第19話 アリーナが王城で拐われた!?

は?帝国に皇帝が長期不在だったのか?そんなんで帝国は大丈夫なのか?俺は、お飾りな皇帝って事か……


 

「た、大変です!お連れの方が兵士の手違いで王城から追い出されたとの事です」


「はぁ?ふざけるな!!俺の大切な仲間を追い出しただと?何かあったら王国ごと消し飛ばすからな……」


 

門兵や兵士に止められるが無視をして、勝手に退出して王城から出てアリーナを探しに出た。


王の間では王が青褪めた表情をして、兵士を総動員して探し出すように命令を出した。

 

王都の町を探している途中で、後ろから追ってきていた兵士が声を上げ指を指した。


 

「あの兵士長が、お連れの方を連れ出しているのを見ました!」


 

指差す方を向くと人相が悪く、金貨と銀貨をジャラジャラさせてニコニコで機嫌よく歩いていた奴を発見した。・・・あの金はアリーナを売った金のか?即、殺してしまおうかという感情が湧き起こるが抑えた。

 

その兵士長に掴みかかり近くにあったレストランの木のテーブルに刺突武器を出して金貨ごと手の甲を上にして突き刺した。


 

「この金は、どうしたんだ?娘を売った金か?」


「ウギャー!!貴様!俺を誰だと思っているんだ!ただじゃ済まさないいぞ!痛ぇ・・・クソッ!!痛ぇーーー!!」


「早く言え!答えなければ、もう片方の手も刺して欲しいのか?」


 

刺突武器を出して、もう片方の手をテーブルに置き構えるとブルブルと震えて話しだした。


 

「平民が王城へ侵入して、高級な菓子を食べているのを見つけたので捕まえて奴隷商に売り払った金だ!もう勘弁してくれ!」


「で、どこに売り払ったんだ?」


「酒場の地下にある奴隷商の所だ!」


 

後ろに待機をしていた兵士の方を見ると頷いたので場所を知っているのだろう……じゃあコイツにはもう用はないな。

 

考えているヒマはないな……えっと……殺すのは簡単だが俺の大切な人を売り払った代償は死では釣り合わないな。

 

異次元牢獄で捕獲しておくか……まさか役に立たないと思っていた魔法が役に立つとはな……


 

戦闘では戦闘回避で使えるけど倒した事にはならないのでアイテムや経験値、ドロップはしないので役に立たない魔法だった。


設定では、異次元空間に捕らえられて永遠と思える無の空間に光も重力もなく自害も出来ず飢餓感だけが存在する空間で5分もすれば気がおかしくなるらしい。

 

簡単に言えば悪事を働いた者を捕らえ罪を償わせる拷問する牢獄と、魔物にも使用が出来て一時捕獲して時間のある時に討伐出来る魔法って感じか、それに拘束時間の制限、拘束人数の制限は無く出し入れも自由にできた。


 

異次元牢獄の魔法を放つと、兵士長の目の前の空間に黒い球体が現れ兵士長が吸い込まれていき黒い球体が小さくなり消えた。


 

「へ、兵士長殿は、どうされたのですか?」


「捕らえただけだ、気にするな」


「そ、そうですか……」


「奴隷商の所まで案内を頼む」


「はい。ですが、武装をしている危険な奴らが大勢居る場所ですが……?」


「構わないから早く案内を頼む。案内が終わったら王へ報告を頼む」


「は、はい」


 

兵士の案内で酒場へ乗り込むと、兵士は王への連絡に向かわせた。地下階段へ降りる扉の前に見張りが4、5人居たので当然、異次元牢獄で捕らえた。捕獲するには、かなり優秀な魔法だったのか。


捕獲するイベントやクエストは無かったしな……大体が討伐か殲滅だったし。


 

階段を降りていくと鉄製の厳重なドアがあり、鍵を探す時間も勿体ないので蹴り破り部屋に入ると、奴隷商というか、こいつら完全に盗賊だろ?武装してるし人相悪いし。

 

捕まったり、売られた奴隷にバリアと結界を張り多重魔法で異次元牢獄を盗賊、奴隷商に放ち一瞬で片付いた。


 

「お~い。アリーナいるか~?」


「はぁ~い!……ここだよ!……ううぅ……こわかったよぉ……ぐすんっ」


 

声のする方向へ歩いていくと、手足を縛られた状態のアリーナが涙を流して座っていた。


 

「大丈夫か?何かされなかったか?」


「大丈夫ぅ……恐かっただけだよ……ううぅ……」


「ケガは無いか?」


「うん。大丈夫……」


 

縛ってあったロープを切って拘束を解くと抱きしめられた。


 

「もう離れないからね!置いてかないで……こわかったよぉ……ユウヤ……ぐすんっ……」


「勿論、もう置いてかないって」


「う、うん……約束ね、約束だからねっ!」


「ああ。勿論」


 

王国軍が武装をして大勢乗り込んできた。


 

「我々は王国軍だ!大人しくしろー!抵抗すれば命の保証はせんぞ!」


 

と騒がしく入ってきたが、部屋の中は静まり返っていて王国軍の兵士は呆然としていた。


 

「あ、あの……国王様から出動命令で奴隷商を捕らえよと言われて来たのですが……奴隷商は?」


「あ、もう魔法で捕らえたぞ」


「……そうですか……ご協力感謝する。では、引き上げるか、撤収するぞ!」


 

引き上げようとしていたので慌てて声を掛けた。


 

「おい。お前らは、捕らえられた人達を助けないのか?」


「それは俺達の役目では無い。受けた命令は奴隷商、盗賊の捕縛だけだ」


「では、命令の変更をする直ちに、ここに捕らえられている人の救出を命じる」


「は?そこらの冒険者が偉そうに……その様な命令は国王様だけが出来る。お前はバカか?盗賊を討伐したくらいで良い気になるな!盗賊を倒せたくらいで偉くなったつもりでいるのか?」


 

イラッとしたけど……そりゃ当然だ。さっき皇帝陛下と言われて調子に乗ってしまった。こいつらは何も知らないし当然の反応だよな……

 

 

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