錬金術師ユキの攻略 〜最強を自負する美少女(?)が、本当に最強になって異世界を支配する!〜
白兎 龍
第1話 攻略者達のプロローグ ※挿絵あり
ここは学校、1年A組窓際後ろから二番目の席。
窓から吹き込む生暖かい風が髪を揺らす。
誘われる様に外へ視線を向ければ、部活動に励む学友達の姿が目に入る、夏の熱い日差しがその刈り上げた頭を反射しキラリと光った。……野球部か。
風が運ぶ芳ばしい香りは料理研究部、微かに聞こえる音楽は軽音部の方か。
「なぁ、
すっと通る声が耳に届く。後ろの席に座る男子、名前を
僕と真逆で高身長、女顔の僕と違ってキリッとした実に男らしい爽やかイケメンだ。
「聞いてるさ」
彼とは幼少からの付き合いで、お互い良く知った仲だ。
八歳までは同じ位の身長だったのに、そこからぐんぐんと差がついて、気付けば頭一つ分以上の差になっていた。
程よく体を鍛えているが、ブレザーの上からではそれを伺い知ることは出来ない。
「そか……まぁつまり、一緒にゲームやろうぜって事だな、勿論
千里と祐美とは小学生からの学友だ。
生真面目な性格からクラスメイトの間でいいんちょと呼ばれ親しまれているが、いいんちょは別にいる。
女子にしては高い身長でスマート、同じく身長が高いタクと並ぶと良く映える。
彼女とはタクの通っていた剣術道場に遊びに行った時に出会い、なんやかんやあって友達になった。
誰にでも優しく、何時もニコニコと微笑んでいるので、一部では女神と呼ばれている。
そこまで傾倒する例は少ないが、男女問わず好意的に見られている。
二人とも子供好きな面があり、見た目だけは子供な僕に良く構ってくる。
「ゲームって言うのは……例のアレ?」
「そうだ」
例のアレ、
本体はヘッドギアの様な形態をしていて、それを装着して『オープンゲート』と唱えるとVR世界に行けるとか。
現在の技術レベルでは完全な没入型のVRは再現不可能とされているのに、一体どうやって作り上げたのやらとても興味深い。
「ふむ……だがそれは既に予約が終わっている筈じゃないかな?」
初回生産は僅か一万本。予約が始まった数分後には締め切られてしまったと聞く。
再生産は未定だが早い内に行われるとも聞いたが……?
「お前の分も買っておいた、千里も祐美もお前の返事待ちだとよ」
「む? ……そうか」
「サービス開始は明日の正午……な、やろうぜ?」
顔をずいっと近付けてくるタク。彼にしては珍しく強引だ、よっぽど期待しているのだろうか?
僕もそれなりにやる事はあるが、フリーな時間の方が多い。
「わかった」
「よし! 決まりだな!」
時、夏の頃、明日から夏休みである。
◇◇◇◇◇
ユキのラフビジュアルイメージイラストです
https://kakuyomu.jp/users/Shirato_ryu/news/16818093080233305821
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