【6】

 「楽しかったよな」

 「ホテルも良かったよな」


 「料理も美味かったしな」

 「京野菜食えなかったけどな」


 「出てこなかったよな、京野菜」

 「和食と洋食どっちか選べるって云うから京野菜食えると思って和食の方に行ったんだけどな」


 「せっかくだから京野菜食おうと思ってたのにな」

 「二日目もどっちか選べるっつうから今度こそ京野菜食えるだろと思ってまた和食選んだけど二日目も京野菜出なかったもんな」


 「それどころか一日目と全く同じメニューっだったもんな」

 「がっかりだよな」


 「同じメニューなら云えよってな」

 「で、三つ目が、ジューシーハウス事件」


 「まだあんのか、あいつ等の喧嘩。てか、なんだよ、ジューシーハウス事件って。滅茶苦茶気になるタイトルだな。ジューシーハウスで揉めたのか」

 「いや、ジューシーハウスのCMソングってあるだろ?」


 「〝ハンバーグで迷ったぁらぁ~ジュ~シ~イッハウッスッ!〟ってやつだろ?」

 「そう。ダーヤスがそれ口ずさんだらモーリーが音程の駄目出しが始まったわけよ。〝いや、そうじゃない〟って何回も繰り返してしつこいからダーヤスがキレたわけ」


 「しょうもないな。てか、ダーヤスとモーリーってそんなよく揉めてたのかよ」

 「モーリーはさとっちともよく揉めてたぞ」


 「さとっちともか」

 「宇宙人はいるかいないかだの、河童はいるかいないかだの、さとっちがモーリーの彼女奪っただの」


 「いや、最後急にマジじゃねぇか。ファンタジー、ファンタジー、修羅場じゃねぇか」

 「てか、さとっちって中学の頃もモテてたよな」


 「そうみたいだな」

 「校内でファンクラブ三つあったらしいな」


 「へぇー。あいつのファンクラブがあったのは聞いた事あったけど、三つもあったのか」

 「てか、ファンクラブの活動内容が気になるよな」


 「確かに、芸能人のファンクラブならともかく同じ学校の奴のファンクラブって入って何するんだろうな。魅力を語り合ったりすんのかな」

 「ライバル視したりしねぇのかな。何で好きな人が同じ同士で団結力が生まれんだろうな。全然理解出来ねぇ」


 「俺も無理だな。完全にライバル視だな。女子ってそういう生き物なのかな」

 「何をモチベーションに活動してんだろうな」


 「てか、何で三つに分かれてたんだろうな。一つに集まればいいのに」

 「一応、派閥でもあんのかねぇ」


 「三つ巴的な?」

 「ところで、今でも特撮同好会ってやってんのかね」


「ああ、ネクラモトといっつもヒーローの話してたよな」

 「ネクラモトの唯一の話し相手だったもんな」


 「デブでオタクを絵に描いた様な見た目で今で云う陰キャのネクラモトと、学校のアイドルで今で云う陽キャのさとっちが意気投合して熱く語り合ってんのがなんか面白かったよな」

 「最初びっくりしたよな」


 「〝ネクラモトが喋ってるっ!〟、〝しかもさとっちとっ!〟って、思わず皆でざわざわしながら凝視しちゃったもんな」

 「あいつ等、二人でヒーローショー行ったりしてたらしいよな。さとっちが行けなくなってネクラモト一人で行った事も何回かあるらしいな」


 「えっ、マジで? あいつ一人で行った事もあんのかよ。しかも何回もかよ」

 「いっつも最前列で観てるらしい」


 「しかも最前列かよ。一人であの見た目で最前列はエグいな」

 「よりによって老け顔だもんな、あいつ」


 「おっさんみたいな見た目だからな。最初先生かと思ったもんなぁ」

 「ヒーローも怪獣も二度見しただろうな」


 「どっちも闘いに集中出来なかっただろうな。ヒーローも怪獣も」

 「〝今日、皆調子悪くない?〟って子供に思われてただろうな」


 「ショーが終わった後、楽屋はあいつの話で持ち切りだっただろうな。〝最前列に一人おっさんいたよな〟って」

 「イタいなぁ、あいつ」


 「イタいよな」

 「法律的にはアウトじゃないけど道徳的には完全アウトだよな」


 「自分が座る分、其処に座れない子供が一人いるわけだからな」

 「後ろの子供、観えてなかっただろうな」


 「大人が座る事を想定して椅子並べてないだろうしな」

 「しっかし、なんで一言も喋った事ない奴にコクるかねぇ」


 「えっ、コクった? あいつが?」

 「あれ、お前、知らなかったけ」

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