第27話 明かされる真実


「白狐家の長女、如月キナだ」


私の言葉に、辺りが静まり返った。


「まさか……」


刻塚が震える声で呟く。


「如月!」


闘護部長ーーいや、闘護瑠生が駆け寄ってくる。


「全て、思い出したの?」


「ええ」


私は頷く。そして刻塚に向き直る。


「刻塚。なぜ黒狐家は私を狙うの?」


「貴様が生きていたとは……」


刻塚は歯を食いしばる。


「答えろ」


私の声に、刻塚は肩を震わせた。


「白狐家の長女である貴様が、黒狐家の血を引いているからだ」


「なに?」


驚いて声を上げたのは瑠生だった。


「どういうことだ」


「キナ様の母上は、元々は黒狐家の者だった。白狐家に嫁いだ後も、黒狐家の血脈は途絶えていない」


「そんな……」


私は自分の手を見つめる。

確かに、私の中には普通の白狐家の者とは違う力が眠っていた。


「だからこそ、貴様を我が家のものとして連れ帰りたかったのだ」


「連れ帰る?」


「そうだ。貴様の力があれば、我が家は白狐家を凌駕できる」


「私を利用しようというの?」


「利用などと言わないでいただきたい。貴様の本来の居場所に戻すだけだ」


「ふざけるな!」


瑠生が刻塚に向かって叫ぶ。


「如月は白狐家の者だ。黒狐家の陰謀に巻き込むな」


「陰謀? 我々は正当な後継者を迎えに来ただけだ」


刻塚の言葉に、私は首を横に振る。


「私の居場所はここよ。白狐家と、そして……」


私は瑠生を見る。


「瑠生の側だわ」


その言葉に、瑠生は驚いたように私を見つめた。


「如月……」


「もう、隠す必要はないでしょう? 私たちの関係」


瑠生は一瞬たじろいだが、すぐに表情を引き締めた。


「ああ、そうだな」


瑠生が私の隣に立つ。


「刻塚、聞いておけ。如月は白狐家が守る。そして、私個人としても彼女を守る」


「貴様ら……」


刻塚の顔が怒りに歪む。


「覚悟はいいな」


刻塚が刀を抜く。

その瞬間、黒装束の者たちが一斉に襲いかかってきた。


「如月、背中を任せる!」


「ええ!」


私たちは背中合わせで立つ。


周りを囲む黒装束の者たち。その中心に立つ刻塚。


「行くぞ!」


瑠生の掛け声と共に、私たちは刀を振るう。


刀と刀がぶつかり合う音が響く中、私は思う。

これが私の歩むべき道。

白狐家の長女として、そして瑠生の伴侶として。


記憶を失っていた時間は長かったが、今こそ全てを取り戻す時だ。


「はぁっ!」


私の刀が、刻塚の刀と激しくぶつかり合う。


戦いの結末はまだ見えない。

だが、私には確かな未来が見えていた。


瑠生と共に歩む未来が。


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