第1話
俺の住んでいる町は海沿いに面している。
なので、海の香りがする。
家から海までは坂を下りて踏切を渡ったところにある。
今日の気温は38度
白のTシャツにカーゴパンツという今日のコーディネートは
我ながらバカだったと思うような暑さだった。
「あっち~。今日は家帰るか。」
パッシャ
水の跳ねるような音がした。
ここの海岸は水着に着替えるスペースも海水を洗い流す洗う場もないので
海水浴には不向きな場所と近所では有名だった。
だから、人は誰も来ない。
だからこの場所は俺のお気に入りの場所だった。
{誰かいるのか}
砂浜は太陽に照らされて踏み込むのに少しためらったが
自分の中で湧き出る好奇心に背中を押され音のしたほうへ足を踏み出した。
「あっちぃ!」
そう呟きながら、熱に耐えるように足を躍らせながら砂浜を歩いた。
「なにしてるの?」
声のするほうへ目を向けると白い肌に麦わら帽子をかぶった
夏の海がよく似合う女の子がいた。
「いや、別になんもしてないよ。特にすることないから散歩してただけ。」
とっさにちょっと違うことを言った。
でも嘘じゃないのでまぁいいだろう。
「ふーん。」
そういうと俺に背を向けまた足を海につけた。
「あ、のさ、ここ洗い場とかないけどいいの?サンダルとか履くとき困らないの?」
「うん、大丈夫。」
人見知りをしているのか小さい声でそう返される。
「そう。」
横目で彼女を見てみる。
背は低くて、華奢な体形で、クラスの一軍女子のような外見をしている。
「なに?」
「え?」
「さっきから横目で見てたでしょ?」
まずい。気づかれていたとは、
「ごめん。珍しいなと思って。」
「なにが?」
「いや、さっきも言ったけど、ここ海以外何もないから、
君みたいにただ水に足だけつけて涼む子は珍しいんだ。
たいていの子はこんな暑い日に砂浜に入ろうとすらしない。」
「ふ~ん。」
しばらくの間、沈黙が続いた。
「じゃあ俺行くから、」
「うん。」
田舎での異性との人付き合いほどめんどくさいものはない。
知り合いに見られでもしたらほんとにダルイことになる。
足早に彼女から距離を取った。
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