夏の音

星るるめ

Hydrangea

海を眺めている


一人海を眺めている


初めて夏に会えたと喜ぶ君に


見せてあげたくて


ここまで連れて走ったけれど


いつの間に千切れ


バラバラに散ったのか


もう手の中に殆ど形はなく


悲しくて寂しくて


残った花びらを口に含めば


湿った雨の味がした


君の感じた夏はやはり幻


小さな小さな亡骸の粒達を


そっと波に浮かべれば


どこかの国の夏が君を


弔ってくれるはずだから


僕は海に祈っていよう


君が来世で本当の夏に会えるよう


まだ静かなこの海岸で


一人海に祈っていよう

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