閃冰奏でる幻想曲

もかの

一条唯の独白

 自分で言うのもなんですが、私は大抵のことは紆余曲折しながらも乗り越えることができると思います。


 勉強だって、『やろうと思えば』学年で一桁順位くらいは行けると思います。


 運動も『やろうと思えば』クラスのエースになれると思います。


 ビジュアルだって、『やろうと思えば』男の子だけでなく同性からもモテるくらいにはできると思います。


 自分でここまで言えるのも、『ここまで言われる』時期が実際にあったからです。


 ──中学時代。私はクラスの中心的な存在でした。


 いえ、結果的にはそう思っていただけなのですか……。


 そういう過去を持っているわけですから、高校生になった私は、そのような自分を隠すようになりました。


 今では、クラスである程度の地位に落ち着いています。


 風の噂では『氷姫こおりひめ』とも呼ばれているとお聞きしたこともあります。


 人との関わりを減らしたことが原因だとは思いますが、いじめられていた頃と比べれば、断然今の生活の方がマシです。


 本当の自分の姿を隠して生活するのは少々悲しくもありますが、しょうがないことです。


 これからも私は、ただいじめられないように高校生活を過ごすだけです。




 そう、思っていたのですが……。

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