第6 理想論
あれから何時間位経ったのか分からないが、仮にも命の危機が普通にありうるこんな場所で爆睡決め込むの危機感とか無いのか?と感じたけど、それに対して何か愚痴を零しそうになったら頭上に何か紙が置いてあることに気が付いた。
[君が眠った理由は、初めてのスキル仕様に加えてスキルを一度に簒奪しすぎたせいだ。多分この先は無いと思うけど、十分気を付けてね。 ラージェルより]
その心遣いのお陰で、何故気絶したのかと言う理由を知れたのも嬉しいしこれから起こらないかもしれないと言う事で一安心して、スキルを集めるために迷宮を探索する事にする。
《スキル<弱毒攻撃Lv1>を簒奪しました》
あれからベビーラットを一匹集めて、簒奪を発動してみた所弱毒と言うスキルを簒奪したらしく初めての攻撃スキルにワクワクしながら、又もや現れたベビーラットに向かって発動していたけれど、何か変化が現れたかと言われると特に何もなく多分毒が弱すぎて、毒耐性で無効化されてるんだろうなと思いながらそのベビーラットからスキルを簒奪してみる事にする。
《スキル<暗視Lv1>を簒奪しました》
《スキル<暗視Lv1>を簒奪した事により<暗視Lv1>が<暗視Lv2>に上昇しました》
「おっ同じスキルを簒奪したらそのスキルのレベルが上がるのか!」
「ふむ君もある程度のスキルを簒奪せしめたようだら」
そう背後から聞き知った声が聞こえてきて、それに対して俺は其方に振り向いてみるとやはりと言うべきかラージェルさんが立っていた。
「あっラージェルさんか、あぁ4つのスキルを簒奪出来たけど、弱毒攻撃は弱すぎて話にならないけどな」
「ふっまぁ所詮はラット種と言えどベビー種だからなまぁ仕方ないさだが、今の君にはこれ位が丁度いいののだよ。
それにいきなり強力なスキルを簒奪できる訳でも無し徐々に強くなって行けば良いさ」
「...ありがと」
「ふっ...さぁ帰るぞ帰ったら体を洗って、その後はご飯だな君...楽しむのは結構だが、仮にも命のやり取りの場所だ食べられるときに食べておかないといざって時に困るぞ」
「ごめん」
それから魔城に帰って来たら直ぐに風呂に入れられた。俺は驚いたが、ラージェルさん曰く「元々風呂なんて無かったが、他の勇者様方が風呂に入りたいと言うから取りあえずここだけだが作ってみる事にした。」との事で、こんな大浴場を昨日今日で作れる事も驚きだしここだけどいう事は、クラスメイトの奴らは風呂に入れていないのかと言う若干憐みの感情が湧き出ながら数日ぶりの風呂を楽しんだ。
「さて食事の時間だな」
そうして出された食事は豪華絢爛と言う程じゃ無いけど最初のパーティの時とは違って、普通の日常で食べる様なご飯と言う事で、自分には余程高い物よりもこういう感じのが合ってるんだよなぁと心の中で思いながら食事を勧める。
一口食べるだけで、涙が出てきてしまった。それは、懐かしいような恋しいような複雑な感情が渦巻いていて、パーティの時には心動かされなかったのに俺はこれまで生きてきた中で初めて食事に心奪われたと言う事を経験した。
それからは、一心不乱に食事を取って、ひとしきり食べた後に美味しかったと伝える事にした。
「本当に美味しかった。ありがとう」
「そう...良かったわ
久しぶりに料理を作ってみたけど、そう言って貰えてうれしいわ」
その顔は見えないけど、若干嬉しいと言う感情は感じ取る事が出来た。
それから俺は泥の様に眠った。
その後丸一日眠ったままでいて、その次起きた時ラージェルさんが、「今日は基礎力を上げていこう」と言う言葉に若干の絶望を感じて、それもこれも強くなるためとその絶望を押し殺して、前日の特訓メニューを太陽が昇ってから太陽が沈むまでし終わった後に鑑定をしてみようと鑑定玉を取り出して、ステータスを表示する
名前 幸田哲郎(■■■■・■■■■■■■)
種族 人間(■■)
職業 無職(■■)
命力 40/40
体力 50/50
魔力 50/50
攻撃力 11
防御力 10
速度力 10
魔法力 10
抵抗力 10
固有スキル
簒奪
コモンスキル
回復Lv1.暗視Lv2.弱毒攻撃Lv1
耐性スキル
病気耐性Lv1.毒耐性Lv1
そうして基礎力が上がって、今日もスキルの簒奪をしていこうと言う事で、前も来たベビーラットが居る迷宮に来て今回は2階層でやってもらうと言われて、俺はそのまま2階層に転移させられた。
「それと今回は数日間放置をすることにした。まぁ万が一にも危険な事は起こらない様にするから安心せよ」
その後すぐにラージェルは転移して俺の前から居なくなり俺自身もスキル簒奪の為に迷宮を探索していく事にする。
ベビーラットも交えたそれの進化種であるラットと言うベビーよりも一回り大きい個体が、2層には現れるらしく現に俺の近くにそのラットが居た。背後から回っていつも通り頭を押さえようとしたけれど、スピードが速く俺の攻撃は素早く避けられて、そのままラット種に噛まれて激痛が走って、俺はそれに対して、直ぐに腕を振るってラットを腕から離そうとしたが、噛みつく力が強くそう簡単には放り出す事は出来なかった。
「だったら...ここで...殺す」
俺はこれまでベビー種の命も奪ったことは無かった。それは、命を奪うのに抵抗感が有ったからだ。だけれども...そんな甘い思いなど容易く崩れ去る紙の様に脆い理想論でしか無かった。
俺は近くに都合よく落ちてあった石を拾い今もなお俺の手を食いちぎろうと精一杯の力で噛みつくラットに向かってその石を振り下ろした。一発だけで絶命する程に甘くも無く猶更嚙む力を強くして、遂に俺の左親指あたりが嚙み千切られた。だけれどもそんな痛みなど露知らず俺は必死にラットの胴体目掛けて石を振り下ろした。
ラット種が絶命して、直ぐに俺はラージェルさんから渡された袋の中を探って、傷を治す回復薬をがぶ飲みしてから、さっきまでの傷が嘘の様に再生していく様を見ながら右手で今さっき狩ったラットに向かってスキルを発動する。
《スキル<爪Lv1>を簒奪しました》
それから再生を終えた左手も今までの様に動くことを確認してからスキルの確認作業に移る。
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