第3話:子供の頃の記憶。
見ると、そこにはサンタみたい赤い服を着た女の子が立っていた。
「あの・・・こんにちは・・・」
女性はしばらくルフィアを見ていたが、すぐにその女の子が誰なのか分かった
ようだった。
「ルフィア?・・・もしかして、あなたルフィアなの?」
「本当にルフィアなのね」
「私、このお屋敷覚えてます・・・」
「そう・・・まあ、大きくなって・・・お母さんの面影があったからすぐ
分かったわ」
「遠いところからよく来たわね」
その女性は懐かしい人に会ったように顔から靴先まで見てまた顔に戻った。
「さ、中に入って・・・そのまま土足でいいわよ」
「お邪魔します」
「お母さんは?、お元気?」
「はい、元気です」
「そう、お母さんがいた頃が懐かしいわ・・・あなたも小さかったしね」
女性は二階に向かって大きな声で誰かを呼んだ。
「り〜く〜、 降りてらっしゃい・・・お客さんよ」
そう言った。
しばらくすると二階からルフィアと同じくらいの年頃の男の子が降りてきた。
「なんだよ・・・」
その男の子は、ちらっとルフィアを見たがなんの反応もなかった。
すると女性が、
「ルフィアよ、覚えてない?」
男の子はしばらく考えていたが・・・そこに立っていた女の子を見て不思議そうに
首をかしげた。
「覚えてないっつうか・・・いきなり言われても分からないよ・・・」
その男の子こそルフィアが幼い頃、将来を誓い合っ た本人その人だった。
名前は
少し痩せ気味ですらっとしていて女の子にモテそうなの男の子だった。
身長は175センチ。
街にある学校に自転車で通ってる現役高校生。
お母さんは、たしかに彼のことを、りく「陸」って呼んだ・・・。
間違いないってルフィアは思った。
ちょっとイケメンなその男の子には幼い頃の面影があった。
成長した陸を見てルフィアはときめいた反面、逆にその男の子のそっけない
態度に不安を覚えた。
自分が思い描いた出会いとは、少し違っていた。
さっきまで、将来を誓いあった人と会えると期待と嬉しさでドキドキして
いたのに・・・気持ちが冷めそうなルフィアだった。
陸はルフィアのことをすっかり忘れていたからだ。
つづく。
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