ゲーム

@takeyabu666

第1話

目に見えてわかる特別な力があるわけでもない。人に支持されるようなものを持っているわけでもない。だけど、生きてみたかった。現実とは程遠い理想の世界。楽しい世界。


主人公、少年。

「退屈だ。」

いつもの口癖を言いながら、ゲームを閉じる。

閉じたはいいが次にやることは決まっていない。

ゲーム内でのやることはある。だけどなんとなくやる気がない。ここに求めているものはないと感じている。一応他に探してみるけど、苦しむだけ。苦しむとわかっていてもやるしかない。そして苦しむ。それの繰り返し。

運がなかったのはわかる。恵まれていなかったのもわかる。苦しんで生きるのは当然だ。当たり前だ。だけど、、、少しだけ信じている。心の中の深いところ、まだ輝いていることを。決して自分は、まだ消えてないことを。


ニュースを見た。内容によると、VRゲームが進化したらしい。それはとてつもなく革新的だそうだ。ただ未完成なので売ることはできないらしい。完成するには人で試すしかないらしい。ということで募集が始まった。人体実験かよ。誰もがそう思うはずだから下手にのらなかった。でも自分はやるゲームがなく追い込まれていたので何も考えず、スマホで登録。苦しんでいるのに少しだけ希望が残っていた。ありもしない可能性を信じていた。これがだめなら終わり。終わりなんだ。

そしてゲーム機が届く。何の変哲もないvrだが、ソフトがなかった。そしてはめるだけでいいらしい。もはや考える余裕はないが動いてはいる。

「やりたい」

俺は世の中と合わなくなろうとも。まともになれなくても。負けたくなかった。否定したくなかった。自分のなかに存在する。美しき世界。それは、純粋な心で居続けられるワクワクに満ちた、一度だけ感じたことのある思い出の世界。

ゲーム機をはめる。そして待っていた、本当の自分。















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