3.月足りて街を照らして幾年か孤高の影に君が微笑む



月足りて街を照らして幾年か孤高の影に君が微笑む




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 柔らかな月の光は、十分に満ちてわたしの住む街を照らしているけれど、君にも会えず独りきりになって、もう何年が経っただろう。


 月の影ならば、笑顔の君にもう一度会えるだろうか。








 古典的な和歌と、現代短歌の両方を交互に詠んでいこうと思っています。


 今日の歌は、塚本邦雄さんの『定家百花 雪月花(抄)』より、以下の短歌を参考に詠んでみました。


月のすむ都は昔まよひ出でぬ幾夜か暗き道をめぐらむ


 月が出ているのに、暗い道を彷徨っているかのような虚無感。


 わたしが好きな和泉式部の短歌と対比させながら紹介していたので、たまたま目に留まりました。


暗きより暗き道にぞ入りぬべき遥かに照らせ山の端の月/和泉式部


 この和歌は『山の端の月』って表現がいいですね。調べてみると、平安時代にこの表現がブームになったとか。

 和泉式部は情熱的な和歌を多く詠んでいるので、本当に尊敬しています。


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