【6】
「ヨモギーっていうYouTuberの人」
「ふーん。聞いた事ない。有名な人なの?」
「うーん、あたしもよく解らない」
「ホントなのかな、その話」
「それがさぁ、一緒になった時に云ってたけど、全くのガセネタなんだって」
「迷惑だねぇ、それは」
「熱愛も何も仕事ですら会った事ないんだって」
「えっ、そもそも会った事すらないの? それはひどいね」
「根も葉もないにも程があるよね」
「何でそんな事書くんだろうね」
「冴島さんすごい怒ってたよ。〝訊いてくださいよー〟って。で、話訊いた皆も一緒になって怒ってた。〝そりゃムカつくねぇ〟って」
「接点ない人との記事書かれんのは流石に嫌だなぁ」
「同業者との記事だったら今後気まずくなるから嫌だけど、全く関係ない人との記事でもムカつくよね」
「相手が共演者とかだったらただマスコミが勘違いしてるだけの可能性があるけど、一回も会った事ない様な赤の他人なら完全に確信犯だよね」
「前に聞いた話なんだけどさぁ、マスコミって男女三人で歩いてるのを見付けたら、一人を切り取ってあたかも男女二人で歩いてる様な写真にして記事にしたりするんだって」
「そんな事すんの、マスコミって」
「酷いよね」
「違うの解ってる上でそんな記事書くんだ」
「何でそんな事するんだろうね、マスコミって」
「記事書かれた人の名誉を考えないで週刊誌売る事しか考えてないよね。ホント、マスコミって嫌い」
「ところで、最近の芸能界ってどんな感じ? 何かすごいニュースとかある?」
「あるある。いっぱいあるよ」
「例えば?」
「城之内徹さんっているでしょ?」
「あの、よく教頭先生役やってる」
「そうだっけ?」
「そうだよ。十二、三本ぐらいのドラマで教頭先生役やってるよ」
「十二、三本? 教頭先生でそんな被る事あんの?」
「教頭俳優って云われてるんだよ」
「そりゃ云われるよね、十二、三本のドラマで教頭先生役やったら。他にいないのかな」
「うーん、でも、城之内さんの教頭先生っぷりは見事だからねぇ。で、城之内さんがどうしたのさ」
「不倫撮られた」
「えー、噓っ!」
「愛妻家で有名だしね」
「そうそう、よくテレビで奥さんの話してたよね。で、信憑性は高いの?」
「信憑性も何も、こないだ会見開いて謝罪してたよ」
「じゃあ、ホントなんだぁ。ショックだなぁ」
「で、今は謹慎中。私とほぼ入れ替わり」
「休んでたんだ?」
「うん、〝夢幻ユートピア〟の最終回の収録終わって
「そっかそっか。〝夢幻ユートピア〟の真っ最中だったけか」
「そう、あと二話って時だったの」
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