あれってアレだったのかなぁ…?

天川裕司

あれってアレだったのかなぁ…?

タイトル:あれってアレだったのかなぁ…?


修学旅行の時のこと。

なぜか視線を感じる私。

先生の視線でもなく、友達の視線でもなく、

何か変な視線。


それは生き物から見られていると言うより、

何かモノに見られてる?みたいな感じ。


「んー、なんだろうこれ…」


私たちが泊まったのは歴史のある旅館で、

その旅館に近づくにつれ、

この「見られてる感覚」も強まってきていた。


旅館の中を案内されている時も、

みんなで一緒にご飯を食べている時も、

自由時間で旅館周りを探索していた時も、

お風呂に入ってる時も寝る時も、

やっぱり何かに見られてる気がする。


「はーい皆さん、旅館の方にご挨拶しましょう〜」

「ありがとうございましたぁ〜」


そして帰り。

旅館から学校までバスで帰ってきて、

学校でみんな解散という形になった。


「楽しかったねー」なんてみんなで言い合いながら、

やっぱり私はあの視線のことを考えていた。


そして学校から帰るとき。

仲の良いミヨちゃんとカケル君と一緒に帰った私。

その帰り途中…


ミヨちゃん「やめときなって」

カケル君「イイんだよ大丈夫だよ♪」


カケル君は道端に落ちていた財布を拾い、

それをネコババしようとしていた。


ミヨちゃん「ちゃんと警察に持ってかなきゃダメよ」

「そうよそうよ」

私もミヨちゃんと一緒になってそう言った。


カケル君「誰も見てないから大丈夫だよ♪おっスゲェ!見てみろよホラ、3万円も入ってるぜ♪」


カケル君がそう言った直後、

「え…!?」(ビクンとして)

私は又あの視線を感じたのだ。今度のは強烈。

なんとなく見られてるじゃなく、

なんか凝視されている、そんな気分…


カケル君「へへっ♪じゃあな〜」


と言ってカケル君が振り返ったとき、

ミヨちゃんと私「「えっ!?」」

カケル君のTシャツを着たその背中に、

無数の目があったのだ。

なんだかタレ目ながらも、にらんでいるその目。


ミヨちゃんと私「「な、なにあれ…」」


カケル君に声をかけられず、

私とミヨちゃんはただカケル君が

向こうに歩いて行くのを見ていただけだった。


とっさに思う。

カケル君が財布をとったから…?

何か悪い事をしたからあの目が現れたの…?

じゃあ私が感じてたあの目は…

ハッ、もしかして…


旅館へ向かう途中、サービスエリアでバスが寄った時、

店の横に置いていた古ぼけた石を

私はポケットに入れていた。

なんかキレイだったから。


でもその石はちゃんと台の上に乗せられていたもので、

よく考えたら何か祀られていたもの…?にも思えてきた。


後日、私は先生に言って石を返した。

カケル君はなぜか3万円取ったのがバレたようで、

その持ち主と、お父さんとお母さんにこっぴどく叱られたらしい。


それから数日が経ち、何事もない平穏な毎日が戻ってきていた。

そしてこれまでを振り返って思う。


「もしかしてあの目って…目目連(アレ)だったのかなぁ…」


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=2_wRrrXAI_8

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あれってアレだったのかなぁ…? 天川裕司 @tenkawayuji

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