昔ハマっていたゲーム世界の悪役貴族に転生したので、前世からの夢を叶えたいと思います。
るのん
第1話 転生
「memory of heroes」
それは、俺も昔ハマっていた神ゲーの名前だ。その世界には、クズな貴族共が存在する。何でも自分の好き勝手にできると錯覚し、調子に乗って、破滅する。そんなやつらの中でも特に、どんなルートを選んでも確実に死亡するクズ中のクズな貴族がいる。そいつの名は、ランド・レイヤー。魔物を自由に召喚できる最強スキル__そのままだが__「召喚」をもった貴族で、主人公やメインヒロインたちに対してに近づいて才能が無いだの雑魚だの煽り散らかして最終的にはゲーム中盤で怒ったメインヒロインの誰かに殺されるというただの調子に乗った雑魚だった。なぜそんな才能があるだけの雑魚の説明をするかというと、今俺が__そう。そのランド・レイヤーに転生してしまったのだ。14歳の。1年前ほどからクズになったころだ。既にクズだが、15歳になってからいろいろありさらにクズが加速してしまう。だが、俺には今までのランドの記憶だけではなく、原作をやりこんでいた日本人の
転生してから約一週間が経った。想像通りだが、レイヤー家の人__特に弟__はかなり荒れていた。屋敷を歩いていると、俺の弟、ブレイドが専属の美人メイドを連れて歩いてきた。いや、メイドさんの服乱れているし。こいつ、絶対なんか駄目なことしただろ。メイドさんの表情暗いしさ。
「おい、ランドの雑魚。お前、俺様はもうスキルの上級まで使えるようになったんだぜ。お前みてぇな初級すらできねぇやつとは違ってな!!」
いつも通り弟が煽ってくる。ランド君がスキルの初級を使えないというのはあっているが...それを除いても頭おかしいだろ。
「おいおい、無視かよ!雑魚はメンタルまで雑魚なんだなぁ!」
こちら側を見るメイドさんの目が呆れている...いや、俺は悪くないだろ。
なぜこの生意気な弟が最強スキルを持つ俺を煽ってくるか。それは、弟のスキルが俺より強いわけでも何でもない。ランド君がまだ、「召喚」というスキルを
使 っ た こ と が 無 か っ た の だ 。
え?と思うかもしれないが、これは公式設定だ。
「召喚」は倒したことのある魔物しか召喚できない。つまりは、__まあ当たり前だとは思うが__森に行かなくても剣術や魔法の特訓はできるから、幼い息子をわざわざ魔物が多く、死んでしまうリスクがある森に行かせる馬鹿な貴族はいない。そして、基本的には魔物は森以外にはいない。そういうことだ。そして、基本的な子供を森に行かせる基準は、15歳ほどだと言われている。スキルをまだ使えたことがない14歳の途中でクズになったのは、おそらく周りがクズ過ぎて耐えられなかったんだろう。ストレスが溜まったり、それが普通と思い込んでしまったり。そして、ランド君が森に行ったら、「召喚」のスキルがあるので、さらに調子に乗り始める。これがクズ化の一連の流れだ。周りに良い人がいればクズにはならなかったと思うので少しかわいそうである。
一方の弟がなぜ調子に乗っているのかは...どうせスキルがちょっと使えるので調子に乗っているだけだろう。それにしては調子に乗りすぎでは?と思ってしまう。そんな弟のスキルはどうやら「炎舞」らしい。本人が自慢げに言っていた。まあそこそこ強いとは思うが...「召喚」には敵わない。その弟が、毎回同じような煽り方をしてくるのだ。飽きないんだろうか。俺だって反発したいところなんだが、(ランドの記憶では結構反発していた。)今日は親父に呼ばれている途中だ。恐らくランドの15歳の誕生日だからだと思う。もしかしたら森に行けるかもしれないというのに、こんな弟のせいで行けないなんて最悪だからな。
何とか弟を振り切って、親父の部屋に着いた。
「ランド。遅れたみたいだな。」
「すみませんでした。それより今日は、何の用で?」
「ほう。話が早くて助かるな。気づいているかもしれないが、今日はお前の誕生日だ。」
「祝ってくれるんですかね?」
「ほう。面白い。そんなことはしないがな。お前へのプレゼントは自由に森に入る許可だけだ。お前には冒険者をつけたりはしないぞ。」
この親父は俺のスキルの真価を分かってないらしい。まあ、原作してないと分かりづらいかもな、レアスキルだし。あと死んでも構わんみたいな話し方だ。 恐らく親父は俺を次期領主にすることは1ミリも考えていないようだ。最近の俺ならまだ弟のほうがクズだぞ?
「ありがとうございます。」
「分かったな。部屋から出ていけ。」
うん、知ってた。ランドの記憶によると、俺は親父からは嫌われているらしいし。俺からしたら早く行きたくてうずうずしているんだけれど。
よし。森へ行って力をつけよう。とりあえず、力をつけないと何も出来ない。生き残ることさえ。
さらに__
「前世からの夢を叶える、チャンスなんだ」
俺はそう思って剣を手に取った。
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どうも、底辺作者の、るのんです。
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