推し作曲家がコンカフェ嬢だった

千華

第1話 一目惚れ

その瞬間、私の心の扉が開いた。


雪のような銀髪は不思議な雰囲気で彼女を包み、白い肌は神秘的な印象を増す。



その女性は、否、コンカフェ嬢は自らの前で立ち尽くす私を見て、ふわりと首を傾けながら笑った。




メイド喫茶

メイドになりきった店員が、客を「主人」に見立てて給仕などのサービスを行う喫茶空間のことで、主に日本に展開し存在する飲食店の一種である。


ウィ〇ペ〇ィアより抜粋。


その中の一種、コンカフェ。略さずコンセプトカフェ。


店ごとに異なるコンセプトを設定し、それに見合う容姿をした店員が客をもてなす。

コンカフェの多くは、店員扮す好きなメイドを指名することが出来、好きなメイドと時間を楽しめる。


コンカフェで働く、いわゆるコンカフェ嬢は、所属する店のコンセプトに合わせた衣装を纏い、また客への対応もする。

会話をメインにするメイド、ステージをメインにするアイドルメイド、キャラは様々で実に十人十色。




目の前の店の看板を見上げる。


『Cafe&Bar ゆきうさぎ』


その、名の通り白を基調とした店頭でキャッチをするコンカフェ嬢が一人。

白いふわふわのウサ耳を頭につけ、同じく白いメイド服を纏っている。


「寄って行かれますか?」

「えっ!!?」


慌てて大きな声で飛び退くと、コンカフェ嬢は小さく笑った。

いや、微笑んだという方が相応しいように感じる。



まるで童話の世界から飛び出してきたような容姿に上品な仕草。

この世のものとは思えない可愛さだった。


もう一度、コンカフェ嬢を見つめる。

彼女は、私の挙動不審に首を傾げている。

その首の傾きすらも美しかった。


「あの」

気づいたら声が出ていた。

「お姉さん指名できますか」

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