TSとメイドと次期魔王
第1話
「なんで男なんだ!!」
ブラック企業で働く俺こと相葉裕也。日付が変わろうとする帰宅途中でうつ伏せに倒れていた銀髪の少年を助けたら、開口一番これだった。
街灯を反射して輝く銀色の髪。翡翠色の瞳。人形のように整った顔立ち。歳は15〜16ぐらい。背丈は170cmぐらいか。漫画とかでしか見たことのない貴族っぽい服でなんとなく高貴な気がする。
知らんがな。なんで俺は性別で批判されてるのか。男嫌いなのか分からんが、そんな嫌そうな顔せんでも。
「やっと、ボクに合う魔力なのに…。凄く良かったのに…。やっと見つけたのに…。なんでだよ!!」
なんかブツブツ呟いたかと思えばいきなりキレだした。どうやらヤベー奴だったようだ。救急車でも呼んで逃げようかな。
「まぁいい。『変えて』しまえばいいんだからな」
何をだよ。もう面倒くさくなったので帰りたいんだが。こちとら二徹やぞ。さっさと寝たいんだが。
「…ご無事なようですので、私はこれにて失礼致します」
さっさと帰ろう。野良犬に噛まれたようなものだ。
そう言って立ち去ろうとすると
「おい、お前何処に行く気だ」
「自宅に帰宅しようかと」
「何を言っている。お前がいる場所はボクの隣だろうが」
「はい?」
何言ってんだコイツ。本格的にヤバい奴なのか?
「お前名前は?」
「相葉裕也と申します…」
「そうか。なら今からお前の名前はユウカだ。いいな?ユウカ」
「は?はぁ…」
いきなりあだ名か?馴れ馴れしい奴だな。まぁもう会うことは無いだろうしどうでもいいけど。
「今の言葉は肯定とみなす。『逆転しろ』」
瞬間光が俺を包んだ
◆◇◆
時間としては10秒。瞑っていた目を開けると、さっきと同じように銀髪の少年が佇んでいた。何だ今の。手品か何かか?
ふと、違和感があった。まずは視界だ。俺とほぼ同じ身長の少年の身体が大きくなっている。それに自分の身体にもだ。やけに胸の部分がキツくなっている。逆にそれ以外の部分は何だかシャツがデカくなっている。体格に合わせて買ったはずだが、ゆるゆるである。
「これは…」
今の自分の声か?何だか高音になっているんだが?戸惑う俺に少年は満足そうに頷く。
「へぇ、地味で野暮ったいと思っていたが、変わってみれば中々いいじゃないか。次に服だな」
少年が指を鳴らすと、再び変化が生じる。服が光を纏い、光が消えるとそこには
「服が…え?何これ?」
「鏡が必要か?なら作ってやろう」
再び指を鳴らす。虚空に鏡が現れる。え?マジの魔法?え?というか
「誰!?」
鏡に映っていたのは見知らぬ女性だった。いや、もっと正確に言うなら俺によく似た女性だ。
セミロングの黒髪。垂れ目がちの瞳。身長は160cm程か?出る所は出て、引っ込む所は引っ込んでいる中々のスタイルの身体。そして何より
「メイド?」
メイド喫茶でしか見たことないような姿。ド○キで売っているミニスカに近い気がする。なんで胸をこんなに露出してんの?スカート短か!パンツ見えそうだ。
これが他人の女性ならチラ見していた。ただ、これは、この女性は
「俺?」
信じたくない。信じられない。何だコレ。何が起こった?
「気に入ったかユウカ。ボクからのプレゼントだ」
少年はドヤ顔だ。腹立つ笑顔だ。…まさかコイツが…?
「あの、貴方は一体…?」
「ボクはアルバート・ロンド・ベルガンド。次期魔王筆頭だ」
「そしてユウカ、お前は今からボクのメイドだ」
これが
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