叡智の図書館

瑞葉

第1話 エルフの「聖地」

「痛っ!!!」

 頭を押さえながら、気を失っていた少年は起き上がった。

 そこはだだっ広い岩の空間だ。頭上の天井に星のように瞬くのは、ホタル石に違いない。

「ホタル石が、こんなにたくさん??!」

 永遠の愛をエルフが誓う時、この石を相手に渡すものだ。

 少年は喉がとても渇いていた。岩の空間のくぼみに水が溜まっている。少しためらったけれど、くぼみの水を手ですくって飲んでしまった。

 水を産み出せる魔力はもう残っていなかった。

「ここは、お母さんが寝る前に聞かせてくれた『エルフの聖地』だよね。誰か、連れてきてくれたのかな。助かった仲間、いるのかな」

 じわりと涙があふれる。

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