Day22「雨女」

 実験室を出てふと廊下の窓の外を見ると、雨が降り出していた。夕立らしい。

 そういえば、いつぞや彼女がこんな雨の中でびしょ濡れになっていたなと思い出したところで。


「あ、村雨さん」


 案の定、びしょ濡れの今里さんがいた。

 何故いるんだ。


「雨女ですか、貴女は。いい加減学習してください」

「いやあ、今日は無性に雨に打たれたくなりまして」


 へにゃりと笑う彼女に違和感を覚えた。


 珍獣度に変わりはなさそうなのに。何処かこう。


「元気ありませんね?」

「へ?」


 素っ頓狂な彼女の声で我に返った。


 僕は今、何を。


「ふふ、村雨さんは今日もお優しいですねぇ」


 笑顔の彼女のやはり違和感のある返事。

 でもその違和感の正体が分からず、一人頭を抱えた。

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