子殺し回路
おおつ
第1話
『ゆりかご政策の採決が迫っています』
テレビからニュースが流れてくる。そのニュースは俺の心を重くさせた。
ゆりかご政策とは親元から子供を国が引き取り、専用の機関で育てるというものだ。少子化が喫緊の問題となっている昨今、安全な子供の育成のためと推し進められている。
もちろん世間では反対も多い。子供を親から取り上げるなんてとんでもないという意見が最有力だ。俺もその意見に同意する。
テレビを消して我が子を見る。娘、ユナは4歳だ。妻がご飯を食べさせている。たまに見せる笑顔が可愛い。この存在を取り上げられるなんてまっぴらごめんだ。
「いってくる」
「いってらっしゃい」
家を出て仕事に向かう。今日の仕事も気が滅入るものだ。
「お疲れ様です先輩」
先についていた後輩に声をかけられる。
「おつかれ」
そしてまとめられた資料に目を通した。
24歳のシングルマザーが4歳の娘を殺した。母親は育児に悩んでいた。
今回担当する記事の内容だ。細かいところに修正を出して返す。これくらいでいいだろう。
「最近多いですねこういう事件」
「ん? ああそうだな」
確かに最近子殺しの事件を扱うことが多いような気がする。少し調べてみるか。
子殺し事件について俺なりに調べたことをまとめる。
・どれも実の親の犯行
・特定の範囲内で起こっている
・幼い子供が被害に遭っている
俺はこの中で特定の範囲内で起こっていることに目をつけた。これはゆりかご推進派の工作なのではないか。だとすれば大スクープだ。ゆりかご政策そのものを取りやめにすることができるかもしれない。俺はこの事件についてさらに調べようと心に決めた。
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