第7話:陸のこと。
「あの・・・真由美さん、陸は・・・・」
「朝早くから河に釣りに行ったわよ」
「え? ひとりでですか」
「友達とふたりでね・・・ルフィアがいるから、今日は家にいるって言ってた
んだけど・・・」
「どうしてもって友達に誘われてね・・・」
「兄弟みたいに仲のいい友達がいるのよ」
「さ、朝食、食べなさい」
キッチンテーブルにはコーヒーと、そしてトースト二枚とフライドエッグが
白いお皿の上に乗っていた。
「陸、今でも釣り好きなんですね」
「こんな山の中だからね、学校がお休みの時は遊びって言っても釣りか
ゲームくらいしかないのよ」
「こんな傾斜の多い場所じゃサッカーもできないしね」
「そう言えば、バイクが好きでプラモデルとか組み立ててるわね」
「バイクって分かる?、こんな話しても分かんないかな」
「私、分かります・・・陸の部屋にオートバイの模型が飾ってあったから、
陸、オートバイが好きなんだって思いましたから・・・」
「私、ここへ来る前に学校で魔法以外に地球のことや地球の言葉も
勉強して来たから真由美さんの言ってること、だいたい分かります」
「そう、よかった・・・私、バイクのことは興味ないからあまり詳しくないのよ」
「陸、学校卒業した らバイク欲しいみたいよ」
(私も将来陸のバイクの後ろに乗れたらいいな・・・)
「あの、それから陸の机の上、ちょっと見ちゃったんですけど・・・あの
写真立ての陸と一緒に写ってる女の子って?・・・」
「あ〜机の上の写真ね・・・あれはたしか友達何人かでキャンプに行った
時に撮った写真だと思うけど・・・とくに意味はないと思うけどね・・・」
「そうなんですか・・・」
ルフィアは、女性とツーショットで写ってる陸の写真を見て、もしかして
陸に彼女がいるんじゃないかと不安になった。
「心配しなくても、今、陸にお付き合いしてるような女の子はいないよ・・・」
真由美さんにそう言われて、ホッとするルフィアだった。
「そうなんですね・・・ちょっと気になったから・・・」
「それより、ここから陸が通ってる学校や街まで、ずいぶん距離ありそう
ですね・・・」
「そうね・・・まず徒歩じゃ降りられないわね」
「でも、あなたは関係ないでしょ、空飛べるんだから・・・」
「そうですね・・・一度は街にも降りてみたいです」
「じゃ〜陸は学校へは?」
「自転車で通ってるの」
「陸には可哀想だけど、バイク通学は学校で禁止されてるからね、
でも陸はイヤとも言わずに毎日がんばって自転車で通ってるわよ」
「あの、裏に、車の横にあった自転車?」
「そ、マウンテンバイクが置いてあったでしょ」
「大変だけど、でも学校までは舗装はされてるからね」
「考えたらすごいわよね、日本ってどこの田舎に行ってもちゃんと舗装して
あるでしょ・・・」
「あ・・・ごめん、そんなことどうでもよかったわね」
「街や学校へは、下りだから行きは楽なんだけど、帰りはしんどいのよ」
「ずっと上り坂だからね」
「問題はお天気の悪い日ね」
「あと風が強い日の向かい風とか・・・」
ルフィアは何も聞いてないのに真由美さんはひとりでしゃべっていた。
私なら陸の役に立てるのにってルフィアは思った。
「私、街へも降りてみたいですけど、陸の通う学校に行ってみたいです」
「じゃ〜行く時言って?、学校の場所教えてあげるから・・・」
「はい、お願いします」
朝食を食べたルフィアは陸が行った釣りの場所に行ってみようと思った。
つづく。
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