人形と化した国の物語
ナイト
人形の国A地区[一章]事件の始まり
《プロローグ》
地球のとある場所に、人形の国と呼ばれ、目がボタンの様な形をしているなど、人形の様な見た目をした人々が住んでいる国があった。
そんな国で起こってしまった悲劇の物語を、今ここに書き記そうと思う。
ある日の朝のニュース番組にて。
「速報です。A地区を中心に、行方不明者が多発している様です。警察の調べによりますと、防犯カメラの映像によって、とある神社に寄ったあと、その隣にある廃墟に入り、そこから行方をくらませていることがわかりました。」
と、ニュースが流れ、怖いなー。なんて流して見ていると目の前に映ったのは、僕が学校に通うために通る場所の目の前にある神社、そして廃墟だった。
僕はそれに驚きつつも、そこを通らなければ学校へは行けないし、神社に寄らなければ大丈夫だろうとたかを括っていた事をのちに後悔するのであった。
そんなニュースを見ながらご飯を食べつつ、
ふと、時計を見ると、時刻は8時を回っていた。
やばっ。と思い急いでご飯を流し込み、支度をして、行ってきまーす。と言って外へと出ると、学校へと駆け足で向かった。
そして、いつもの日々が始まろうとしているはずだった。
《いつもの自分》
おはよう。とクラスメイトに挨拶をし、自分の席へと着くと、後ろの席の子が、くるっとこちらを向き、話しかけてきた。
ここではその子をB氏としよう。
そしてB氏は、
「なぁ、朝のニュース見たか?」
なんて話しかけてきたので、「朝のってあれか?行方不明者が多発してるってやつ。」
なんて返すと、
「そう。それそれ。気を付けてな。お前確か、学校通う時にその道使ってたろ?」
なんて言われたので、うん。と、首を縦に振るとB氏は、「もう俺は、あんな思いはしたくないからさ。」
なんて、その時はよくわからない事を言っていたため、どう返すのかを考えたが、とりあえず首を縦に振っておいた。
そんなこんなで会話をしていると、時間は早く過ぎる物でホームルームが始まる時間になっていた。
そして、ホームルームが終わると、そこから、1時間目、2時間目、3時間目、4時間目と過ぎて行き、時刻は4時30分過ぎ、下校する時間となった。
帰り支度をしていると、一緒に帰えろうぜ。
なんて言われ、一緒に帰ることに。
他愛の無い話をしながら歩いていると、時が過ぎるのは早いもので、B氏と別れる場所へとついてしまった。僕たちは、
じゃあね。また明日。
なんて声を掛けつつ、それぞれの帰路へと着いた。
《人形さん》
僕はB氏と別れた後、ニュースでやっていた場所へと辿り着いてしまったが、ある違和感に気づいてしまった。
「あれ?あんなところに洋館なんてあったっけ?確か廃墟だった気が。」
なんて思いつつ、まぁいっか。と、通り過ぎようとすると、洋館を前に、とある看板が目に入った。
その看板がなぜか無性に気になり、見てみると、そこには、
世界一美味しいお店
DollHouse
なんて書かれており、へぇ。こんなお店がこんなところにあったんだ。
何て考えつつ、この時の僕は、ニュースでこの場所がどの様に報道されていたのかが頭からすっぽ抜けた状態で、入って見たくなり、美味しかったらB氏にも教えてあげようかな。とさえ考え、扉を開け、洋館の中へと踏み入れてしまった。
中に入ると、全体的に白を基調としていて、無機質な感じがうかがえたため、なんだろう?ここ、本当に飲食店?店員の出迎えも無いし。
なんて思いつつも、なにも考えず、すみませーん。なんて声を上げつつ中へと入って行くと、何処からか、「はーい。あなたの隣にある階段から2階に上がって来てください。」
なんて聞こえ、横を見て、これの事かな?
なんて思い、それを登る。すると、2階も変わらず無機質な感じで、人も居らず、何だろうこの空間。そして、なぜ人が誰もいないんだ。
なんて疑問に思いつつ。とりあえず2階には部屋が3つあるみたいだし、探索してみるか。そうすれば、謎も解けるかも知れない。
なんて考えつつ、自分の目の前にあるドアを開けて見た。
すると、無機質なのは変わらないが、暖炉が壁に付いていて、その目の前には机に椅子、そして机の上には何も映って居ない鏡が置いてあった。なんでこんな鏡が置いてあるんだろう。
なんて考えつつ探索しているとつま先に、
何かを蹴った様な感覚があり、下を見ると、白色の球がついた、無機質なヘアゴムが落ちていた。
なんでこんなところに落ちていたのか甚だ疑問ではあったが、拾い上げ、近くの机の上に置くと、何かが頭の中に流れ込んでいく様な感じがし、目線がぐらつき、その場で跪くと、目の前が少しずつ黒く染まって行き、目の前が見えなくなってしまった。
しばらくして、黒い視界がとれて行き、目の前が見えるようになると、無機質な洋館の中にいたはずが、いつの間にか外に出ていて
背丈が小学生くらいの小さな顔立ちはB氏に似ている人が目の前に立っていた。
そして、B氏似のその人は突然?こんな事を言い始めた。
「Cちゃん。この廃墟の隣にある神社に行かない?せっかくの夏だからさ、肝試ししようぜ。」
なんて声を掛けられた僕は、え?Cちゃんって誰?それに廃墟なんてどこにあるの?
なんて疑問を抱きつつ。口が勝手にこう告げた。
「えー。私、怖いの苦手なんだけどなぁ。」
と。それを聞いた僕は、え?何言ってるの?僕はこんなこと言わないし。なんで口が勝手に動いてるんだ?なんて更なるはてなマークを頭に増やしていると、B氏似の人は、さらに話を続ける。
「良いじゃん。どうせ何も出ねぇし、良いから行こうぜ!」
なんて手を引っ張られ、神社へと続く階段へと小走り気味に連れられてしまった。
「B君がそういうなら仕方ないから付いて行くよ」
なんてため息混じりにまたも勝手に口が動く。
そして、鳥居をくぐり、境内へと行くと、辺りは木々に囲まれていた。
そして、オレンジ色の光に包まれていて、どこからともなく祭囃子の音が聞こえてくる。
私は、下にいた時こんな音なんて聞こえてたっけ?なんて疑問に思っていると、小さなB氏が、こんな事を言い始めた。
「なんか祭囃子の音が聞こえね?どこかで祭りでもやってるのかな?行ってみようぜ。」
なんて言うと、また手を引っ張られ、「この建物の裏から聞こえない?」
なんて言うと、目の前にある祠を指差し、またも小走りでそこまで連れられてしまった。
そして、裏まで着くと、そこには階段が付けられており、下には祠、そしてそれを取り囲む様に屋台が出ていた。
「おー。今日は祭りの日だったのか。テンション上がって来たぜ。行こうぜCちゃん。」
なんてB氏が言うと、私は、
「うん。行こう。初めてこの神社のお祭りに来たから何があるか楽しみだなぁ。」
なんてさっきまでの受け身な姿勢とうって変わり、前のめりになって祭りを全力で楽しもうとしていた。
階段を下まで駆けて行くと境内にいた時の雰囲気とうって変わり、人の数が明らかに増え、騒がしく感じる程にザワザワしていた。
そんな中、私はB氏と屋台をぐるぐると回りつつ、たこ焼きに、焼きそばなど、おいしくたべているのを横目に、あれ?B氏何も食べてなくない?なんて思い始め、周りを見て見ると、
周りも何も食べていない事に気が付き、何なら屋台すらも楽しんでいない様に思えた。
その様子に違和感を覚えつつ私は、更に楽しんでいると、早いもので、もう時刻は8時過ぎで、そろそろ帰ろうか。なんてB氏に言おうとした時点で意識が途絶えた。
目を覚ますと、白色を基調とした、無機質な部屋の中で、横たわっていた。
「あれ?どこだろうここ。なんか不気味な感じがする部屋だな。そう言えばB君もいないし。」
なんて少し困惑した様な様子を見せると体を起こす。そして、自分の体の異変に気付いた。
「あれ?私、なんでゴツゴツした様な肌になっているの?それにさっきまで着ていた服じゃ無いし。こんな服、持って居たっけ?」
なんて、考えていると、頭が壊れそうなくらいの痛みと共に、誰かの記憶?が植え付けられて言った。
「うっ。うぅぅぅぅ」
と、呻き声をあげ、その場に跪く事数分くらい、やっと頭痛が治ったと同時に、誰のものなのか分からない記憶が入ってしまった事による混乱からか、立ち上がれなくなり、疲れもあったのか、その場で意識を失い、倒れてしまった。
「あれ?ここはどこ?さっきまで無機質な部屋にいたのに。確かさっき流れ込んできた記憶の中にこんな様な光景が広がっていた様な。」
なんて考えていると、記憶の中にある、B君が成長した様な姿をした人が、わたしの座っている席の前にいた。
そして、その子がくるっと振り返りこっちを向くと、「おう。おはよう。」
なんて声を掛けられたので、こっちも、「おはよう。B君」なんて返して見ると、その子は、
「あのさ、B君って言うのやめてくれないかな?昔の嫌な事を思い出すからさ。いつもみたいにB氏なんて呼んでくれよ。」
と、言われたため、嫌な記憶ってなんだろう?何かあったのかな?なんて思いつつ、「うん。分かった。」
なんて返事をした。
そんな会話をしてから4時間が経った頃、帰宅する時間となり、席を立つと、私は、荷物をまとめ、足早に学校を出て、記憶の中にある自宅と思われる場所へと向かった。
そして、その場所へと着くと、机の横にかかっていた鞄から鍵を探し、中へと入ってゆき、今までに無い疲れと共に、今日1日は過ぎ去っていった。
次の日。朝のニュースにて、こんな事がやっていた。
「速報です。A地区を中心に、行方不明者が多発している様です。警察の調べによりますと、防犯カメラの映像によって、とある神社に寄ったあと、その隣にある廃墟に入り、そこから行方をくらませていることがわかりました。」
これを見た私は、へぇ。こんな事があったんだ。なんて考えつつ、流し見していると、学校へと行く時間となってしまった。残っていたご飯を流し込み、テレビをつけっぱなしにしたまま、制服に着替えていると、ニュースキャスターから、
「行方不明者は、……さんに加え、今回はCさんの行方がわからなくなっている様です。」
なんて一言を聞いた私は、あれ?Cって私の事だよね?何?行方不明ってどう言う事?もしかして今起きているこれとも何か関係しているの?
なんて、ニュースキャスターの一言や、この現象との因果関係。そもそも現実とこの世界とが、どんな繋がりがあるのか等、頭の中に張り巡らされ、記憶がごちゃごちゃになってしまった。とりあえず、頭の中を整理しようと考え、自分の記憶、そしてさっきの話を踏まえた上で、今置かれている状況についての考察を始めて行く。
「まず、この場所に来る前私は、B君と肝試しをしようって言う話になって、洋館の隣にあった神社に行ったんだよね。で、その後その神社ではお祭りがやっていたから参加して、8時になったから帰ろうか。なんて話をしようとしたら無機質な部屋の中にいたんだよね、
で、その後のこのニュースに映された場所を見る限り、確実にその場所なんだよな。でも、だとしたら洋館は?もしや、その洋館が
キーになってこんな現象が起きているのか?」
なんでブツブツと言葉に残し、少しずつ整理がついて来て、平静な状態が保てる様な状態になっていった。それと同時に意識が遠のいて行き、目を覚ますと無機質な部屋の中で横たわっていた。
私は、とりあえず外に出ないと。だからまずは部屋の外へ出よう。なんて考え、ドアを開け、一歩踏み出し部屋の外へ出ると、目の前には、10体ほどの人形が置いてある光景が広がっていてギョッとした。
そして、そのにんぎょうの内、2体、見覚えのある人形が置いてあった。
「あれ?この人形は、この身体に似てるし、この隣にある人形なんて私がこの身体になる前の姿に似てる。何これ不気味だな。」
なんて口にすると足速にその場所を離れ、一階へと行き、玄関へと一目散に向かって行き、ドアを開け、脱出する事ができた。
この洋館を出たとしても、この人の記憶は引き継がれたままで、それに身体も元には戻らなかった事で、これからこの人として生きていかなければならないのか。なんて考えつつため息をついて、この体の持ち主の家へと帰宅した。
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