いつか太陽に照らされて

全話読ませていただきました!
久々に泣きました……素晴らしい作品をありがとうございます。

8話までは暗い雰囲気にリアリティがある文章で、胸が締め付けられる気持ちになりました。
「うつ病なんて、簡単に診断書が出る」こういうことを平然と言ってしまう人間がいるのもリアルですね。

『うつ病』である太陽と、『笑えない』花。二人の別々になってしまった人生の歩み。先が全く見えない暗い物語に一つの光が差し込みました。この光──ひまわりがきっかけで大きく物語が明るい方向に進みましたね。

プロローグから既に伏線が張ってあったんですね。お見事でした。

ひまわりの再逢から、太陽に軽妙な口調やモノローグが増えてきて、凄く良かったです!ひまわりちゃんの明るさやコミュ力の高さが太陽をいつのまにか元気づけていたんですね。
だからこそ、花を含めた三人でケーキを食べる話は号泣しました。
花との再会。『うつ病』である太陽と『笑えない』花。困難な状況である二人がひまわりをきっかけに希望に変わっていくシーンが本当に良かったです。
「花ちゃん、ひまわり、一生かけてボクが二人を幸せにします。だから…その…ボクと家族になってくれませんか?」
ここの台詞も感動しました。

三人だけで進もうとせず、あの時向き合えなかった花の両親にも会いに行くとは思いませんでした。まさかあそこで太陽の居場所が見つかるなんて……彼の夢がそこにはあったんですね。

さらには太陽の両親にも向き合ってく。正直、ここの展開は不安でいっぱいでした。
家庭環境──ただでさえ険悪な家庭に認知症の祖母が加わったことで、最低最悪な家庭になってしまう。そうした家庭で育ってきた太陽。

だからこそ、再びぶつかって終わってしまうんじゃないかなと考えてました。

しかし、お互いしっかりと向き合い、結婚も認めてもらえて良かったですね。
皆が悪いことをしようと思ってあんな家庭になったわけではなく、皆が自分のことでいっぱいだったらこそああなってしまったんですね。
本当は真面目で優しい人ばかりなのに、世の中の悲しいことや辛いことに振り回されてる感じがして、だいぶ印象が変わりました。

「ワタシは母親として、これからは胸を張って生きていたいと思っています。遠回りしても格好悪くても良いんです。皆さんもどうか自分を大切にしてあげて下さい。もっともっと自分を憂めてあげて下さい。時には逃げ出してしまうこともあるかもしれません。ほんの少しだけ勇気を出して、顔を上げて前を向いてみて下さい。いつか太陽に照らされて、綺麗な花が咲くと、希望を抱いて生きていて下さい。本日は本当にありがとうございました」

ここの台詞も号泣しました。優しさと家族愛に包まれた作品でしたね。

タイトル回収もお見事でした。大きな作品の締めくくりに素晴らしいエピローグでしたね。

暗く、重たく、のしかかるような始まりで読むのを断念したくなるかもしれませんが、僕はその先にある光を掴むことができました。

初執筆とは思えない本当に素晴らしい作品をありがとうございました。
長文失礼しました。