ねこまたラプソディ
@wacpre
第1話 夕涼み
『僕は猫である。名前は3つある。』
「寅三郎、どこにいるの?」
まだそれほど暑くない文月のある日の夕方。いつもの縁側の下で風に吹かれながら横になっていると、そんな声が聞こえてきた。頭の上で音が響くのできっと探し回っているのだろう。ひょっとしたらそろそろご飯の時間かもしれない。でも、まだ匂いはしないのでもう一眠りすることにした。
……涼しげな風に乗って、いい匂いが漂ってきた。今夜は焼き魚らしい。
「寅三郎、どこにいるの?ご飯よ〜」
僕は『にゃん』と鳴いた。
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