第8話 ゲームの世界で寝てみたが……

「特に戦闘だけは無理はしないでくれな。体もきれいになったし寒くなってきたからテントに入るぞ~」


「はぁ~い♪」


 

さて……寝る準備をするか。


アリーナがバッグから毛布を1枚取り出すと、前に言ってた通りに毛布にクルクルと包まった。


 

「そんなので寝れるのか?」


「うん。寒くないし安心するよ?ユウヤも一緒にやってみればぁ〜?」


 

恥ずかしいし……いざという時に動けないぞ。


 

「いや……止めておくよ……襲われたら動けないし」


「あ!そっか……」


 

納得した表情をしたけど動く気配はなかった。


俺は、どうするかな……寝袋か……毛布か……寝袋を試してみるか。

 

寝袋を出してみるとアイテム消費をされずに寝袋が出てきた。


よし。体力回復アイテムではなくて寝袋として使えるな。助かるな、これで安心して寝られる。


 

「あぁ〜なにそれ!?ユウヤのカッコよくてズルい〜!」


「町で売ってただろ?」


「ううぅ……そんなの中古で見たこと無いしっ!」


「まあ……人の使った寝袋は買いたくないしな……買うの抵抗があってイヤじゃないか?」


「ユウヤの使ったのだったら買う!欲しい!」


「アリーナのもあるから使うか?」


「え?用意してくれてたの?」


「まあ……な。毛布に包まって寝るって言ってたから出さなかったけど用意はしてあったぞ」


「なんだ~!嬉しいっ♪」


 

寝袋から出てアリーナの薄い水色でピンク色のハート柄の可愛い寝袋を出して渡した。うわ。金髪と良く合うね~


 

「うわぁ♡可愛い!!ありがと。ユウヤ大好きっ!」


 

俺の隣で俺のマネをして寝袋に入って俺の隣で横になった。こんなに広いのにわざわざ隣で寝る事はないだろ。


アリーナが隣でニコニコの笑顔で俺を見つめて寝ていて目が合って気不味いんだけど。


 

「こういう遠征?みたいな泊まり掛けで依頼を良く受けてたのか?」


「ううん。今回が初めてだよ」


「そっか……他のヤツとも一緒のテンドで寝てたのかと思った」


「うわっ。ヒドイそんな事しないってばっ!」



アリーナが慌てて必死に否定をしてきたが、このテント買ったって事は2人以上で寝る事を想定してるよな?



「おいおい・・・その為に大きなテントを買ったんじゃないのか?」


「ううぅ……うん。ホントはね……女の子のパーティを作ろうと思って探してたの!そしたらユウヤが声を掛けてくれて……焦ったよ、あの時は〜。ヒドイ事いったかも……忙しいの邪魔しないでって……行ったと思う。女の子を探してたしさぁ〜」


「あぁ〜なるほどね……」



そう言えば会った時にムスッとして素っ気ないと言うか邪魔者扱いをされてたな。声を掛けないでよってオーラが出てたな。



「それで変な人だったら……途中で帰ろうかと……」


「え?俺……置いてかれるところだったのか?」


「ユウヤは置いてかないって!逆に……置いてかないでね!?」


 

アリーナがクネクネと動いて更に近寄ってきて寝袋が触れるほど近付いてきて目を閉じて、しばらくすると寝息が聞こえてきた。

 

一応は警戒はしてたみたいで安心した。知らない男と一緒のテントで寝るとか……警戒心無さ過ぎだって!しかも二人旅だし、変な人だったら逃げるって……どうやって逃げるんだよ?捕まって終わりだろ。


 

そんな事を考えてアリーナの心配をしていたら寝てしまった……


 

 

翌朝……


 

「ふわぁ~……」


 

朝か……あ……テントの中だ……リアルで俺の目は、まだ覚めてないのか……これって夢じゃないのか?マジでゲームの世界に入り込んだのか?ゲームの中に転生?俺もモブキャラになったのか?

 

可愛い女の子と旅が出来て幸せだし……まぁ良いか。


可愛い顔でスヤスヤと寝ている顔を見て癒やされてると……アリーナの目がゆっくりと開いて目が合った。


 

「きゃっ!わっ。え?あぁ……わたしの寝顔を見た?ねぇ?見てたの!?」


「あ……うん。可愛い顔で寝てたな」


「うわぁ。見ちゃダメだよ。マナー違反だよぉ!」


 

は?自分から隣に寝てきておいて、そんな事を言うのか?


 

「へぇ……じゃあ俺は、今日から外で寝るわ〜」


「え?あ……わぁ……ダメっ!……ち、違うの!恥ずかしくて……今日も一緒に寝てよっ!リーダー命令だよっ!」


「まぁ〜リーダーの命令なら聞くしかないかぁ」


「うん!聞くしかないよ!」


 

アリーナが、にいっ♡と笑った。


 

「……恥ずかしかったのっ。初めての旅だし……他の人と寝たのも初めてで……起きたら……ユウヤの顔が目の前にあって……見つめてるんだもんっ」


「あぁ〜悪い。無神経だったかもな……可愛い顔で寝てたから見て癒やされてた」


「ううぅ……ばかぁ〜ばかぁ……っ!」


 

頬を赤くして恥ずかしがりながらゴロゴロと転がり離れていった。


さて……俺は朝食の用意をするか……。テントを出ると慌ててテントを閉めた。

 

うわっ。ゴロゴロと魔物が結界の周りに集まってるじゃん。パッと見50体はいるんじゃないの?ザコ敵だけどさ。キモっ。

 

えっと……静かに始末するなら……水?風?土?……光?闇?無?闇属性って何か……あったっけ……?あ、闇と火でヘルフレイム?だっけか……



多重魔法ヘルフレイム!


 

結界の外のテントの上空に黒炎の火球が現れ魔物に放たれ魔物達が黒炎に包まれて消えた。この辺りの魔物は討伐済みになったし結界を解いておくか……


さて、朝食を食べて、さっさと出発するか~

 

朝食の準備が出来たのでアリーナを呼ぶのにテントを開けるとアリーナが着替えをしていた。


 

「きゃぁ!ば、ばかぁ~!早く閉めてよっ!」


 

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