【4】

 「あと、カバンの中身公開とかモーニングルーティンとかもやってたよな」

 「やってたな」


 「そういうのってYouTube始めた芸能人がやるやつだよな」

 「あいつ等のカバンの中身とかモーニングルーティンとか誰も興味ねぇよな」


 「再生回数がいっつも二十いくかどうかって感じだったよな」

 「学校の奴等しか観てないだろうな」


 「実質ゼロだよな」

 「あいつ等はホントに、馬鹿な事ばっかやってたよな」


 「ダーヤスもお前と同じクラスだったか」

 「そう。あいつ等、よく昼休みにコーラロシアンルーレットとかやってたわけよ」


 「コーラロシアンルーレット? 何だ、それ」

 「お互い順番に目瞑って滅茶苦茶振ったハズレのコーラ一本と、振ってない当たりのコーラ二本を置いて、一本ずつ開けてハズレのコーラ選んだら負け、っていうゲーム」


 「馬鹿だな、あいつ等」

 「馬鹿だよな。で、不正がないように俺が審判やらされてた」


 「確かに、見張る役目がいないと全部振ったりするよな」

 「あと、牛乳ロシアンルーレットとか」


 「牛乳ロシアンルーレット? 何だ、それ」

 「コップ三杯の牛乳のうち一杯が消費期限切れ」


 「その為に牛乳放置したのかよ」

 「そう。で、次の日、二人共腹痛で欠席」


 「ドローかよ。馬鹿だな、あいつ等」

 「馬鹿だよな。あと、水ロシアンルーレットとか」


 「水ロシアンルーレット? 何だ、それ」

 「一杯だけ焼酎」


 「ヤバいな。てか、当時高校生だろ。絶対ハズせないだろ」

 「よく云うわ。で、二人共顔真っ赤」


 「ドローかよ」

 「授業中はずっと俯いて、終わったら帽子目深に被ってそそくさと帰って何とかバレなかったらしい。帰り道、二人仲良く同じタイミングで吐いたらしいけどな」


 「馬鹿だな、あいつ等」

 「馬鹿だよな。二人共それ以来トラウマで酒は一切飲んでないらしい」


 「当たり前だろ。トラウマ関係なしに飲むなよ」

 「あと、卵ロシアンルーレットとか」


 「卵ロシアンルーレット? 何だ、それ」

 「頭上でたまご割って、ゆで卵なら当たり。生卵ならハズレ」


 「馬鹿だな、あいつ等」

 「馬鹿だよな。あと、ストロシアンルーレットとか」


 「ストロシアンルーレット? 何だ、それ」

 「三本のうち一本は川原が飲んでた牛乳のパックから抜き取ったストローで、あとは全部、男子が使ったやつ。で、どれかに口をつける」


 「馬鹿だな、あいつ等」

 「馬鹿だよな」


 「てか、キモいな」

 「キモいよな」


 「当たりでもハズレでもキモいな」

 「どっちにしろキモいよな」


 「で、それはどういう結果だったんだよ」

 「混ぜてるうちに解んなくなったらしい」


 「馬鹿だな、あいつ等」

 「馬鹿だよな。だから、二人共、自分が当たったのかハズレたのか解んないまま終わったわけよ」


 「口つけたのかよ。何でだよ。口つけんなよ。てか、そういうのをYouTubeでやれよな」

 「だっはっはっ! 確かにそうだなっ! だっはっはっ!」


 「何でそれに気付かねぇんだよ、あいつ等」

 「そういや知ってるか、ダーヤスもフラれったって話」


 「あいつも川原にコクったのか」

 「いや、川原じゃない」


 「えっ、川原じゃないのか。川原が本命じゃないのに川原が使ったストローを巡ったデスゲームに参加してたのか。エグいな」

 「エグいよな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る