【悲報】放課後、好きな人の体育着でシコっている現場をその親友に見られ弱みを握られてしまう。

さい

第1話

 俺は今、いけないことをしている。

 左手には体育着。

 右手には息子。


 はあはあ、と息を荒くしながら俺は下腹部に手をやり続ける。


 体育着からはすっぱい汗の臭いと、甘い柔軟剤の匂いが混ざり合う。


 今、この現場を誰かに見られてしまったら俺は死ぬだろう。


 現在俺は、黒宮麗奈さんの使用済み体育着でシコっている最中である!!


 黒宮麗奈──彼女とは同じ二年B組であり、俺の好きな人だ。

 彼女の見た目は、まるで天使のような清楚系美少女。


 そんな彼女の汗もやはり臭いのだと知ると、涙が出てくるほどに感動してしまう。


 たまたまだった。

 そう、たまたまなんだ。


 放課後、担任の栗田先生に呼ばれた俺は雑用作業をしていた。

 雑用が終わり、帰ってくると黒宮さんの席の横には体育着の入ったバッグが置いてあった。


 こんな状況に陥ったら、するべきことは皆一つだろう。

 バッグから体育着を出して、匂いを嗅ぐ。


 最初はそれで終わる予定だった。

 気づけば、ズボンをずらして、パンツをずらしていた。


 本当に俺はど変態だな。


 つくづくそう思ってしまう。


「いやっ、男ならみんなこうするよな」


 黒宮さん。

 おっぱいが大きくて、肌の白い黒宮さん。


 教室に誰かがやってくるかもしれない。

 なんていう状況なゆえ、より興奮してきた。


「やばい、黒宮さん……そろそろ……」


 間違いなく、今回の行為が人生で一番最高なものになるだろう。


 どうせなら、体育着にかけよう。

 大丈夫、丁寧に拭けば、きっとバレないはずだ。


 次第に早くなる右手。


「い、イクよ……」


 と、その時だった。


 ガラガラと扉が開く音。


「あっ」


 ドアの方を見た時にはすでに時遅し。


 一人の女子生徒──俺は彼女を知っている。

 桜姫朱音。

 同じクラスにもなったことのない彼女のことを知っているのは、男子から人気のある女子だから。

 いや、違う。

 事実だが、俺の場合は違う。

 彼女が、黒宮さんと親友だからだ。


「……やば」


 俺が発射するのと同時に、パシャリ、というシャッター音が教室には鳴り響いた。


「あああ……」


 体液は、床に飛び散った。


 今はそんなことどうでもいい。


 どうなる。

 証拠写真まで撮られてしまった。

 彼女は、黒宮さんの親友だ。

 終わった。


 頭の中が真っ白になっていく。

 賢者モードに突入した俺は、更に身体がぼーっとしだした。


「麗奈が体育着忘れたって言ったから、学校にまだ残ってる私が取りに来たんだけど……こんな現場に遭遇してしまうとは」

「すすすっ、すみません……」


 はい、もう俺の人生終了です!


 チクられて終わるんだと思っていた。


 だが、彼女は腹を抱えて笑い出した。

 目には涙が浮かび上がっている。


 え?


「とりあえず、体育着しまって。あと、ズボン履いて。誰か来ると困るからさ」

「あっ、はっ、はい!」


 慌てて、体育着をぐちゃぐちゃなままバッグにしまい、パンツを履き、ズボンを履いた。


「気持ちよかった?」

「はい、すごく気持ち良かった……です!」

「私、君の気持ちよくわかるよ。私も昔、好きな男の子のリコーダーでシたことあるから♡」

「な……っ」


 ドクンドクン、と心臓の鼓動で周りの音が聞こえたなくなっていく。


「麗奈可愛いもんね、男なら麗奈の汗つき体育着嗅いでみたいよね」


 桜姫さん、俺に近づいてきて、床に飛び散った体液を右手人差し指で取り、俺の口に突っ込んだ。


 俺はあまりの出来事に目を大きく見開いた。


「君に、チャンスをあげる。さっきの写真は誰にも見せないし、今あったことも言わない。けど、私のオモチャになること。私の命令を破ったら、バラす」


 これが、俺と彼女の出会いだった。

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