『霧の宇宙生物』

やましん(テンパー)

『霧の宇宙生物』


 『これは、『人類変性症』の、付録であります。』




大統領

 『黒い霧でも白い霧でも、真実を覆い隠す霧は、良い霧だな。』



補佐官

 『まあ、時と場合に依ります。』



大統領

 『そうか? 国民は真実を知る必要などない。それは、幸福の妨げだ。悪いことは、我々がすべて引き受ける。国民は、良いことだけ知れば良い。それが、政治だ。違うかね?』



補佐官

 『まあね。…… あ、きましたよ。時間通りだ。』



 巨大な宇宙船が、深い霧のなかを、空から降りてきた。


 やがて、なんだか、時代劇みたいな、※ペンタ・トニック、の音楽が響き、でかい、ドアが開いた。みな、息を飲む。



補佐官

 『なんと!』

 


 現れたのは、赤と、緑の、まさしく霧のような宇宙人だった!



補佐官

 『赤と、緑ですな。大統領。攻撃しますか?』



大統領

 『赤でも緑でも、真実を覆い隠すなら、良い霧だ。』



 (『隠された人類の記録』。もと、GCIA捜査官、マーダー氏の回想録、より。最近まで発禁だった。)    



     🙇🙇🙇



※ ペンタ・トニック=五音音階のこと。演歌などには多用される。













  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『霧の宇宙生物』 やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る