オールSランカー

SORA

第一話 「呻き声」

2000年前 超人的な力を使う者達が,当たり前に存在したとされる時代に

誰もが名前は耳にしたことのある

御三家が存在した。



全ての分野において素晴らしい実績を持つ



秀才揃いの 高見沢 (たかみざわ) 家



力とは言ってもそれらには4つの種類があり

一つ一つ 力の強さが異なる。

劣っている順から


①魔力 < ②能力 < ③偶力 < ④奇力


その中で圧倒的でかつ

最も強力な奇力を所有する者たちばかり

産まれるとされる



天才揃いの 神崎 (かみざき) 家



古来から存在する、邪悪で、危険とされる

記憶を司る女神を、代々赤子に封印し続け、

大いに世界に貢献した、



神を所有する 源 (みなもと) 家


これら御三家達は、時代が流れると共に

名前も聞かなくなり

皆から忘れ去られてしまった…


あれから2000年… 力を使う者達も

見かけることは無くなった。…


2000年前は実に愉快であったが


昔と比べ、劣化したこの世界は

退屈で仕方がない…とても憂鬱…


貴様 の 記 憶 で 我 を 救 っ て おくれ


みなもと ひすい

源 翡翠



4078年 5月26日


ー声が聞こえるー


「…ふふ…これで大もうけね」


ー聞き覚えのある声ー


「っは!…夢か…なんか不思議な夢だっな…

いたた…頭痛いなぁ…って

何やってるのかなぁ?そんな所で……

レイルねぇさん?

ん?…あ!…ブローチがないっ!…まさか……」


「わっ!起きた!?…ちっ!こうなったら…っ!」


ー素早い動きで外に出るレイルー


「はぁ…ほんとに毎度懲りないなぁ……

さて!行きますかっ」


私の名前は 源 翡翠 (みなもと ひすい)

現在は訳あって貧民街でおじいちゃんと住んでいる

父親と母親も居たらしいんだけど…

生憎だが全く記憶にない…

物心ついた頃からずっとおじいちゃんが

そばに居てくれた、

だからおじいちゃんには感謝している。


そして今,私のブローチを盗んで逃亡をしている

この厄介ねぇさんの名前は、レイルねぇさん

あんなレイルねぇさんだけど

困ってる時はなんだかんだ言って

助けてくれる…私にとって姉のような存在だ


そんな愉快な人達が住んでるここ

貧民街は,生きるのに必死な人達ばかり

盗み盗まれなんて当たり前の世界

ここは、毎日が戦の日々…

ほんとの実力者だけが上に立てる

だけど負けた場合は、あっさり負けを認める…

贅沢な生活がどんなものかなんて

私にはさっぱり分からないけど…

どんなに高価な宝石よりも私はこの居心地いい

貧民街が好きだ


「っ!追いついたよ!レイルねぇさん!

悪いけど、強引にでもブローチを返してもらうよ!」


「っ!速いっこれが16歳の動きぃ?…

あんたも、やるようになったわね翡翠……

でもっ私が狙った獲物を強引にでも取り返そうなんて…

ちょっと…早すぎたんじゃないかしら?っと!」


ーレイルは入り組んだ道を迷いなく颯爽と駆けていくー


「さすがレイルねぇさん…進めない道は、ないってわけね…

同じことやってもレイルねぇさん相手じゃ追いつかないっ…うふふ…でも…

私の恐ろしさは…レイルねぇさんが1番知ってるでしょッ!」


ー翡翠は高く飛び上がり、一瞬でレイルの位置を把握し人気がないことを確認し、建造物を

素手で破壊……強引に道を作り出すー


「見つけたよ!レイルねぇさん!」


「っ!?…翡翠…ほんとあんたは、…化けもんね…」


ーーーーー


「ブローチは返してもらったよっ!」


「お手上げよ!…負けた!負けた!

あんたの馬鹿力どうなってんのよ…ほんと……

しかもあんた、スピードも

私を超えそうな勢いじゃないのよ…

跳躍力もあってオマケにその怪力…

勝てっこないじゃないの…」


「いやーまだまだだよ…レイルねぇさんの

咄嗟な判断力とスピードに全然適わないよ…

同じことしても絶対に負けるってわかるくらいにはね…」


「ンア゙?何してんだ?」


「わぁ!いつの間に…ってケインじゃないの!」


「……ケイン」


「翡翠なんだそのつれねぇ顔はよぉ、俺はお前の旦那だぞ?…シンプルに精神的にきついんだが?」


「…旦那って…また勝手に…

まぁあからさまな態度をとったのは悪かったわ

だけど…とりあえず少し近いから離れてくれない?」


「…別に近くねぇだろ…夫婦なら普通の距離感だろ?…まぁ翡翠の頼みなら仕方ないか…」


「いつ夫婦になったのよ…」


「ちょっと…翡翠冷たくない?」


「私ケイン苦手なのよ…やりずらいし…

変なこと毎日言ってくるし…」


「それ本人の前で言うかよぉ…普通…」


「間違っては、ないでしょ?」


彼の名前は、ケイン…毎日私に付きまとってくる…いわゆるストーカー…

ってやつなのかな?

1回彼と戦って、私が勝利を収めた時から

ずっと…お前は俺の嫁だ状態が続いている…


「で、レイルと何やってんだ?」


「またレイルねぇさんが私のブローチを盗むもんだから取り返してたのよ」


「この子ったらまた強くなっちゃって……

お手上げよほんと」


「まぁ翡翠は俺の嫁だからな!当然だ!」


「ほんとケイン……あなたのそのマインド変わらないわねぇ」


ーと、何気ない会話をしていると突然翡翠に襲いかかる者が現れるー


「っ!…危なかった…私に不意を突くなんて何者?」


「相変わらず君たちは仲良しごっこがお好きなようですねぇ〜とっ自己紹介がまだでしたね

わたくしはドルニア…源 翡翠 …貴方を倒す者です……ってわたくしが喋ってる最中になーにやってるんですか!」


ーケインが翡翠に抱きついているー


「あーいや...てめぇの話が長ったらしいから

翡翠とのラブラブタイムを堪能しようかと」


「……ケイン…10秒以内に離れなさい…分かった?」


ー表情は変わらないもののものずごい怒りを示す翡翠ー


「あらあら…ケインまずいんじゃないのかしらぁ?」


「あっ…はい…すんません」


ーすぐに翡翠の元から離れるケインー


「って!なんですかこの状況!今わたくし貴方たちの敵として派手な登場してたじゃないですかぁ!

なんなんですか!貴方たちは!」


「いや……悪いんだけれど…なんなんですかは、

こっちのセリフなんだけど…で…あなた…

えっと…」


「ド・ル・ニ・ア!でございます!」


「で…ドルニアさん…私を倒す者〜でしたっけ?

でも…っふふ…レイルねぇさんに背後を取られているようじゃあ…難しいのでは無いですか?」


ーレイルがドルニアの背後を取るー


「っ!…い、いつの間に!?」


「うふふっ…あの子のこと随分と舐めているようだったからねぇ〜少しお姉さん…意地悪したくなっちゃった♡」


ー途端にレイルはドルニアに華麗な動きで打撃を与えるー


「がはっ……ぐふっぐふふふ…やりますねぇ」


「このくらいの攻撃を受けてるようじゃ…あの子には勝てないわよ?……さてっもう一発!」


ー途端にケインがレイルの攻撃を止め

真剣な眼差しでレイルに対し言葉を放つー


「待て……レイル…俺がやる」


「あらぁ?…これは……うふふっ♡

いいわよ!好きにしなさい」


「外野には興味無いんですよっ!」


「ちっうざってぇ〜…俺の嫁である翡翠のことを

舐めた挙句にぃ?……翡翠の不意を突いて

近づこうとしたてめぇはぁ〜…呼吸をするだけでも

万死に値する……くたばりやがれ!汚ぇ蛆虫か!」


「…いやだから嫁じゃないのよ…はぁ〜

ケイン…私のために怒ってくれるのは嬉しいけど

やり過ぎはダメよ?貴方が手を汚してるとこなんて

見たくないのよ?…仮にも…大切な友達だと…

私は思ってるからね?分かった?」


「っ!?」


「ど、どうしたのよ…ケイン…」


「翡翠が……俺にで、デレた…!」


「……おーい…攻撃するのかしないのかどっちなんですか?」


「黙れ!!」


「ぐはっ!」


ーケインのパンチによりドルニアが気絶するー


「あ、あらら…まさかの一撃で……」


「な、なぁ…翡翠……」


「な、何よ…急に改まって…」


「誓のキスを交わしていいkっぐふぁっ」


ーそう言いかけた瞬間に翡翠のパンチが繰り出されるー


「…はぁ…なんでケイン…あんたはそう…

すぐに話が飛躍するのよ……」


「で……翡翠?どうするのかしら?この…

気絶した彼は…」


「うーん…とりあえず金目になりそうなものは

ある程度取っておこうかな…最近生活も厳しいし」


ー数分後ー


「凄い……こんなに贅沢品があるなんて

しばらく困らなそう〜!」


「良かったなぁ翡翠」


「えぇ!」


「そういえば!2人とも!これからどうするの?」


「私は、少しひとりで行きたい場所があって…

色々落ち着いたし…これからそこに行こうかなって思ってるわ」


「…俺はちょっくら野暮用があるからそっちに行くとこだ」


「あら!ケイン!あなたのことだから

翡翠について行くんだーとか言いそうなものなのにねぇ〜」


「流石に翡翠がひとりで行きたいってんなら

邪魔は出来ねぇよ……まぁそうゆう気遣いも

旦那の役目だからな!」


「だからいつケインが私の旦那に……」


「そっかぁみんなここでお別れなのねぇ〜

少しお宝がありそうな場所見つけたから

そっちにみんなで行きたかったけど

この場合は仕方ないわね!ひとりで行くわ!」


「じゃっここいらで解散って感じか?」


「そうね!またねレイルねぇさん!ケイン」


「あっ待って!別れる前に翡翠!あなたに言いたいことがあったのよ!」


「どうしたの?レイルねぇさん」


「悩んでる事があったらいつでもあたしに言いなさいよ?…あたしはあなたの家族でもないけど…

大切な妹を失った私にとって、あなたは…妹のような存在だと思っているわ…盗んだり盗まれたり争ったり…貧民街の人はみんな不器用でそんなやり方しか

出来ないけど……私があなたのブローチを狙い続けるのは

家族がおじいさん1人だけのあなたに

少しでも人の温もりを感じて欲しいからなの……

あなたにとってそれがいい影響になってるか分からないけど…私はあなたを大切な家族の一人だと思っているわ……いきなりごめんね…あなたが悩んでる風に見えたから伝えたかったのよ!」


「……ありがとう…レイルねぇさん…

私もレイルねぇさんの事、姉のような存在だと

思ってるわ……ありがとう」


「……レイル…その場合翡翠の旦那の俺にとってもお姉さんのような存在になるって訳か」


「あなたはブレないわね……ほんと…

まぁ!それを伝えたかっただけよ!

引き止めて悪かったわね!また会いましょう!」


「うん!…また!」


「あぁ!またな!」


ーそう別れを告げると翡翠は街が綺麗に見渡せる崖へと向かったー


「……妹のような存在…か…嬉しいなぁ

こんな日々がずっと…ずっと…続くといいな…」



ー翡翠はそういうと 詩(うた) を歌い出すー




赤く 光る その 眼 には 〜


全て を 映し 出すのでしょう ?



緑に 光る その 眼 には 〜


不幸 を その身に 宿すでしょう ?



黄色く 光る その 眼 には 〜


奇跡 が その身に 宿るでしょう ?



青く 光る その 眼 には 〜


知識 が その身に 宿る でしょう ?



神 が 降り立つ その 日 には


全て が ひとつ に なるのでしょう……





「……やっぱりこの詩を歌うと…どこか落ち着く…」



「よし!そろそろ家に帰ろうかな…

ん?どこか街が騒がしいような…これは…

急いだ方が良さそうね…!」



ー数分前ー


「さてと!ふたりとも行ったわね…

今日はなんか辛気臭いことしちゃったかしらね?

でも…姉のような存在…ね…うふっ!あの子も

言うようになったわねぇ〜


よし!それはさておき!昨日あれだけ探して見つけたいかにもな場所を…探索しようかしらね〜!」


ーそんなことを言っているとレイルの目になにかが映るー


「…ん?何かしらあれ…空になにかが飛んでる?」


ー途端にそのなにかから人らしきものが降りてくるー


「えっ!人!?……」


「ここがあの方の言っていた貧民街か……

こんなところにこんな場所があるとはな…

まぁいい!任務を遂行するぞ!」


「はっ!」


「ちょっと〜?…なーんかあいつら

武器っぽいの持ってないかしら〜?

これはまずいわね…みんなに知らせなきゃ!!」


「人を発見しました!隊長!」


「でかした!゛あれ ゛をうちこめ!!」


「はっ!」


ーすると液体の入ったナイフのようなものを

無差別に刺していくー


「……っ!まずいわね…あいつら戦い慣れてるわ…

でもっ!あたしのスピードなら避けられる!

早く皆に知らせないと!」


「ちっひとり厄介なのがいますね」


「仕方ない……あれを使え」


「はっ!」


ーするといきなり謎の集団は液体が入った銃を取り出すー


「撃て!」


「はっ!」


ー液体の入った銃は、レイルに直撃したー


「がはっ!……な、によ……あれ……」


「さて…そろそろ我々が危ないな…

このぐらいで撤収するぞ!」


「はっ!」


ー謎の集団は空を飛ぶ何かに戻りその場から去るー


「……な、によ……これ……死ぬほどの攻撃じゃないのに……意識が…遠…く……」


ー数年前ー 〜 とあるメモリー 〜


「お母様!少し妹と出かけても宜しくて?」


「あら!レイル…外は危ないからやめておきなさい!」


「大丈夫よ!お母様!私だって…っよっと!ほら!

色々武道も身につけましたし、なにかありましても

妹一人くらいは守れますわ!」


「あら…そう?……あまり遠くには行かないのよ?」


「分かってますわ!少しお買い物をするだけですわ!」


ー城外ー


「ねぇ…レイルお姉様……ほんとに大丈夫かな?

お買い物したいって言ったのは私だけど…

お母様が外は危ないって言ってたよ?」


「大丈夫よ!……これは内緒なんだけどね!

私城から抜け出して外に出たことがあるのよ!」


「えっそうなの?レイルお姉様すごい!」


「うふっ!ありがとう!……さてこの辺りのお店に行きたかったのでしたっけ?」


「うん!……えーとね…あっ!あった!これ!」


「これは…ブローチ?」


「うん!……お母様にプレゼントしたくて」


「まぁ!素敵じゃないの!せっかくならハッと驚くようなブローチにしましょう!」


「うん!そうしましょう!」


「……にしてもさっきから周りが騒がしいですわね」


「そうですね…」


ーそれは突然の出来事だったー


「ちっ邪魔だ!ガキ!贅沢な服着やがって!」


ーナイフを持った男がレイルの妹の体に

ナイフを突き刺したのだー


「……お……おねぇ……さ…ま」


「……っ!?……アリス?……アリス!!

……あなた……き、…貴様ァ!!!」


ー男はレイルに殴り込むー


「がはっ」


「ちっ邪魔な奴らばっかだ……いや待てよ……

この女…いい身体つきだなぁ…売り飛ばせば

いい金になるぞ……」


───



「……こ…れは……走馬灯ってやつかしら…

あは…は…笑えないわね……っあがっ…ヴゥ

…どんどん意識が…無くな…って……ヴゥ

あがぁぁぁ…あ"あ"ぁぁ」



ーその頃翡翠はー


「何よこれ……みんなが…怪物になって……

そんな…一体どうゆうことよ!!」



▹ 次回 第二話「銃声」

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