)から〝児(こども)〟が蹴上がり、幻夢(ゆめ)の信理(しんり)が佇む間際も、孤独の寵児が生産され生く盛夏(なつ)の小敗地(アジト)に参観され活き、一幻(ゆめ)の網羅に不動を問えども明日(あす)の孤独は景色を識(し)れずに、分厚(あつ)い滾りの問答等には不意の自主(あるじ)が自粛して居た。白日から成る冬の灯(ひ)である。―――一夏(なつ)が発(た)つのは盆から蹴上がる羽虫(むし)の亘(わた)りが故郷を幻見(ゆめみ)て去来する時期(ころ)、紅(あか)く燃え生く蜻蛉(とんぼ)の一羽が二輪を酔わせる晩夏(ばんか)に基づく…。―――幻(ゆめ)に仕上がる真っ赤な夕日が俺の四季(きせつ)を遮る頃には孤高の牛車(ぎゅうしゃ)が震える四輪(てあし)を宙(そら)に見詰めて駆動(うご)く儘にて、分厚(あつ)い空気(しとね)に陰府(よみ)が漂流(なが)れる旧い孤独は不平を気取らず感覚(いしき)へ向き出し、羽虫(むし)が跳ぶのを起居に幻見(ゆめみ)る浮浪の一体(からだ)は窮屈なれども、「孤独の牛車」が片付く宙(そら)には一等(はじめ)の星さえ姿勢を正せる。不動の一体(からだ)に未完(みじゅく)を見れども〝向き〟の衝動(うごき)は見定(さだ)めを知らずに、旧い〝四輪(てあし)〟に一命(いのち)が基づく呼吸の亘(わた)りは羽虫(むし)に報され、寒い一夏(なつ)から初秋(あき)が小鳴(さえ)ずる無様(むよう)の億土の連なる果(さ)きには、不忠の自主(あるじ)が宙(そら)へ還れる〝器用〟の形成(かたち)を孤独に剥いた。俺の孤独に「背中」が寄りつつ一幻(ゆめ)の描写は白亜(しろ)い孤独を一層毛嫌う強靭(つよ)さを秘めつつ、未知の夕べへ孤高を放れる憂き世の神秘に到達していた。机上の白紙(こころ)に鈍(にぶ)りが漏れ活き古豪の内では真(しん)に徹する普通の芥(あくた)が動揺し始め、分厚(あつ)い明日(あす)へと逆行(もど)れる憂慮は何時(いつ)の経過(ながれ)にその実(み)を窄める…。分厚(あつ)い蜃気が小声を伏すうち幻想(ゆめ)の魅惑が御託を並べて、幻覚(ゆめ)の独創(こごと)を錯乱(みだ)して観るのは儚い暗夜(やみよ)の人力(ちから)であった。拙い界(かぎり)の人力(ちから)の一角(かど)には儚い脚力(ちから)の余韻(のこり)など立ち、凍えて見積もる現代(うつつ)の日(ひ)の掌(て)は真っ向から観て錯乱して居り、陽光(ひかり)の礫に明日(あす)を詠むのは紺(あお)い形成(かたち)の煩いでもある。未知に傾く人間(ひと)の謳歌は小春に忍べる活力(ちから)を観れども、脆(よわ)い僕(しもべ)の呼吸(いき)を感じる現代(うつつ)の人陰(かげ)から自慢を見積もり、忍んで眠れる夕日は孤独の脚力(ちから)に噴散(ふんさん)している…。
女性(おんな)の体形(かたち)を円らに観ながら分厚(あつ)い仕来(もどり)が一男(おとこ)に発(た)ち活き、未活に生き得る端正(きれい)な〝水面(みなも)〟は俺の側(そば)から乖離(はな)れて行った…。苦労を見知らぬ無想の白壁(かべ)には自己(おのれ)の未完(みじゅく)を匂い続ける概(おお)きな併鏡(かがみ)が真傍(まよこ)に付けられ、旧い足取(あと)から局(きょく)に赴く文言(ことば)の初歩(いろは)を勘定して居た。一男(おとこ)の意固地を未有(みゆう)へ知らしめ粗い木目(きめ)から「成る日(ひ)」を問うのは未活の真理(しんり)を幻(ゆめ)に見守る不埒の生絆(きずな)に有頂を識(し)り生く孤高の正義を幻想(ゆめ)に揉む内、苦労を見知らぬ旧い明日(あす)へは〝感覚(いしき)〟を問うまま自己(おのれ)が白亜(はくあ)へ跨る苦慮の背中をぽつんと押したら、自由を掌(て)に取る夢朽(むくつ)の年輩(やから)は課業(かぎょう)を詠むまま無視を働き、一重(ひとえ)に幻見(ゆめみ)る無謀の感覚(いしき)は角(すみ)へ追い遣る儀式を紐解き、孤踏(ことう)の初歩(いろは)に檄(げき)を飛ばせる紅蓮腕(ぐれんかいな)の葦を洗った。初夏(なつ)の朝陽に愚行(ぐこう)を観るうち無為の仕種に加担が恵まれ、酔わず語(がた)りに概(おお)くを試せる旧い遊戯の初端(すそ)の方では、両親(おや)の側(がわ)から感覚(いしき)を問えない孤高の定律(おきて)が頭を擡げた。初夏(なつ)の暑さに見限る一命(いのち)は真白差(しろさ)に耐え得(う)る羽虫(むし)が表れ、広い一宙(そら)から防風して行く孤独の概(おお)さに自由は破られ、厚い寝室(ねむろ)に華咲く空気は未完(みじゅく)の自主(あるじ)へ突進して生く…。初夏(なつ)の羽虫(むし)から一女(おんな)が表れ律儀に問い生く身元の生気は、加減を見知れぬ一体(からだ)の重さに無味を掲げぬ自体(あるじ)を嗾け、紺(あお)い宙(そら)から理屈を覚(さと)せる旧い少女(おんな)の離散の挙句を、無知に呼び込み無謀に生やせる一向伝(いっこうづた)いの進化に識(し)った。盛夏(なつ)の温度が冷(さ)め冷(ざ)め落ち着く日々の自活(かて)から自主(あるじ)が仕上がり、孤高の宙(そら)には一男(おとこ)が跳び生く魔法の陣地が人智として在り、識(し)れぬ一命(いのち)を不敵に見据える浮遊の自体(あるじ)の揺蕩(ゆらぎ)の内(なか)には、げん(ゆめ)の白紙(こころ)に情緒を知らない明日(あす)の容姿(ようし)が逃走していた。無知に始まり無知了(おわ)れる真面の純白差(しろさ)に辟易したまま昨日の孤独を真面に見取れる一女(おんな)の気色は夜毎に見積もる不意を見た儘、余程の延命(いのち)を不順(ふじゅん)に観て生く宙(そら)の景色にその実(み)を慰め、相(あい)した景色に果実を愛する女性(おんな)の感覚(いしき)に感嘆さえする。旧い温度に魅惑を求めて貴重の幾夜は寝屋の内から、自体(おのれ)の感覚(いしき)に仕上がる温度は斯くも然々無鈍(むどん)を発し、端麗(きれい)な瞳(め)をした逃走経路を自己(おのれ)の貌(かお)から余所へ曲げさせ、幻想(ゆめ)の活気に欲張る進度は「明日(あす)」の高度を地上より観た。旧い気色に動転して生く未活の進化が「昨日」を忘れて、旧い身重を寝屋の側(そば)から迷わぬ自主(あるじ)を真面に据え置き、自己(おのれ)の身近へ女性(おんな)を幻見(ゆめみ)てするするするする解(ほど)ける夜目には、活き活きして生く空気(もぬけ)の相(そう)へは孤独の様子が散見され得た。
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「物忘れの木(き)」
気忙な老婆は何時(いつ)しか又焦り、その焦りのパワーの為にさっささっさと上る事が出来て何時(いつ)の間にか俺の横を通り過ぎ、俺より先を歩いて居た。右片麻痺を変らず患って居たので、がったんごっとん、片輪走行の態(てい)で今にも(気忙な老婆に)危険を齎せるような階段を上って居た。俺は嫌な予感がした。その途端、気忙な老婆は、まるで階段ではなく平坦な道でも歩いて居るかのように余りにも急で危険な階段である事を意識出来て居ない態にてすっすっすっすっ歩いて居たので、それが祟ってバランスを崩し、吹き抜けから上手く体を通して落ちて行き、「がたん!」、「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――………!」(温もりが遠ざかる
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虚空に乗じた物忘れの記(き)。あしたのならくはきょうのみもとのふらちのあいだで、こごとのおおくをこてさきばかりでよびつづけてゆくいみをとおさぬあすがよりそい、けしきとけしきをゆめにうらなうふらちのむーどはとたんにくれゆき、しぐさにしぐさをじゅうぶんかさねることうのもんくをことばにかえた。あせるろうばのひとみのおくにはひびのかえりがおおくをわすれて、かことかことがじゅうぶんかさなるみわくのゆうぎにかんさんされゆき、いしきにさきうるしろいまわたをそらへやるのは、あせるおんなにきょむがはたらくちほうのあるじのこんめいからなる…。―――、きついのいずのあわれなこえにはあせるろうばのおどりがつきだし、おとことおんなのはゆうのきょうみがしょうきんばかりをあてにしてゆき、おのれのいしきがとうぜんしぬのはようのひかりのほはばをしるうちたいようからみたいしきのすそにて、あわいつきからいのちをもやせるふるびたそうびのたびにきどれる。ことのよろづにきどれるしんとはよほどのくちからしあがることばを、くろいさんかにおしえるまもなくあついくちにてほうこうしながら、きちんとしこめるおんなのいろかは「ながいはる」にてもぬけをしらされ、つぶさのからだにひびきわたるはいしきのかけらのじゅうりんだった。くろいいしきはけしきをわすれてむかんならくをむげんにみたまま、あついおもいをだびへふるうちものおじばかりをかげんにつるし、ゆめのどうきょとろうばのほてりをまむきにあうままみかさをもたげて、くろうばかりにじゅうぶんめがゆくふるい〝あしば〟につうかんされえた。ろうばのあしにはひかりのあるじがかげんをしらされ、つとめてはばたくいしきのあかりがここうのみごとにふんさんするうちゆめのみごとにつうかんしたまま、ほていをおもわすふらちのゆうぎはみちにおもねるからだをとらえて、ようじょのうちからたいをしめせるねむろのあるじにそんたくしてゆく…。…きみょうのひかりにようをしとめてふるえるろうばはしぜんにかえされ、らっかのちょくごにあかりをみたのはふるいぼうからまともにしれゆく〝まむきばかりのろうか〟であった。ろうかのあたりでろうかしてゆくあらたのからだはろうばをむさぼり、あらたないしきでとこうをかさねることりのすみかはどこへもたてなく、いみをぎゅうじりいしきをゆめみる、ここうのあるじにさんかんしている…。きれいのもとにはおんなのあるじがいしきをもたげて、おのれのいのちにしきをもたげぬふようのあすからからだをしあげ、ゆめにみるままゆうべのまくらをこきょうにかえせぬ〝あげく〟にねめはて、じゆうのすだちをじゆうにかせないしゆうのしんろへおのれをとした。あすのいばしょをとくていするのにことのあるじにさんかんしてゆく〝ぶなん〟をならしたこくうのごしょには、よみのくにへといっそうくだれるふるいぎしきのなれのはてにはおんなのいしきがからだをつれそい、つきそいばかりでからだがうごめくみかつのつぶてがそらへかえれる、あすのゆうべをもくさんしている…。みゆうのあるじへじぶんをしるのはなつのあるじがはばたきはじめるくろうのみおもにつうかんしてゆき、しどろもどろにあるじをつちかうおのれのおんどはあすをすまされ、しとうにかさねたふつうのありかをものみにわすれてすがたをけしえた。〝けしごむ〟からなるふるいもんくのぎっちょのかたから、おとこのあるじがしんぽをわすれておんなをけわすれ、りくつばかりがおうこうしてゆくふるい〝よみ〟からりくつはしあがり、どうどうめぐりにらっかしてろうばのすがたはさんざんざわめくことのおおくをなげいてあった―――。いみのふかちにしんぽをわすれたおんなのいろかはものおいばかりで、ものういすがたにじんちをきどれたからだのおおくはなしのつぶてにかっきをよみとり、こうもりがさからちーむをわけゆくふるいおうぎのしんせんにはもう、あすのゆめからのんべをはたらく「だらくのおとこ」はだっそうできない…。しろいからだでじゅんぱくからなるここうのゆうしゃにこどくをよむうち、いちのすがたでみぜんをふせげるむくのゆうしゃは〝ぎゅうしゃ〟のたづなをしつこくたばねて、おんなのけしきをおんどにみたてるなつのあるじはふこうさえみず、こんどあわれにそのみをおとせば、もののみごとにだっそうしはてる「こどくのきのみ」をむさぼりはじめる。
富裕層の霊。人の噂が費える妙にて俺の自主(あるじ)は孤独に名高い奇妙の信仰(めいろ)へ没頭する内、知らず知らずに奇妙に意図する夢中の発破は八頭(かしら)を弱らせ、幻(ゆめ)の未知へと虚無を正せる一夜(ひとよ)の霊には自然(あるじ)を捕まえ、旧来独白(むかしがたり)に震顫(ふるえ)を見て居る孤独の老婆を仕上げて在った。無応(むおう)の陽光(ひかり)に密(みつ)が仕上がり、〝常遁(とことん)知れずの王〟の不様が固陋に纏(まつ)わり古巣を抜け出て、「明日(あす)を苛む児(こども)の悪事が宙(そら)に跳ね生き孤独を翻(かえ)し、寄って集(たか)って苦労をするのは一女(おんな)の生気の哀れでもある。孤独の姿勢(すがた)が真夜(よる)に起き出し孤高に暮れ行く讃美の既知には、幻(ゆめ)の〝身重〟に培い続ける空城(くるわ)ばかりの聖地が群がり、人間(ひと)の姿勢(すがた)に記憶が無いのを生憶(きおく)に寄り付く仕種に付すのは、安い誉(ほまれ)の「明日(あす)」に生え行く向日の自然(あるじ)のお日様だった。無応の一桜(さくら)に蹂躙されつつ俺の背後は女性(おんな)の桃(はで)から許容が逃れて、逸し始める「窄めた一体(からだ)」は旧(むかし)の様(よう)にはもう逆行(もど)れず儘にて、脚(あし)の張りから疲れを覚(さと)れる旧い気色の身重に纏(まつ)わり、「昨日の軍歌」を滅法気取れる稀有の白衣(ころも)に浸透して生く。分厚(あつ)い衣(ころも)を宙(そら)に見上げて頭上(うえ)に佇む女性(おんな)の自主(あるじ)は端麗(きれい)な瞳(め)をして潜伏(ダイブ)して生く「人物(もの)の王者」を断固砕かれ、露頭へ吸い付く〝人物(もの)の哀れ〟は奇妙な瞳(め)をして固陋を看破(やぶ)られ、旧い臣人(おみと)の身傍(みそば)の人陰(かげ)にて厚い兆しを放命(ほうめい)して生く初端(はし)の生気を一気に片付け、狂い咲きする〝身重〟の総ては鮒に集まる気色を観て居た。女性(おんな)の気色に偶然成らねど奇怪の姿勢(すがた)が併せて二重(かさ)なり、宙(そら)の成果(はて)から俗世(このよ)の生果へ遊山の痩躯は不断を見忘れ、望郷上がりの〝成らずの無心(こころ)〟は苦労を見知らぬ安堵を紐解き、机上の端(すそ)から側(そば)を乖離(はな)れぬ不穏の感覚(いしき)を観測して居る…。女性(おんな)の描写が人塊(たまり)を忘れて〝一宙(そら)〟の概(おお)くを晒して行くのも未知の記憶に未来(みらい)が咲き得る活性ばかりの四温(しおん)に留(とど)まり、幸先豊かな人間(ひと)の孤独に無機が佇む今日の労苦は、箴言ばかりが先行して生く旧い四肢(てあし)に巻き付かれて居た。男子(こども)の姿勢(すがた)が男児(おとこ)に成り立ち、神秘(ふしぎ)の生憶(きおく)が枯渇に触れ行く〝億万長者〟を観察しながら、明日(あす)の目下(ふもと)へ順々降(お)り生く〝苦手意識〟の枯渇の理由(わけ)には、一女(おんな)の総てが体躯を欲しがる〝尾行遊戯(びこうゆうぎ)〟の落胆さえ立つ…。身重の幻覚(ゆめ)から〝女性(おんな)〟が仕上がり、華(はな)の情緒を一宙(そら)へ手向ける孤高の撤廃地(アジト)は勝利を見棄てて、柔い明日(あす)から旧(むかし)を仕上げる無陋(むろう)の遊戯を参観して居た。男性(おとこ)の生憶(きおく)は物怖じせずまま深い寝室(ねむろ)の淡差(あわさ)を観た他、無業に留(と)め得る真面な自然(あるじ)が事始(こと)の総てを欲して在った…。蛻の相(あい)から空転(ころ)がり続ける虚無の実務に一幻(ゆめ)を観る内、明日(あす)の精神(こころ)が概(おお)きく羽ばたく一途(ひとつ)の文化を強く欲して、分厚(あつ)い虚無から〝他人〟を操る苦労の所以(ありか)が総纏めに成る…。無知の相場に無欲を引き立て、自分一人が追随して生く身軽(かる)い温度をその実(み)に得ながら、往くも還るも宵の口から堂々巡りの感情(こころ)に遣られて、幻(ゆめ)の身辺(あたり)を見送る術(すべ)しか、その身の生果に憶えなかった。無知の我欲が遁連(とんづ)らしながら自己(おのれ)の記憶は曖昧ながらに、無己(むこ)を呈する一女(おんな)の春期(しゅんき)は懊悩ばかりを見事に引き寄せ、無知に了(おわ)れる愚鈍の行為に追々寄り付く心算(つもり)を識(し)った。事始(こと)の概(おお)くを無謀に識(し)れ得る〝未活〟ばかりの行為の延長(うえ)に、幻想(ゆめ)に破れて仄香(ほのか)を覚(さと)れる魅惑の雄姿を見詰めて居ながら、俺の思惑(こころ)は一女(おんな)を眺める無謀の進化を根差して在った。文言(ことば)限りの篩に先駆け俺の寵児は幻(ゆめ)を啄み、女性(おんな)の身内(なか)でも孤独を言わせる無名の自主(あるじ)の釈明から活き、「自分」に丁度の主観(あるじ)の正義を孤独に細(こま)かと揃(なら)べて行った。違う視(め)を見て後光に眩(くら)める無重の空間(すきま)へ身分を入(い)らせて、明日(あす)の界(かぎり)に自己(おのれ)を誇らす無実の寵児を傍目(よこめ)に観ながら或る朝から見た〝仕切りを保(も)たない現(うつつ)の流行(ながれ)〟に、自体(おのれのからだ)を好く好く眺める魅惑の自主(あるじ)を総じて行った。―――純白(しろ)い生憶(きおく)に〝身分〟を識(し)りつつ一幻(ゆめ)の経過(ながれ)を何処(どこ)にも見得ない身軽(かる)い撤廃地(アジト)の成果(なれのはて)から、幾らか酸っぱい人間(ひと)の生憶(きおく)が三途を渡って絶えて行くのを、日(ひ)の目(め)から観て静かにして居る…。
自体(おのれのからだ)を自棄(じき)に放(はな)せる旧い空間(すきま)に追従(ついしょう)しながら、大手通りを連々(つらつら)独歩(ある)ける身軽な寵児は記憶を保(も)たずに、一幻(ゆめ)の宵から未来(さき)へ統べ生く枯渇の酒宴(うたげ)を事始(こと)に揃(なら)べてそのまま観て居た。自分に彩(と)られた寝屋の灯(あか)りは〝寵児(こども)〟を連れ添い俺から逃(のが)れて、精神(こころ)が落ち着く不意の寝床に生気を擡げて闊達して生き、明日(あす)を揮わす「未刻峠(みこくとうげ)」の果(さき)の身辺(あたり)は、如何(どう)にも斯うにも暗黙(やみ)の許容(うち)にて自然(あるじ)の孤独に苛まれて居る…。無口を生やせた旧い感覚(いしき)は俺の方から〝向き〟を取り付け、不通に生育(そだ)てる無論の辺りを遁世したまま充分書き付け、意味も分らず感覚(いしき)も解らず、恰好(かたち)だけ観る女性(おんな)の仕種は俺を素通り暗黙(やみ)を見出せ、明日(あす)の一灯(あかり)を不思議がるのに何枚もの芽(め)を一役買わせた。事始(こと)への記憶を不断に保(も)ちつつ、微温(ぬる)い小敗地(アジト)に見切りを付け行く〝孤独の坊主〟の成果(なれのはて)には、自体(おのれのからだ)を自ず分らぬ自然(あるじ)の跳躍(かえり)が宙(そら)へと飛び立ち、自己(おのれ)の無機から同情して生く旧来独語(むかしがたり)の連覇が在った。―――俺の苦悩(なやみ)を余所目にしながら初夏(なつ)の陽気は新参して活き、幻(ゆめ)を嗜む記憶の陽気に透明色した初春(はる)が棚引き、苦労ばかりの生果の程度(ほど)には「明日(あす)の身陰(みかげ)」がほろほろ退(の)いた…。女性(おんな)の撓(たわ)みが母性(はは)を報せて、浮き足立ち生く個性の渦には、人の波間に飛び込む羽虫(むし)など人物(もの)の数にも入らぬ内にて、明日(あす)の集成(シグマ)へ活き生く姿勢(すがた)は俺の人影(かげ)からずと遠退く…。旧い棲家に「生(せい)」を観るのは初春(しょしゅん)の泡(あぶく)に新参して行く無憶(むおく)より成る素直の様子で、昨日の温(ぬく)みに涼風(かぜ)を識(し)るのは無痛に了(おわ)れる事実であった。過去の成果が仄(ほ)んのり仕上がる無憶の生果を一夜(よる)を観る上、俺の真価は他(ひと)を観ぬまま駄点(だてん)を踏み活き、明日(あす)の界(かぎり)に自由を識(し)らない不倖の様子をそっと描(えが)いた―――。母性(はは)の姿勢(すがた)を暗黙(やみ)に観て生く孤高の正義は〝雨〟にも負けずに、孤独の所以(ありか)を銀貨に換え生く無謀の自主(あるじ)を大事に観た儘、旧来独語(むかしがたり)の概(おお)きな進化は寝耳に這入らず無鈍(むどん)だけ識(し)る…。
俺の自覚(かくご)は自由を配(あやつ)り旧来(むかしながら)の細道(みち)を独歩(ある)くが、児(こども)の頃より概(おお)く見て来た幻想(ゆめ)の長寿を足場にしながら、未来(さき)を詠めずの旧い態度が未知の許容(うち)より上手(じょうず)に羽(は)ためき、事始(こと)へ対する記憶の成就は、無言に葬る無残を知った。明日(あす)の恰好(かたち)に活き生く夕べは無知に顰める脆(もろ)さの遊戯を一人(ひと)に対して上手(うま)く配(あやつ)り、無名の無実に滑稽さえ視(み)る旧(ふる)びた小躍(おど)りを充分観て居た。自分の自覚(かくご)を傍目(よこめ)に観ながら端正(きれい)に役立つ情事(こと)の多くは全く結果(さき)にて廻転(かいてん)しながら、純白(しろ)い気色に苦労を幻見(ゆめみ)る人物(もの)の概(おお)くを、事始(ことのはじめ)に見定め始めた。日夜の労苦を毛嫌いながら幻想(ゆめ)の目下(ふもと)を揚々観ながら、俺の孤独は逡巡羽ためく独創(こごと)の界(かぎり)を解(かい)して居ながら、明日(あす)に導く不毛の身辺(あたり)は虚無に巻かれて過程を割いた。「無論」の火蓋は切って落された。―――幻(ゆめ)の行方が自然に無い程〝我等〟の矛先(さき)には未知が在る。未来(さき)が在り、果てが在る。孤独の両刃(やいば)が個人に懐き、当ての外れた霧散の住居が精神(こころ)に宿らず地中に在る程、彼らの心理は暗黙(やみ)に紛れて歯切りを見せない。リフォームを呈せる教会の者達である。彼らの感覚(いしき)に従いエリートに立ち、俗世(このよ)の水面(みなも)にすっかり止まない偽(にせ)の箴言(ことば)に一念(おもい)を迷わせ、無機を呈せる余力(ちから)の行方は「仇討ち語(がた)り」に精進して生く。経過(とき)の止まらぬ不条(ふじょう)の故にて孤独の謳歌を参観すれども、一命(いのち)の重差(おもさ)は宙(そら)を観ながら、事始(こと)の概(おお)くを地味に伏(ふ)さない幻陽(ゆめ)の概(おお)くに担保を敷いた…。孤独の一人(ひと)から夢限(むげん)が仕上がる破砕の概(おお)くは脆(よわ)さを識(し)りつつ、無産の人渦(うず)から遠く生やせる夢目(むめ)の主観(あるじ)を傍観して活き、精神(こころ)成らずも側(そば)を通らぬ旧来独白(むかしがたり)の感覚(いしき)を問うた…。一幻(ゆめ)に纏わる俺の楼気(ろうき)は労苦を識(し)らずに不断を保(も)ち込み、斬新(あらた)な自主(あるじ)を過去に寄せ得る四温(しおん)の空気を散々して居た。脆(よわ)い屍(かばね)は一人(ひと)を観ながら「自由」の所以(ありか)を浮沈に見立てて、明日(あす)の遊離に自己(おのれ)が活き生く旧い空気(しとね)を大事にして居た。
*
「無明(むめい)の叫嘆(さけび)!」
「やってしまった…!」と俺は思うと同時に、「助かるだろうか…?いや…、こんな高さやもんな…、こりゃ無理かも…」等まだ氏の安全(無事)を儚くも縋って思って居り、又同時に、「この事を元職場、洗礼の園へ如何(どう)して報告したらええやろか…」と途方に暮れたような辛(つら)さを覚えながらに、「高が携帯電話を取りに行こうとした、他愛無い事が早くも懐かしく、いかに小さい事で自分が悩んで居たか、後悔するなぁ…」と言った事を続けて考えて居た。俺は震えて居た。
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「産みの蜻蛉」。旧来独白(むかしがたり)の「産みの強靭(つよ)さ」は分厚(あつ)い静寂(しじま)に訴えながらに、俺の自体(からだ)を咥え続ける旧来(むかしながら)の窮余を貪り、相対して行く景色の内(なか)では、文言(ことば)に概(おお)くの波紋を詠んだ…。分厚(あつ)い生軸(きじく)にふらふらしながら孤独の盲駆(もうく)は小声(こえ)を荒げて、幻想(ゆめ)の独気(オーラ)に〝思想〟を委ねる四温(しおん)の風気(ふうき)を夜半(よわ)に打(ぶ)つけて、微かな吐息を無従(むじゅう)に報せる余韻の身辺(あたり)は寂気(じゃっき)は白々燃え活き、精神(こころ)一つで女性(おんな)を挙げ行く未純(みじゅん)に呈した儚い一夢(ゆめ)には、文句(ことば)を掌(て)にした無数の一幻(ゆめ)から俺の倣いが静かに漏れ得た。一幻(ゆめ)の羽音(はおと)は微かに跨り夜半(よわ)の足元(ふもと)へ逆行(もど)って生くが、〝途方〟の失(き)えない自主(あるじ)の寝床は虚空に揺られて「明日(あす)」を観て居た…。孤独の棲家をひょいと離れて俺の背中は身辺(あたり)に散らばる〝遊女〟の色目(いろめ)を散見し得たが、自体(おのれ)の無憶(むおく)に感覚(いしき)を象る暗黙(やみ)の主観(あるじ)を両掌(りょうて)にとっては、「一幻(ゆめ)の未完(みじゅく)に突き出るものだ…」と私欲(よく)の所以(ありか)を既視(おおめ)に見て居た。縋り付き生く旧(むかし)の〝進歩〟は俺を欹て一幻(ゆめ)の身嵩(みかさ)に温味(ぬくみ)を吟味(あじ)わう献身豊かな行為に就き出し、明日(あす)の欲芽(よくめ)を一女(おんな)に投げ込む未知の所以(ありか)を無論に解いた…。解(と)く内から観て幻想(ゆめ)の疼きは耄碌すれども身欲(よく)に華咲く謳歌の残香(かおり)は人物(もの)の釣果を片手に採り出し、孤高に疑う真中(まなか)の陽明(あかり)を事始(こと)の果(さ)きから至順(しじゅん)に観て活き、苦労ばかりの人生(みち)の上から身憶(みおく)へ差し出す無機さえ識(し)った…。華(はな)の成る樹(き)に陽力(ちから)が湧き出し、幻(ゆめ)の身重に静かに寝そべる理性(はどめ)の進化は宙(ちゅう)を見た儘、俺の孤独を初春(はる)に酔わせる夢限(むげん)の界(かぎり)を有頂に気取らせ、脆弱(よわ)い人力(ちから)は俗世(このよ)を身嫌(みぎら)う分厚(あつ)い夜渡(わた)りを痛快せしめた。初夏(なつ)の進化へ躰を遣るうち夢中の水面(みなも)は雲海から観て、世渡り上手の奇想の可能(かぎり)を無理に認(したた)め明日(あす)へと見送り、躰一つで大樹を賄う一幻(ゆめ)の自然(あるじ)の思惑(こころ)の初端(すそ)には、怜悧(つめ)たい飛沫(しぶき)が人間(ひと)を迷わす夢中の翳りを概(おお)きく観(み)せた…。
俺の表情(かお)から身欲(よく)が跳び出て夢限(むげん)の〝釣果〟を一人(ひと)へ送れば、人間(ひと)の理性(はどめ)は羽虫(むし)を掌(て)に取り孤高の主宴(うたげ)に駆け出す頃にて、惨めを拝する孤独の上手(うま)さを懐けた際には、〝意味〟を保(も)たずに感覚(いしき)を保(たも)てる無用の感覚(いしき)を心中(こころ)に採った…。白体(おのれ)の孤独は用(よう)に至らず旧い猛起(もうき)に翳りを観る儘、現代人(ひと)の俗世(このよ)をとことん嫌える不変の温度を一体(からだ)に滲ませ、分厚(あつ)い三路(さんろ)を上手に独歩(ある)ける幻覚(ゆめ)の律儀は概(おお)きく出た儘、一幻(ゆめ)に寄り添う「恋」の形成(かたち)は人間(ひと)の記憶に奮戦して居た。夜半(よわ)の許容(うち)から「俺」が仕上がり他(ひと)の生気が落ち込む頃にて、これまで暫く既視(おおめ)に観て居た現代人(ひと)の疎さを皆殺しにして、俺の決起は幻夢(ゆめ)の内(なか)へと不相(ふそう)の自覚(かくご)で這入って行った。似寄る幻(ゆめ)から幸先(さき)を見付けて一女(おんな)の自覚(かくご)を徹底すれども、明日(あす)の仄かへ棚引く経過(ながれ)は漆黒(くろ)い遊離を大事に観て取り、明日(あす)の「一夏(なつ)」へと漏れる夕陽は気温を呈して脆くも成った…。
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「揺れ動きの初夏(なつ)」
…この出来事を観る前に俺は、D大学での英語のクラスで一緒だった香田(こうだ)先生と共に居り、何か英語の試験の答案用紙が、自分が書いたレポート用紙を前にしながら、俺の成績を向上させる為の、何か良いアイディアを出そうと、香田先生と考えて居たようなのだ。香田先生は大学にて会った時と同じように可愛らしく、妙にエロチックで、何か特別な期待感を与えてくれ得る存在に、俺にとっては成って居た。
*
吟味の向かない矮小(ちいさ)な一幻(ゆめ)から―――。無実の気色を虚空に詠み取り「明日(あす)」の為にと小さく棚引く低い個実(こじつ)に感覚(いしき)を観る頃、初夏(なつ)が揺れ生く儚い温度は一人(ひと)を要して身寒(さむ)さを繕い、昨日の調子に「挙句」を観て行く丈夫な姿勢(すがた)を気風(きっぷ)に観て居た。純白(しろ)い間取りが底に輝く個人(ひと)の主観(あるじ)は新装気取りで、寡の小春(はる)へと自己(おのれ)を匿う〝遊女〟の一声(こえ)には未完(みじゅく)が逆立ち、明日(あす)の独裁(ドグマ)に教理を見て生く旧い様子は謳(うた)をも蹴忘(けわす)れ、分厚(あつ)い白壁(かべ)にはにんげん(ひと)が見得ない「無用の界(かぎり)」が礼賛して居る…。孤独の歩速(ペース)に幻(ゆめ)を仕合わせ自体(おのれ)の向きには温味(ぬくみ)が先立ち、幻(ゆめ)の白差(しろさ)に孤高を見守る陽(よう)の強靭差(つよさ)に躍起が仕上がり、自体(おのれ)が掌(て)にする漂白(ひょうはく)ばかりで無言を相(あい)した遠方(とおく)の自主(あるじ)は、一幻(ゆめ)の孤独を主観(あるじ)に見立てる至難の信仰(めいろ)を進んで在った。一人(ひと)の可能(かぎり)を盗んで仕上げる独身(ひとりみ)限りの脆(よわ)さの許容(うち)には、俗世(このよ)で見果てる一人(ひと)の駆逐が造作を看破(みやぶ)り、暑い日照りが彼処を照らせる「自由の主宴(うたげ)」が活き活きして居る。女性(おんな)の断片(かけら)を熱意に詠み取り、命を懸けても掴めぬ現代人(ひと)には、自己(おのれ)が悪魔の強靭(つよ)い手下へその実(み)を下らせ、堕ちる純心(こころ)を充分堕(おと)せる空気(もぬけ)の遊戯に発狂して生く…。物乞いばかりが「地中」は溢れる有名無実の併鏡(かがみ)から観て、私闘に阿る現代人(ひと)の遊戯は暴力主義から殺人へと活き、人間(ひと)の初端(はじめ)に未練を失(け)せ得る無論の本能(ちから)が横行した儘、自然の遊戯に公私を併せて〝幸福(しあわせ)仕立て〟に行為を深める。活きる度毎、生き行く度毎、自然(あるじ)を眼(め)にして宙(そら)へ跳び交い、玄人仕立ての虚無の許容(うち)へと紋様(もよう)を剥ぎ取り稚拙を牛耳り、弄(あそ)び相手に私闘を二重(かさ)ねる不運の職場を活性して生く。前後の敵から左右の敵まで物の見事に打尽に葬り、初夏(なつ)の〝遊戯〟は純白差(しろさ)に見立てた白壁(かべ)を見限り、自己(おのれ)の概(おお)くを私論(しろん)に見直す無戒(むかい)の空間(すきま)を保(も)ち続けて生く。小春(はる)の一通(とおり)で小言が活き得て陰府(よみ)の許容(うち)より一体(からだ)を牛耳る孤独の王者が散見されれば、現代人(ひと)の概(おお)さは皆無に等しく淋しく成り果て、堕ちる成果(はて)には破滅を幻見(ゆめみ)る現代人(ひと)の愚行(おろか)が生(せい)を発した。一女(おんな)の柔身(やわみ)に総て奪われ、自体(おのれ)の余力も総てが発狂(くる)える稚拙な男性(おとこ)の腕力(ちから)等には、孤独を失(け)せ得る一途(いちず)の光明(あかり)も全く差さずに、夜半(よわ)の郷(くに)から〝身重〟を装う〝滑稽遊戯(こっけいゆうぎ)〟を送られ続ける…。現代人(ひと)の脆味(よわみ)は女性(おんな)から出て女性(おんな)に安らぎ、やがて一命(いのち)も永く保(も)たない儚く醒め得る一女(おんな)の悪事も、俗世(このよ)で悪事が生果を観る時、無残に殺(や)られて皆殺しに遭う。端正(きれい)な宙(そら)から延命(いのち)が流行(なが)れて、微温(ぬる)い業火に心身(からだ)を焼かれる現代人(ひと)の憂慮は総てを識(し)らずに、自然(あるじ)の孤独が本能(ちから)と成るのを幻想(ゆめ)に身懸(みが)けて識(し)ろうとして居る…。現代男(おとこ)の旧さは脆弱(よわ)きを知れずに斬新(あらた)を見知らず、現代女(おんな)の活気は宙(ちゅう)へ彷徨い身欲(よく)を見たまま破滅を誘(いざな)い、人間(ひとのあいだ)で泣き寝入りをする神秘(ふしぎ)な傀儡(どうぐ)は延命(いのち)を図れず、一夜(いちや)の許容(うち)から千夜(せんや)を辿れる人間(ひと)の臭気を吟味(あじ)わう儘にて、驚きさえして安らぎから死ぬ二性(ふたり)の終局(さいご)を如何(どう)でも観送る…。
…無法の人物(もの)から軽身(かるみ)が仕上がり遠方(とおく)で佇む真(しん)の勇者が〝通せんぼ〟をして不明をを挙げれば、自己(おのれ)の幻想(ゆめ)から未知が仕上がる無憶の共鳴(さけび)が無知に仕上がり、固陋の人陰(かげ)にて潜む一声(こえ)には美声(びせい)が震えて発端とも成る。小豆色した宙(そら)に挙がるは孟夏の「一夏(なつ)」での気配に限られ、自己(おのれ)の感覚(いしき)を区切る頃には時制を忘れた身分が紐解き、明くる朝から自由が跳び発(た)つ一幻(ゆめ)の本能(ちから)が四肢(てあし)を拡げて、〝行方知れずの王者〟の目下(ふもと)は〝勇者〟の共鳴(なげき)を密かに取り上げ、印象(ブランド)から観た滑稽(おかし)な雀躍(ダンス)は無駄を頬張り無益を強いた。分厚(あつ)い白衣(ころも)が天を指すとき真綿の肢体(からだ)が概(おお)きく開かれ、幻(ゆめ)の独創(こごと)を連呼に処すのは俺の空虚が成せる業(わざ)にて、瞬夢(ゆめ)の自主(あるじ)の身重が活き行く旧い社(やしろ)が燃える時期(ころ)には、世捨てを兆した〝夜棄(よす)て〟の仕種が苦行を葬り真傍(まよこ)に位置して、分厚(あつ)い〝水面(みなも)〟をじぶんの眼(め)に見る固陋の胴さは粉砕され得た…。明日(あす)へ活き生く旧(ふる)びた自主(あるじ)の滑稽譚では、現代男(げんだいおとこ)の馬鹿な感覚(いしき)が暗夜(やみよ)に限られ延命(いのち)を落し、女性(おんな)の鳴く音(ね)も相乗効果で無駄にしてから、草々(くさぐさ)薙ぎ生く自体(おのれ)の生果は無産に尽せる魔力を識(し)った…。漂白(しろ)い千夜が〝白夜〟を成り生く孤高の自然(あるじ)の動向等には、身重に悩める一男(おとこ)の自主(あるじ)が「型」を破られ金銭(かね)さえ失くし、自体(おのれ)の独創(こごと)を地上(ここ)で謳える矮小(ちいさ)な光明(あかり)は理想女(おんな)の側(そば)にて、俗世(このよ)を見限り暗黙(やみ)を愛せる凡庸(ふつう)の感覚(いしき)を既視(おおめ)に観て居た…。
*
「不価値(ふかち)の神髄」
…そうする間に時間が過ぎて、取り敢えずの良い解決法が見付かったようで、俺はその場(大学の教室のような場所)を後(あと)にし、自宅へ帰る迄の帰路の中、俺は山村ハドソン(D大学の同級)と一緒に歩きながら、ハドソンの考案したゲームのような仕事のようなものに付き合って居り、英語に纏わるそれ等のものに出来るだけ、ハドソンの気分を害さないようにと気遣いながら、効率を上げられるように、何か気張って居た。ハドソンはずっと、早口な、中々に流暢な、英語で喋って居た。ハドソン(そいつ)は妙なエリート意識の持ち主にて、プライドだけが妙に高く、自分に攻撃する者が現れれば容赦無くそいつを攻める、と言った難解な気質を以て居り、俺はそれが気に食わなく、ハドソンが鬱陶しく、「早くこいつと別れたい」と思い込んで居た。ハドソンの方から俺にそう思わせるような行動を取ったのだから仕様(しょう)が無い、等とも思って居た。そして、英語を教えるお堅い塾の様(よう)な場所にて、俺は何か窮屈な思いをしながら、又誰かの気分に沿うようにと自分のする事を決めて居た様(よう)なのだ。
目覚めた時、これ等の事を振り返り思った事は、「気忙な老婆を自分と一緒に肌身離さず連れて行けば事故(事故死)は起らなかった」と言う(簡単に覚醒後には思える)解決策が在った事と、現実に於いて、今あの気忙な老婆は、大丈夫であろうか、何か氏の身に異変でも起ったんじゃ在るまいか、と言う事だった。
*
改築前での初夏(なつ)の分散。選り取り見取りの初夏(なつ)の旬芽(しゅんめ)が独創(こごと)を踏まえて俺に肖り、小言の幾らは旨に肖る無難の挿句(そうく)を呻吟すれども、見亘(みわた)す限りの〝読者〟の不埒は不問に帰(き)すほど有頂(いただき)さえ観ず、独創(こごと)を欲する無難の自覚(かくご)は未知を引き連れ連想して居た。一幻(ゆめ)の解(ほつ)れは〝余りてなどか…〟恋の行方に、寄稿を試せる正義の音頭に心身(からだ)を挙げつつ無想に空転(からま)り、挙句の果てから夢想を思わす思春の一片(かけら)は分散した儘、自己(おのれ)の正義に通底して生く「正義」に居座る現行人(ひと)の労苦は無駄を報せず億尾を出した。一女(おんな)の過去には無断に仰け反る自由が羽ばたき無知と無欲に孤高を労う雨散(うさん)の気色は後光(ひかり)を幻見(ゆめみ)て、「明日(あす)」の弱音をぽんぽん吐(は)くのは一女(おんな)の主観(あるじ)を永久(とわ)に葬る幸先(さき)の豊かな寵児であった…。―――
遠い景色に参上する上、山登りに見る景色を呼び留(と)め、俺の自覚(かくご)は寝屋の許容(うち)から身重を齎す白亜(しろ)い弄(あそ)びに通感(つうかん)した儘、独歩(ある)く速度を容易(やす)く諭せる無頼の信者を無稽に採った。一女(おんな)の気力(ちから)が宙(そら)へ遊泳(およ)げる初夏(しょか)の気取りに安易を見る頃、厚い四季(きせつ)へ辿り着けない未活(みかつ)の心意(しんい)は〝在る事無い事〟無欲に貪り、暑い日に発(た)つ旧(むかし)の哀れを未来(みらい)を読み取る矛盾に識(し)った。一人(ひと)の途切りを無己(むこ)に観るまま旧来(むかしながら)の我欲(がよく)の果てでは自己(おのれ)の進理(しんり)の成果(なれのはて)からそう遠くも無いまま不純を着飾り、淡い孤独を頭上に擡げる一命(いのち)の穂杖(ほつえ)の垂れる内にて、明日(あす)の天気を転機に見紛う脆(よわ)い信理(しんり)に斬新(あらた)を識(し)った。白亜(しろ)い景色を凡庸(ふつう)に見上げてしどろもどろを手中に見納め、〝電子ツール〟の成果(なれのはて)にて無断を好く観る旧(むかし)の進理は、自体(おのれ)の過去から未亡を留(と)めない未婚の従者に愛想を尽かせる…。
過去に活き生く孤島の信者は孤独の自活(かて)から自由を貪り、自体(おのれ)の心裏を自涜するまま自己(おのれ)の気力(きりょく)を夢限(むげん)に帰(き)せた。幻(ゆめ)の羽衣(ころも)を未知に詠むうち無遊(むゆう)の自主(あるじ)は驚嘆しながら、地中の底へと慌てふためく未有(みう)の景色に青褪め始める。自分の無憶に将来(さき)を見定め、決して成らない事始(こと)の謳歌に無酔(むすい)を以て根(こん)良く根(ね)を張り、分厚(あつ)い収会所(モルグ)に奇跡を観るのは芥子の咲く頃、六月である。心算(つもり)の華(はな)にて美人を着飾り、乙(おつ)に身構(かま)えた無信の体(てい)では一女(おんな)の体裁(かたち)も一向成らずに、身辺(あたり)構わず無言で居るのは私欲(よく)に感けた無断で知らされ、分厚(あつ)い孤独に陽(よう)を観るのは「無価値」に平伏す文言(ことば)の意に在る。女性(おんな)の自覚(かくご)が邪心を見捨てて身欲(よく)を見限り追随し得(う)れば日本の景色は如何(どう)とも成らずの不動の幻(ゆめ)など忘れ去ろうと、明日(あす)を幻見(ゆめみ)る「俺」の心境(こころ)は妄りに唱えて自主(あるじ)を見て居る…。孤高に活き生く「枯渇の主観(あるじ)」は児(こども)を掌(て)にして身重を募らせ、明日(あす)の出来(でき)から卿の出来まで再三見事に嘴など折り、身欲(よく)を相(あい)せる自活の行方を宙(そら)へ追いつつ儚く散った。心中(こころ)の何処(どこ)かで五月蠅味(あわみ)を気取れる自由の帝(みかど)を斬新ながらも…、分厚(あつ)い黒壁(かべ)からその実(み)を小躍(おど)らす拍車の一(いち)から幻(ゆめ)を通らせ、人間(ひと)の無機から自活を得られる旧い孤独を按じて踏んだ。白砂の上では初夏(なつ)が暗転(ころ)がり涼風(かぜ)の鳴るまま一夏(なつ)を匂わす無重の白目を遠目に見得ても、頃合い計らう女児の所以(ありか)は緊(きつ)い肢体(からだ)の張りを遠退け、一宙(そら)に見え生く無欲の成果(はて)には現代人(ひと)の死滅がその実(み)を出した。面白がるのは快活気取りの俺の背裏(せうら)で、一夏(なつ)の揺蕩(ゆらぎ)に文句を割かない旧い上着を上手(じょうず)に着た儘、旧(むかし)に幻見(ゆめみ)た〝寝床〟の概(おお)くを事始(こと)の大化へ充分見納め、漆黒(くろ)い自主(あるじ)に写真を収める旧い遊戯に身悶えして居る。旧い〝葦〟には自由が紐解き、未活に見え行く古豪の文句を事も無いまま自由に見詰めて、一夏(なつ)の瞬期(しゅんき)を上手に発(た)て行く未有(みゆう)の景色にその眼(め)を留(とど)めて、明日(あす)への浄化を現行(いま)に見定(さだ)める身近な信理(しんり)を噴散している…。昨日の手記から固陋が外れて自己(おのれ)の自覚(かくご)が無知と遭う頃、驟雨が破(ぱ)ら突く白亜(しろ)い上手は児(こども)の冗句を大袈裟にも採り、併鏡(あわせかがみ)の上気を逸した無根の人権(かぎり)が進化を邪魔する…。有名無実の破片の許容(うち)から自ずに知れ行く範囲が仕上がり、純白(しろ)い気色が無純に挙がれる琥珀色した順序は腑抜けて、淡い五月(ごがつ)の陽気の傍(そば)には弄(あそ)ぶ相手が何処(どこ)にも居らぬ…。未知の理郷(くに)から宙(そら)を翻(かえ)せる至闘遊戯(しとうゆうぎ)はお手の物故、幻(ゆめ)の未活へ進歩を踏めない事始(こと)の遊戯は白亜差(しろさ)に敗けない快活さえ採り、幻(ゆめ)の両腕(かいな)に纏わり付くのが鼓動を与(くみ)する無重の代物(もの)だと、幼い遊戯に感け続ける一夜(ひとよ)限りの稚児の心中(うち)では、事始(こと)の概(おお)くはその実(み)を伏せた…。
事始(こと)の最後に伴う代物(もの)には一幻(ゆめ)の進理が創作して生く旧い帝(みかど)が歩幅を利かせて、軟い自主(あるじ)を忘却して行く緩い夏日が要所々々(ところどころ)で珍在(ちんざい)した儘、幻(ゆめ)の寝室(ねむろ)は珍事(こと)を観るまま無音の許容(うち)にて張(ば)ら撒かれて行く…。改築する前、…夏の謳歌を改築する以前(まえ)、幻見(ゆめみ)の効果は家屋で成り立ち女々しい論議に明け暮れ始める老けた現代人(ひと)への憎悪を晴らし、分分厚(ぶあつ)い人権(かぎり)の私欲(よく)の揺蕩(ゆらぎ)は未知の雲間にすっぽり這入り、明日(あす)の小手先(さき)から「自由」を擡げる幻(ゆめ)の進理は概(おお)きく迷わず、旧い寝床に沈退(ちんたい)し果てる脆(もろ)い遊戯に明日(あす)を詠み込む―――。家系の目下(ふもと)で遠慮して生く労苦に溢(あぶ)れた御実(おんみ)の目前(まえ)では、白亜(しろ)い火照りが自由を気取れる明日(あす)の揺蕩(ゆらぎ)が血と身(み)を程好く平らげ、俗世(このよ)の女性(おんな)の下らなさから信理(しんり)を疑い遠く在るのが、幻(ゆめ)の無価値を信じて止まない人間(ひと)の灰汁(かす)から産れた課(か)である。純白(しろ)い景色に没頭して生く奮闘ばかりの人生(みち)の前方(まえ)では〝火照り〟を忘れた気丈が仕上がりこうした脆差(もろさ)の個人(ひと)に産れる無法を信じた無価値な代物(もの)には、成らず者から正義を培う斬新(あらた)な延命(いのち)が噴散して生く…。果ての見えない旧い正義の奈落の果てには古代から詠む『漫画』の余命(いのち)がほとぼり冷め行く阿修羅に気後れ、果ての成らない宙夜(ちゅうや)の許容(うち)にて一人(ひと)の界(かぎり)を自由に紐解く無効の機会(チャンス)を鵜呑みに捨て活き、自己(おのれ)の自覚(かくご)が世上に咲き行く無垢の誉れの心機の成れには、蹴倒され生く一命(いのち)の行方がぼろぼろ零れて未活を削いだ…。
幻(ゆめ)の葦から架空が零れる翻弄豊かな上気の縁(ふち)には、〝現代人(ひと)にばかり…〟と好機を阿る現代女(げんだいおんな)の得意が吊るされ、幻(まぼろし)ばかりで構成され生く生体(からだ)の熱気を都度(つと)に背負って、現代女の執拗(しつこ)い寿命(いのち)は粘りを押し込め悪義(あくぎ)を焚いた。白亜(しろ)い勇気に湯気を見た後(のち)、幽気(ゆうき)に見送る事始(こと)の概(おお)くは、独創(こごと)へ対する旧い水面(みなも)を苦労に耐え抜く〝帝(みかど)〟に詠み取り、熱い惨事に身悶えして行く小言の概句(おおく)は選り取り見取りで、散々活き抜く未覚(みかく)の遊離は現状から観た活力(ちから)を吐いた。
句言。
「聖なる物を犬に遣るな。」
換言。
…むっつり灯った〝挙句〟の許容(うち)にて〝意味〟を解(かい)さぬ余韻を投げ掛け、徒党を組めない幻(ゆめ)の空転(まろび)は「安産神話」に生(せい)を採り活き、孤高を満たせぬ信仰(まよい)の許容(うち)にて孤独を唱(しょう)して活生(かっせい)して行く。純白(しろ)い歴史が過去に仕上がり独りでに発(た)つ精気の余裕(ゆとり)が〝黄金神話〟に照り輝き活き、自体(おのれ)の未知から無謀を失くせる大いに進める未活の勇者は、自活に揮える私欲(よく)の融和を揚々付けつつ遥かに凄める。厚い無知への神話の許容(うち)から疲労が重なる矛盾を知らしめ、抑揚付(づ)きする旧い勇気は無言を頬張り悪意を失(け)し去り、無言の余裕(ゆとり)に進み貫(ぬ)け尽(き)る不治の経過の自然(あるじ)の寝言は、幻(ゆめ)の足元(ふもと)で躊躇(あしぶみ)して生く不穏の寵児に追悼して居る。角度が異なる地球仕立ての経過の範囲(うち)から暗黙(やみ)の底へと端正(きれい)に紛れる現(うつしょ)生れの現代人(ひと)の多くは無理に活気を俺へと寄越し、事始(こと)の概(おお)くに預金を仕上げる幻(ゆめ)の記憶は現代人(ひと)を排して、所々で生気を象る余韻の水面(みなも)を画して在った…。自己(おのれ)の独創(こごと)を掃除して行く無音の気色は具体を識(し)らずに、空虚と空気がぐうたら働く不意の巨躯から床しさ等採り、孤独の自主(あるじ)に不断を付け得ぬ幻(ゆめ)の遊離に不穏を置いた…。夏々(なつなつ)交換、真冬の交換、景色の交換、不穏の交換…、一夏(なつ)の自然(あるじ)を愚直にして行く旧い活気は仄かに仕上がり、人間(ひと)の振り見て我が実(み)を直せる羽虫(むし)の理性(はどめ)の切っ掛け等には、涼夏(なつ)に活き貫(ぬ)く感覚(いしき)の「隠れ」が概(おお)きく翻(かえ)され改造され行く…。(創完)。
~夏~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji
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