第14話 討伐の報酬にアリーナの家。

あ、少しやり過ぎたっぽいな。レベル5程度の働きで良かったんだよな……かなり、不審者扱いされてるし。


 

「念の為に冒険者証を見せてもらっても良いか?」


 

冒険者証を見せると更に、ざわついて冒険者証と俺を受付嬢たちが興奮した表情で見てきた。


 

「あ、あの……プレートも見せてもらっても良いですかぁ……?」


「あぁ……別に良いけど。ほら……問題あるのか?」


 

プレートを見せた。


 

「うわぁ〜っ。本物ですよ!きゃぁ♪」



アリーナが隣で、俺が「キャーキャー」と言われてニヤけてるのが気に入らないらしくジト目で頬を膨らませて見てくる。


「ああ。それは本物で間違いない。という事は虚偽では無く実力だな。報酬を支払って差し上げろ」


 

ん?態度が一転して敬語になってるし。受付嬢からは微笑みかけられてるし……こんなオッサンに微笑みかけられても不気味なだけだろ……。オッサン止めてくれ。


 

「はい。これが報酬になります……お確かめ下さい」


 

受付嬢から革袋に入った報酬を受け取ると金貨5枚に銀貨58枚の報酬だった。スゴイじゃん!140万近いじゃん。


 

「少し聞きたいんだけど良いかな?依頼とは関係ないんだけど……良いかな?」


「は、はい……なんでしょう?お役に立てれば良いのですが……」


「異次元収納って、この町で取り扱ってる?」


「あ、はい。確か……雑貨屋で少し取り扱ってるはずですよ」


「そうか。助かった」


「また依頼をお願いしますねッ♪」


 

受付嬢が目をキラキラさせて、頬を赤くして見つめられると。……隣に居たアリーナがムッとした表情で俺を睨んできた。俺は……何もしてないし……悪くないぞ?因みにアリーナが欲しがっていた異次元収納を買う為の情報収集をしてたんだぞ?


 

「分かった」


 

ギルドを出るとムッとしたアリーナが文句を言ってきた。


 

「ねぇ……スゴク幸せそうだね?モテモテじゃん……お姉さんに話し掛けちゃってさぁ〜・・・お姉さんとお話が出来て、そんなに嬉しかった?……ふんっ」


「俺が何の話をしてたか聞いて無かったのか?」


「ふんっ!そんな話は聞きたくないしっ」


「へぇ……アリーナが欲しがってた異次元収納を売ってるお店を聞いてたんだけど?要らないんだ?あっそ……このまま家に帰るか?」


「へ?あ、ごめんなさい……いるっ!要ります……欲しいですっ!」


 

ルンルンなアリーナを連れて雑貨屋に入り、異次元収納を購入して報酬もその中に入れて渡した。


 

「え?何これ?」


「欲しがってた異次元収納だろ?」


「え?ホントに買ってくれたの?わぁ~い♪」


「これで買い物も討伐に行くのも楽になるだろ」


「うんうん……♪ 凄い!軽いし可愛い……ありがと……ちゅっ♡」


 

薄い水色の肩に掛けるタイプのバッグで異次元収納には見えないので狙われる事は少ないんじゃない?可愛いバッグで良いと思うんだが、難点は肩に掛けて腰の辺りにバッグがくるので戦闘中は邪魔になる。まぁアリーナに戦闘をさせるつもりは無いし問題はないだろ。うん。だけど双剣使いなんだよな……普通だったら戦闘時に、めっちゃ邪魔になるだろうな。


 

「報酬も中に入ってるから無くすなよ」


「え?あ、は、はい……大金だよねぇ……」


「まあ……ギルドの職員の5ヶ月分以上の報酬だな。銀貨1枚で暮らせれば558日分遊んで暮らせるぞ」


「わたしは普段は銅貨50枚で山菜とかウサギとか鳥が獲れたらって生活だって言ったよねぇ……殆どが銅貨50枚でパンを買って食事は朝と夜に山菜のスープとパンだよ?」


「ほぉ~だったら37ヶ月は遊んで暮らせるな……」


「えぇ……全部貯めておくし銅貨50枚の生活は嫌だよ!ちゃんと働くもんっ!」


「調子に乗って勝手に討伐系の依頼を受けるなよ?」


 

ギクッ!とした表情になって気まずそうに聞いてきた。


 

「……え?ダメ?」


「おいおい……今回はアリーナは何も討伐してないんだぞ?勝手に依頼を受けて一人でゴブリンを討伐をしに行ったら絶対に死ぬぞ?ヤバいと思って逃げられると思うなよ?その時はゴブリンは群れで行動する事が多いから囲まれてると思った方が良いぞ」


「あはは……だよね~絶対行かないよ……」


 

今回の討伐を思い出して苦笑いをしていた。マジで一人で討伐に行く気だったのか?危なすぎだろ!


 

町で野菜を購入して、肉は俺が出すとして……夕食はアリーナに任せてみよっと。


 

「夕食は任せたぞ!」


「あ、え?わ、わたし〜?夕食はユウヤの担当じゃ……?」


「そんな担当は決めた覚えは無いけど?アリーナの家だしさ」


「えぇ~……家に帰りたくなくなってきたよぉ……」


「そんなに心配しなくてもアリーナの料理は美味しかったぞ?」


「ううぅ……分かったぁ……がんばるっ!」


 

そんな話をして歩いているとアリーナの家に着いた。


おおぉ。何と言うか想像してたより……木造住宅というかなんというか……廃墟って感じの一歩手前って感じじゃ……でも、まぁそこそこ手入れはしてあるけどさ。窓ガラスは割れてない、外壁も崩れてない、隙間風の心配も無さそうだけど、見た目がボロい。とはいってもアリーナの大切な家だし……


 

「はぁ~やっと……我が家に帰ってこれた~うん。落ち着くね~」


「……あ、うん。我が家は落ち着くだろうな」


「遠慮せずに入って、入って~♪」


 

前に聞いた通り、リビング、キッチン、寝室だったので迷子にならずに済むし、しかもアリーナを探さずに済むし……大声で呼ばなくても良いしな、これはこれで良いのかもな……


 

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