第5話入学おめでとうパーティー
「終わったー!甘いの食べたい〜…」
入学式が終わり、帰宅している最中だ。式中、とても緊張していたというのもあり二人共とても疲れたのである。
「俺も甘いの食べたいな…あ、そうだ。ケーキでも買いに行く?気になってる店があるんだ」
「実はもう予約してるんだ〜!」
「いつの間に…じゃあ、取りに行くか。」
帰るついでにケーキ屋に寄ることになった。にしてもいつ予約していたんだろうか。
「あれ、誰もいないな…すみませ~ん!」
「あ、はーい!いらっしゃいませ…へ?」
「ケーキを注文していたん…あ…」
そこには見知った人が奥から出てきた。お互いに目があった途端、びっくりして無言が少し続いた。
「幸貴じゃねぇか!」
そこにはケーキ屋の服を着た幸貴の姿があった。
「渡辺さんに、裕二くん!?なんでここに!?」
「ケーキを予約してたからそれを受け取りに来たんだけど…幸貴くん、ここでバイトしてたの?」
「いや、ここのケーキ屋家族で経営してて、親が妹と弟を幼稚園まで迎えに行ってて、その間店番頼まれたんだよ。」
「そういやぁ前店に来た時に双子の弟と妹がいるって言ってたな。」
「それはそうと、ケーキの予約だったよね。ちょっと待っててね〜」
そう言い残し、幸貴はバックヤードに戻った。
「まさか幸貴君がここのケーキ屋さんで働いてたなんて知らなかった。」
「まさかケーキ屋で働いてるなんてな。俺も知らなかったよ。」
「何も聞かされてなかったの?」
「うん。家族で店やってるとは言ってたけど、何をしてるまでは聞いてなかったんだよ。」
話をしていたら注文していたケーキを持って戻ってきた。
「おまたせしました〜。持ち帰る際は気をつけて下さいね。」
「デカっ!!!どんだけ食べるんだよ…」
おいおいおい、ウエディングケーキかよって位デカすぎるでしょ。あのクソデカ商品を陳列してるどっかの会員制倉庫型店並みに量多いぞ…
「一万7000円になります。」
「だろうな。こんなにでかいの買っても食べ切れないだろ。」
「あー!!!」
「うぁあ!!!びっくりしたぁ!いきなり何なんだよ。驚いただろうがよ。」
「伝えるの忘れてた!今日、ゆうくんのお店で入学おめでとうーパーティーやろうって思って色々準備してたんだ!ごめーん!」
そう。美乃里は入学式が終わったら入学式を祝うパーティーをやろうと計画し、隠れて準備していたのだ。日時が近くなったら誘おうとしていたが、引っ越してから色々といそがしかったのもあり、伝えるのを忘れていた。
「え、どゆこと?店でおめでとうパーティーをするの!?初耳なんだけど!席を予約とかしてるの?」
「ううん、貸し切りだよ〜。」
「店貸し切りにしてんの!?」
「うん。しっかり、おじさんとかお店の方々にも許可を得てるよ。」
「おいおいマジかよ。なんで誰も言ってくれなかったんだよ。あいつらも電話の1本でも入れてくれれば良かったのに…」
「内緒にしてっておねがいしてたから…何も行ってなかったと思う。」
「まぁいいや。んで人数は?」
「幸貴くんと美沙と沙奈、私達の計5人だよ。」
「いつの間に呼んたんだ?」
「私が美沙と沙奈を読んで、その二人が幸貴くんを呼んだんだって。だけど、色々あって肝心なゆうくんを呼ぶの忘れてた。ごめん!」
誰にでもミスはあるし、まぁいいか。
「幸貴くん、7時にお店ね〜!じゃあまた後で」
「うん。まだ後でね。」
そうしてケーキ屋を後にした。にしてもホントにいつ計画してたんだ???こっちに住んでから数日しか経ってないのによく許可出たもんだな…
「ケーキを一回お店に置いてから帰ろう!」
「了解。なんか必要なものとかある?」
「ハルくんたちが全部準備してくれてるから何も準備しなくても大丈夫だよ。」
「分かった。早くケーキ置いて家に帰ろ〜。早くシャワー浴びたい。」
そうして店にケーキを置いてから家に戻り、準備をしていたら、そろそろ集合時間が近づいて来た。
「なぁ、着替えって私服でいいの?」
「うん良いよ〜。私も私服だし。」
「分かった。んじゃぁこんなもんかな〜…」
白Tにジャケットをはおり、チノパンにスニーカーを合わせたコーデとなっている。アクセサリーは左腕にスマートウォッチ、耳にはイヤリングをつけてみた。全て、先日美容院で購入した物で着こなしている。
「ちょっといかつ…けど良いんじゃない?似合ってるし。私はどう?最近買ったの。可愛いでしょ〜」
美乃里は白のTシャツに黒のはおり、ピンクのワイドパンツとイヤリングを着ていた。どうやら引っ越す少し前に買った物らしい。
「……………… /////////」
可愛すぎて目をそらしてしまう。これを見て、可愛いと思わなかったやつはどうかしてるぞ…
「ちょ、なんで目をそらすの〜?ちゃんと見て〜!」
「か、可愛い…です…///」
(可愛いの暴力!!!ありがとうございます!!!(?))
「えへへ〜ありがと!ゆうくんもかっこいいよ!よし、行こ〜!!!」
(ねぇ、確実に仕留めに来てるよね?来てるよね!?破壊力エゲつねぇ…)
「え、ちょっ、ちょっと待って〜」
そうして【大衆食堂 うましかて】に向かうことになった。
「こんばんは~」
「お、いらっしゃい!姉あねさんに兄貴、早いねぇ。」
「よぉ、ちょっと準備を手伝おうと思ってな。ってか俺に今日パーティーやるっての黙ってたなぁ〜?
「いやぁ〜すいやせん。姉さんに内緒でって言われてたもんですから。」
「まぁいいや。作業すっか。後は俺作るよ。後作るのはどれ?」
「ありがとうございやす。後2つ作ればオードブルに乗せる品は完成するんですが、何作るか迷ってまして…」
「食材は?」
「冷蔵と冷凍にある程度は入ってます。」
「OK…」
と言いながら冷蔵庫を開ける。業務用ってのもあって、沢山の種類と量が入っている。ある程度調理しやすいように全ての具材に下処理が施されている
「…よし、オードブルに乗っけるやつは決まった。他にも作ってもいいか?」
「そこに入ってるやつは全部廃棄予定が今日だったので今日中に使い切りたいです。」
「なかなかの量だな…了解。久々に本気出しますか。」
腰エプロンをして料理を開始した。久々の厨房での料理ともあってかなりテンションが上がっている。使っている物が全てプロ御用達ともあってかなり使い勝手が良い。
「ゆうくんの料理作る所見るの久々〜!やっぱ凄いねぇ。」
「兄貴の料理姿、いつ見てもおったまげるなぁ。包丁捌きに火入れの仕方、盛り付け方。全てが完璧だ。」
と見入っていると出入り口からガラガラとドアを開ける音がした。
「ごめんくださ〜い。」
3人が店に着いた。何か軽くお菓子や飲み物を買ってきてくれた。
「あ、どうもいらっしゃい。荷物はテキトーにそこら辺に置いといて下さい。」
「ありがとうございます。」
3人が荷物を置き、料理姿をマジマジと見ている。
「おいおい、裕二のやつ料理屋の息子だと幸貴から聞いてはいたけど、ただの高校生とは思えないほどすげぇ手さばきだな。」
と美沙がポロっと言葉が出た。3人があまりの手さばきの凄さにマジマジと料理してる姿をみている。
「ホントに高校生なの?エグ!凄すぎ…」
「裕二くん、厨房に入って料理してるの始めてみたかも。いつも行く時はほぼホールやってる所しか見てなかったからさ。」
「ゆうくんの両親って、元は旅館のオーナーで他にも料亭もやってるんだよ。そこの厨房で料理を教えてもらったり、研究をしたりしてたんだって。」
「にしても凄すぎるな…」
と話をしていると料理が完成した。後は盛り付けるだけだ。少し時間がかかってしまったが出来はかなりいいと思う。
「よし、完成〜!後は盛り付けっと…準備、みんなも手伝ってくれる?」
「は〜い。」
「兄貴、盛り付け終わったら、居酒屋の方開店するんでそっちに戻りますけど後は任せても大丈夫っすか?」
「いいよ。わりぃな。店貸し切りにしてしまって食堂の方を早く切り上げさせてしまって。」
「いえ、めでたい日は盛大に祝わせてくださいよ。」
「ありがとうな。そういやぁ他は奴らは?」
「居酒屋の方の仕込みしてます。もう少しで完成しそうだったんで俺以外全員仕込みに回しました。」
「りょーかーい。」
話をしていたら準備が出来た。レイアウトは女子にお任せすることにした。男2人がやるとどうしても変になるもので…
「よし!全部準備出来た!丁度7時くらいだな。さて始めますか!」
「乾杯の音頭は…裕二、任せた。」
「俺!?マジですか!? 」
「まじよ。」
「何も考えてないんだけど…えー…とりあえず、入学式お疲れ様でした。これからいろんなことがあると思いますが、仲良く出来ればと思ってます。乾杯!」
「かんぱ~い!!!」
こうして入学式おめでとうパーティーが開催された。これからどんな事が待ち受けているのか。それは誰にも分からない。
「改めて自己紹介でもしね?」
「そうだね。そうしよ〜う!」
「まずはあたしから。斎藤美沙。絶賛彼氏募集中〜(笑)これから宜しく。」
「次は私。私は遠藤沙奈。私も彼氏募集中で〜す。宜しくお願いします。」
「どっちもフリーなのか。じゃぁおr…」
「おいこらテメェ」
言いかけた途端、美乃里が物凄い怖い口調で裕二呼んだ。物凄いオーラを放っているように見えるのは気のせいだろうか?
「次に行ったらどうなるか分かってるよな?」
「は、はい…すいません…」
こ、怖ぇー…冗談でも言ったら跡形もなく消されるやつだこれ…言わないようにしよう…
「ゆうくんは私にゾッコンだから無駄だけどねぇ♪」
裕二の顔が真っ赤になった。当然図星である。
「今度は私ね。私は渡辺美乃里。昼にも言ったけど、ゆうくんとお付き合いしてます。宜しくね!」
「次は俺。俺は高橋祐二。みいちゃんからもあったけど、お付き合いしてます。宜しく。」
「ふたりともあだ名で呼び合うとか、アツアツですなぁ〜」
「う、うるさい…」
美乃里が顔を真赤にしながら美沙にツッコむ。
「最後幸貴くん、オネシャ〜ス!」
沙奈が幸貴にオオトリを任せたと言わんばかりに声をかけた。
「あ、了解。僕は山本幸貴。よく女の子って言われるけど男です。」
「ほほう…その証拠は…?」
「美沙ちゃん?それで前に大会の時に色んなところ触わってる所を先生に見つかって色々と問題になったの…覚えて…無い?」
幸貴からとてつもないオーラを感じるのは気のせいだろうか。
「分かった分かった。もうやらないから。」
「なら良いけど。」
落ち着いて良かった…幸貴はキレるとマジで怖いからあんましキレさせないようにしないと…
「まぁこれから宜しく!!!」
自己紹介が終わり、入学おめでとうパーティーが開催された。皆でご飯を寄そって食べ始める。
「裕二が作ったやつめっちゃおしゃれやん!味も凄く美味いやんけ!」
美沙が物凄く褒めてくる。作ったかいがあったなって思った。
「サーモンのカルパッチョを作ろうとしたんだけど、一口サイズにしてみれば食べやすいのかなと思ってやってみたんだだけど良かった。」
皆で食べながら雑談で盛り上がっている
「ねぇねぇ、みんな部活何に入る?」
沙奈がみんなに質問をした。
「部活かぁ。何があるんだろ…ってかホームページになんの部活があるか書いてあったわ。何に入ろう…」
裕二が何に入るか迷っている。事前情報があまりないため、何にするかまだ何に所属するか決められない。
「軽音やってみたいよね〜。皆で楽器弾いて、文化祭とか近くのまつりで弾いてみたいよね〜!」
「僕もやってみたいなぁ。」
みんながやってみたいとと話していた。ただ、店の手伝いがあるからなんとも言えないんだよなぁ…
「みーちゃんが言ってるのは分かるけど、ここの店の手伝いあるからもし仮に作って入部したとしても、俺はほぼ顔だせないよ?」
「それなら安心してだせぇ!」
「わぁぁ!びっくりしたぁ!」
急に声が聞こえたため皆がびっくりした。資材を取りに来たハルが話に入ってきたのだった。
「あぁすんません。話に割り込んで申し訳ないっすけど、店なら大丈夫っすよ。時期によっちゃぁしんどい時もありますけど、その前にはバイトの募集もかけてますし、なんとかなりそうですぜ。」
「だそうだ。どうする?」
美沙が裕二に問う。
「分かった。入部するよ。」
「よし、決まり!」
しかし、問題がある。個々の学校には軽音部が無い。もし軽音部が無くて作れたとしても、顧問がいなければ作るにも作れない。
「もし作れたとして、みんな楽器弾けるの?俺とみーちゃんは趣味でやってたからある程度は弾けるけど…」
「当たり前やん!うちら3人は中学3年の文化祭でクラスの人と即席のバンド組んで演奏したんやから。」
「僕も一応ピアノやってて、賞取ったりしてたよ。」
どうやら皆引けるらしい。なんだかんだ話は進み、美沙がドラムで幸貴がキーボード、美乃里と沙奈がギターとの事。そして裕二ががベースをやる事になった。
「月曜日に聞いてみるか。」
色々と話が盛り上がり、2時間が経った所で一旦お開きにしようかと話になっていた。
「もう9時やん。皆はどうする?俺は片付けやってから帰るけど」
「ゆーくんもやるなら私も片付けやってから帰る。」
「あんた達2人に任せちゃ悪いよ。あたしも手伝うよ。」
皆が手伝うと言ってくれた為、全員で片付けることになり全てがピカピカに綺麗になった。そろそろ業者を頼もうかと思っていたのだが、ここまでキレイになるとは…片付け終わり、この後どうするかと話をしていた。
「なぁ、誰かの家で2次会やらね?」
「ぉお!良いねぇ〜」
「僕の家はちょっと厳しいかなぁ…弟と妹もいるし、親がケーキの仕込みしてるから。僕は全然行けるよ!」
「あたしの家でも良いぞ。全然大歓迎!」
「美沙、そう言いながらそのでっかいカバンは何なんだ?絶対着替えとか色々入ってるだろ。それに沙奈、あんたもデカいカバン持ってんなぁ!」
裕二がそう言いながらカバンに向けて指を差した。
「あ、バレた?いやぁだってね?誰かの家に泊まって見たいじゃん?ねぇ沙奈。」
「うん。私も誰かの家に泊まってみたいなぁと思ってさ〜。よく美沙ん家には泊まりには行ってるんだけど、2人で他の家の人に泊まりに行ってみたいなぁって話してたの。」
「幸貴の家は小さい弟や妹がいて迷惑かけられないじゃん?あたし達は泊まりに来る前提で来てしまったから…残るは2人しかおらんよ?さぁ、どっちの家に行く?」
「え、えぇーー!?!?」
2人は同棲中、どのようにして乗り切るのか。そしてまたバレてしまうのか。はたまた、バラしてしまうのか。この後の展開に乞うご期待。
同棲生活、始めました。 鬼ケ原龍左衛門 @onigawara-ryuzaemon
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