ハッピーハロウィン

先輩のハンカチ、ジャック・オー・ランタンのプリントで目を惹いたら、なに、なに、おまえ、とサイドアイされて。

先輩、ハンカチがかわいいすね、ぼくが指差したら、お菓子やろう、と笑って。

いもうとにやります、貰ったお菓子をポケットに入れ、そんならおまえの分もやるよ、と投げてきたお菓子は、粉々で。

先輩、随分すね、と散らばらないように丁寧に袋を開け、あんぐり開けた口にさらさら流し込む、それってバター感じるパイだったりしたんだった。

ぼくが憧れてるんじゃなかったら、先輩のポケットで粉々になったお菓子が、甘いとも思わなかったんだろう。まぶされた砂糖の一粒一粒が、妙に甘いんだった。

先輩は降らない雨を乞うように、雨傘をばさばさ開き、くるくる回しては、これって、から傘お化け、とからから笑って、ぼくに目眩を起こさせる。教室で傘を広げないでくださいよ、と制するぼくがなんだかバカバカしい。ふくれ面を向けて傘を放り投げる先輩はブレザーを着てなくて、校則違反のセーターを着ている。よく見ると何かのブランドのロゴが入ったもので、あんまり見てるとサイドアイされるから、ぼくは先輩から目を背けるんだった。

なんだおまえ、なんか文句ありそうな顔しやがって、と難癖つけ始めた先輩の傘が妙に怖くて。先輩のから傘お化けは、ぼくが片付けますよ、と取り上げた傘の柄にジャック・オー・ランタンが。先輩、好きすね、なんとなく傘を返してしまって、そのまま不意打ちで傘で殴られるぼくって。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る