海水浴の着替え

――――――――――――――――

48歳 主婦 女性の書き込み

――――――――――――――――




私が20代だった頃、友人たちと一緒にとある民宿に泊まったときの話です。


そこは海水浴場のすぐそばにあり、1日の宿泊枠が2組限定という、こじんまりとした宿でした。





私たちのグループは部屋に荷物を置いてから海水浴をして遊んでいたのですが、私は忘れ物に気づき、一人部屋に戻ったんです。


そのとき、私たちの部屋の向かいの部屋の扉が全開になっていることに気がつきました。


その開いた扉からかなりの夕陽が差し込んでいたので、私はふとその部屋の中を覗いてみました。





するとそこには5歳くらいでしょうか、色白の男の子が全裸で着替えをしているような姿が見えました。


私は慌てて目をそらして、そのまま海水浴場へと戻っていきました。








その日の夜、共用の食堂に行くと、私は違和感を覚えました。


そこにいたのは私たちのグループと、大学生くらいの男性4人組だけだったのです。





あの男の子がこの大学生グループと一緒に来ていたとは考えづらい。


そう思った私は、夕方に見たあれは何かの見間違いだったのだなと思いました。





しかしその考えは、食後の時間には崩れ去りました。


なぜなら、共用スペースに置かれていた自由帳に、


「座敷わらしを見た」


という走り書きのような書き込みがあったからです。


それも1件ではありません。複数です。





今でこそ不思議な体験をしたものだと思うことができますが、当時は不気味で夜も眠れず、寝不足で帰ったのを覚えています。





座敷わらしを見たのが私たちの部屋でなくて、まだ良かったなと思います。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る