第4話 失われた希望
場所:郊外の農家
時間: 数日後の夕方
数日が経過し、タカシとマリは農家で静かに暮らしていた。毎日、タカシは周囲の探索を続け、食料や水を確保しながら、他の生存者の手がかりを探していた。しかし、どこにも人の気配はなかった。
ある夕方、タカシは森の中で何かを見つけた。彼はそれを持ち帰り、農家の庭でマリと一緒に座りながら見つめた。
タカシ: 「マリちゃん、これは無線機だ。これが動けば、他の生存者と連絡が取れるかもしれない。」
マリ: 「ほんと?お母さんも見つかるかな?」
タカシは微笑んでうなずいた。
タカシ: 「きっと見つかるよ。さぁ、試してみよう。」
タカシは無線機を慎重に操作し、電源を入れた。しばらくの間、雑音だけが響いたが、やがてかすかな声が聞こえてきた。
無線機: 「…こちらは東京の生存者です。誰か聞こえますか?」
タカシとマリは息を飲んだ。タカシはマイクを手に取り、震える声で応答した。
タカシ: 「こちらタカシ・ヤマダ。私と少女のマリが生存しています。そちらの状況は?」
しばらくの間、沈黙が続いた。そして、再び声が聞こえてきた。
無線機: 「タカシ、ここは安全な場所ではありません。我々もウイルスの影響で…」
声は途切れ、再び雑音が響いた。タカシは何度も呼びかけたが、応答はなかった。彼は無線機を見つめ、深い失望を感じた。
タカシ(独白):「まだ誰かが生きているかもしれない。でも、どこにいるのか分からない…」
マリはタカシの手を握り、彼を見上げた。
マリ: 「おじさん、大丈夫?」
タカシは微笑んで彼女の頭を撫でた。
タカシ: 「大丈夫だよ、マリちゃん。きっと他の生存者も見つかるさ。」
その夜、タカシは一人で農家の外に立ち、星空を見上げた。彼の心には希望と絶望が交錯していた。だが、マリのために、彼は決して諦めないと誓った。
タカシ(独白): 「明日もまた、新たな場所を探しに行こう。希望を捨てずに…」
彼は深呼吸をし、農家の中に戻った。焚き火の前で眠るマリの隣に座り、彼女を守る決意を新たにした。
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