Day16「窓越しの」

 休憩室でカップラーメンを啜っていると、ドアのスリットに人影が。


「今里さんですね」

「ふおお!」


 曇りガラス越しながら彼女の大げさな挙動がよく見えた。


「こんな細くて曇った窓越しでも言い当てちゃうとは、流石です村雨さん」

「窓ではなくてドアです。あと何やら嫌な予感がしましたので」


 休憩を阻害される嫌な予感が。


 しかし意外にも彼女は休憩室に入って来なかった。


「折角のお食事を邪魔する訳には行きませぬ。わたしは村雨さんボイスを胸に仕事に戻ります。御免!」


 彼女なりの恐縮だろうか、そう言って足早に去っていった。

 部屋に入らず食事していると当てられた不気味さと少しばかりの物足りなさを残して。



 物足りなさ? 夏で頭が狂ったか。

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