#2 二倉すのこは登録者数を増やしたい
二〇XX年某日。
私こと二倉すのこは頭を抱えて悩んでいた。
「ううう……登録者数が増えないよぅ……!」
パソコンと睨めっこする。パソコンの画面には動画サイトYabeeTubeが映っていた。
私はVTuberだ。
『二倉すのこ』という名前も本名ではない。私のアバターのものだ。外見はリアルの私とそう変わらないけど。特に身長。おいコラそこ合法ロリとか言うな。
『ドラ●ンボール』の戦闘力のようなものと言えば分かり易いか。ラディ●ツに瞬殺された戦闘力五のおっさんが始めたばかりの新人VTuberだとすれば、戦闘力五十三万のフリ●ザ様は一流のVTuberといった感じだ。
一方の私の登録者数は五〇人にも満たない。日によって増減するが、今は四十七だ。初期の亀仙●の一三九の半分よりも低い。
……うん、『ド●ゴンボール』を知らない人には伝わらない例え話で申し訳ない。
ともあれ、私の登録者数は二桁だ。デビューしてから早半年が経つというのに。私が個人で活動していて後ろ盾がないというせいもあるが、これではあまりに伸びしろが悪い。
「やっぱり自己紹介動画の次に『
般若心経の方が良かったかな。祝詞はマイナー過ぎだよね、やっぱり。実家が神社だから私にとっては祝詞の方が馴染みがあったんだけど。聞き流すだけで厄払いとかになるらしいし。三分間きっかりだし、カップ麺を作る時のお供にどうですか?
「……まあ、祝詞はもう終わった事として……うん。次は何を投稿しようかな……」
頭を抱えていても仕方ない。結果が欲しければ行動あるのみだ。行動しない者は失敗する事すら得られないのだ、うむ。
しかし、だからといってどんな行動をすれば良いものか。
やっぱり今流行っているゲームの実況とかするべきかな。でも、普通にプレイ動画配信しただけじゃ目立たないよね。何かこう……「ふーん、おもしれー女」みたいに意外性と興味を煽るような事をしないと……うーん……。
などと唸っているとスマホのタイマーが二十時を知らせてきた。
「あっヤバ。もうすぐ推しの配信の時間じゃん」
自分のページから登録チャンネルのページに移動し、
『こんにんは!
そこには一人の美少女がにこやかな笑顔で挨拶をしていた。
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