28 ヘッドフォン
ヘッドフォンをつけて音楽を流す。大学に入って出来た友人が、イヤホンより好きなんだと主張するので、僕も使ってみたくなって一緒に選んだものだ。それほど値の張るものではなかったけど、簡単なノイズキャンセル機能もついていて、集中するのにはもってこいだ。
とはいえ、今回の場合はちょっとした耳栓程度にしかならない気もするけど。
虎郎君から貰った石を台に置いて、自分で持っている箱から、屑石をいくつか取り出す。これはよし子さんの孫で、今高校生の
元々屑石を集めるのが趣味だった頼里さんから、みちるさんに髪飾りを作ることが出来ないか相談されたのが始まりだったのだけど、今では道具もパーツも結構揃っていて、半ば趣味のようになっていた。
石を並べてみて配置を決める。手袋をしてルーターのスイッチを入れると、ビットが勢いよく回転を始めた。いくつものビットを付け替えながら石を削り、磨いていく。モーター音と摩擦音で音楽が遠ざかって、ほんの少しだけ音量をあげる。
少しずつ角が取れていって、石が丸みを帯びていく。想定していた形に少しずつ近づけていくこの作業が好きだ。
モーター音も音楽もいつの間にか遠ざかって、目の前の石に意識が集中していく。荒かった表面がつるりとして光沢を帯びてきて。
うん、こんなものかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます