第一章
1-1
僕の知る限り、この町は普通だ。
どこにでもある。
性犯罪が起きていたり、不倫が起きていたり、コンビニで新商品のポテトチップスが売られていたりするし、いつまで経っても工事中の道路もあるし、去年の夏から閉店セールを続けている靴屋もあったりする。
そういう町だ。
何かありそうな町だと期待されても困る。
僕は高校生だ。
性別は男で学年は二年だ。
顔は上の下くらいだと思う。別に中の上でもいい。
身長は百八十センチ。
部活には入っていないが、昔はスポーツチャンバラとバレーと卓球をやっていた。体を動かすことは嫌いではない。ただ運動神経は決して良くはない。
僕が主人公となって動き回るこの物語には基本的に死というものはない。
でも、犠牲、潔癖、軽蔑、時間という要素は強く出てくる。
そのすべては、この町と、僕と、僕以外のすべての人によって説明される。重要なことは何もない。僕が日常の中で冒険をするだけである。遠くに行くわけではない。すべてはこの町の中で完結する。
余白は多い方がいい。でも全部埋めてしまいたいと思うくらいに僕は真面目だし結構元気だ。
僕の名前は。
そう、なんだっていい。
僕とかにしておく。
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