14 さやかな

 長司くんの案内に従って、正人くんが車を走らせる。長司くんが来たのが少し遅い時間だったから、いつの間にか日が沈んでもう夜だ。車はどんどん海の方に近づいている。

「海にいるのかな?何しに行ったんだろう」

 長司くんが不安そうに言って、そわそわと長い足を動かした。

「普段海の方には行かないの?」

「海なんかめったに行かないです……」

 どんどん伸子ちゃんの気配に近づいて、車が登り坂に入った。駐車場を見つけてそこに車を止めて、皆でぞろぞろと坂を登っていく。

 坂を登りきると、岬のようになっている場所についた。

「伸ちゃん……?」

 長司くんが不安そうにきょろきょろしながら歩いていく。岬の先は崖のようになっていて、長司くんはその少し前で一度立ち止まり、おそるおそるという様子でゆっくりと先に進んでいった。

 澄み切った空の向こうに、まん丸の月が見える。きれいに晴れた、きれいな夜だな。

「あっ、伸ちゃん!」

 僕が景色に見とれている間に崖の上にたどり着いた長司くんが、崖下の方を向いて声を上げた。

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