イクヤの存在意義

@edage

第1話 僕は見つかってしまった。

 僕、有尾イクヤはイジメられている。18歳になる高校3年生の4月まではいてもいなくてクラスメイトには関係が無い、無関心、無価値、無意味、そういう存在だった。こちらから誰かに話しかける事はほとんど無く、逆に他の誰から話しかけられる事も必要最小限しか無かった。

 僕が通っている奈良県立国栖国際高校は普通科と英語科があり、1学年に大学進学を目指す英語科1クラスと頭が悪い普通科4クラスがある。低偏差値の普通科は他の高校に進学できなかったような底辺の集まりではあるが、クラブ活動は活発で女子運動部はいずれも強く、このおかげか学生の男女比率で女性の方が多い。女子運動部、特に女子サッカー部はインターハイ優勝経験がある強豪として有名であり、そのメンバーの存在感と言うか発言力が強い。こいつらに目を付けられて僕は高校最後の1年間を地獄の様なイジメで苦しむことになった。

 きっかけは、僕が夜に学校に忍び込み、お気に入りの女子が教室に忘れた物や置きっぱなしにしている物、例えば体操着、水筒、弁当箱、上履き、体育館シューズ等の匂いを嗅いだり、口に含んだりしながらオカズにしてオナニーをしていたことがバレた事だ。もちろん漁るのはこれが初めてではない1年生の時から何度もやってきた。県立の底辺校に夜間セキュリティなんてものは無く、宿直の年老いた用務員も22時頃には寝て見回り等していないからバレることは無かった。できるだけ自分のクラス3年2組を避けて、可愛い女の子が多い1組の英語科に忍び込んで物色する。僕はこの高校の中でさえ成績が悪い方だが、英語科の女子はうちの高校では成績優秀者の集まりで、普通科の脳みそまで筋肉かと疑いたくなるようなバカ達とは違い普通の常識人だ。僕が密かに慕う鶴見菫さんのロッカーにはオカズになりそうな物は無かったが、只鳥さんのには忘れて帰った体操着が残っていた。只鳥さんは小柄で可愛いお気に入りの子の一人だ。教室の電気を点けていないから暗くて気付かれるはずが無いが、ズボンを脱ぐ前に念のため周りを見回して教室に誰もいない事を確認してから始めた。廊下側の壁を背に床に座ってゆっくり体操着を調べる。体操着の上着は洗濯洗剤の匂いが強く汗の匂いはないが、しっとりと湿っていて使用済みである事が分かる。体操着を裏返して内側の背中部分に顔を埋めると汗の匂いが他より強く、湿りのせいか肌触りが滑らかで、只鳥さんを背中から抱きしめているような想像ができて興奮が高まった。左手で体操着を自分の顔に押し付け、右手で自分のチンチンをしごいた。

 いつもであれば終わった後、チンチンと床に落ちた精液を持参したティッシュで拭き取り、借りたアイテムを元通りに戻して、さっさと自転車で帰宅するところだが、自分のを拭いている時に突然教室の灯りが点いた。

 「1組で座り込んで何をやってるんだ?お前。」女子サッカー部の苦道さんと男子サッカー部の汚黒くんが教室に入ってくる。

 「いや、何もしてません。」急いでチンチン回りを拭き取るが間に合わない。

 「うわ、こいつ射精してやがる。」

 「つーか、普通にキモいんだけどー。」苦道さんが携帯を取り出し、下半身裸の僕の写真を撮られた。おそらく床に飛び散っている液体と只鳥さんの体操着も一緒に写っている。

 「お前ここでオナニーしてただろ?女子の体操着をオカズにして。なあ?」

 「いや、そんな…。」と否定しようとするが状況を説明できない。

 「じゃあ、この事を先生やみんなに言っても良いよね。」

 「いや、それはマジで勘弁してください。お願いです。見逃してください。」

 「ダメだね。」

 「何でも言う事を聞きますから、お願いです。」まだズボンも履いていない姿で二人に土下座してお願いをした。

 「ふーん“何でも”だな。じゃあ明日の放課後にまた話を聞いてやるよ。」二人は立ったまま僕を見下すような目で睨みつけた後、教室を出て行った。


 次の日の放課後、サッカー部の部活後に携帯電話で呼び出され、帰宅部の僕は一旦家に帰っていたが再度登校し2組の教室に入った。そこには苦道祥子さん、汚黒くんの他に何故か泡知悦子さん、枯林尚美さん、酷本早紀さん、弾地咲良さん、墓野くんと二人のサッカー部友達もいた。

 「あ~、来た来た。そこ座れよ。」苦道さんが僕に椅子に座るように命令する。

 「昨晩さぁ、汚黒と教室でヤってて、終わって帰ろうと思ったら有尾が隣の1組に入って行くのが見えてさ、何やってるんだろうと思ったら、コイツ教室の中でオナニー始めちゃってさぁ。」苦道さんが笑いながら説明しだした。

 「え、マジで!キモ~い。苦道さん見てたの?」

 「うん。暗かったけど汚黒と一緒に廊下から見てた。」

 「コイツ、女子の体操着を顔に被せながらシコシコやってたんだぜ。」汚黒が笑いながら付け加える。

 「最低ぇ。ウチらの持ち物でやってないよね?」

 「で、コイツが出し終わった後、電気点けて声かけたら超焦って「何もしてません」とか言い訳しやがるの。」

 「ダッサ~。」連中がケラケラ馬鹿にするように笑っている。

 「なんかぁ「何でも言う事を聞くから見逃してください」って必死なんだよコイツ。」モノマネをしながら苦道さんが面白がっている。

 「ホント、クズだな。先生にチクって退学にしようよ。」

 「まぁまぁ、ちょっと待って。何でも言う事を聞いてくれるらしいから、少し遊んでからにしようよ。ねえ、有尾?」

 「これ以上、他の人に言わないでください。お願いします。」他の連中に何でわざわざ教えるんだと不満だが、話がややこしくならないように椅子に座ったまま苦道さんに頭を下げた。

 「じゃあ、とりあえず~、ここでもう一回やって。」苦道さんからの命令。

 「え?」あれだけ気持ち悪いと言っていたのに、何を言っているのだ?

 「ウチらの前でオナニーしろって言ってるの。」

 「いや、無理です。勘弁してください。」

 「じゃあ職員室に行こうっと。」苦道さんが席を立って歩き出す。

 「待ってください。何か他の命令にしてもらえませんか。」僕も席を立ち苦道さんの前に出る。

 「はぁ?アンタ、私に意見が言える立場だと思ってるの?さっさとやれよ。」苦道さんが僕の太腿を蹴った。

 「すいません。やります。やりますから蹴らないで。」僕は観念して席に座りチャックを下ろしてパンツからチンチンを摘み出し、最低限しか周りから見えないようにした。

 「アホかお前。ちゃんとズボンとパンツを下ろしてやれよ。見えないだろうが。」

 「わかりました。」言われた通りに太腿までズボンとパンツを下げた。半起ちのチンチンを見られる。「え、あれ小さくない?」、「まだ起ってないからやろ」と泡知さん達が顔を見合わせているのを横目にオナニーを始めた。

 「もういいですか?」チンチンを擦って勃起したところで手を止めて、苦道さんに許しを請う。

 「良いわけないだろ、この前みたいに最後までやれよ。」

 「勘弁してください。みんなに見られていたら出来ませんって。」

 「続けろよ。見られてても起ってるんだから、出せるだろうが。」と苦道さんに言われた。確かに女子、それも複数の女子にオナニーを見られて興奮しているのは事実だ。男共が邪魔だがある意味僕のチンチンを女達に見せつけていると考えることもできる。この中なら強いて言えば枯林さんが一番好みだから、枯林さんがもしも僕の女友達で、笑顔で僕のチンチンを抜いてくれたら…と枯林さんのシャツやスカートの下を想像し、右手の動きを速める。

 「うわ~、コイツ枯林をジッと見てる。」、「チビメガネが尚ちゃんロックオン。」等と外野のヤジを聞きながら射精した。

 「ははは。ほらぁ、出せるやん。」

 「私、男がオナニーしてるの見たの初めてやわ。」と酷本さん

 「オカズにされるのマジでムカつくし、気持ち悪い。」と枯林さん。

 女どもに馬鹿にされたが、なんとか命令を果たしてこれで終わりだ。ポケットティッシュ等の拭き取るものを持っていない事に気づき、何かないか周りを見回す。早く後始末して家に帰りたい。

 「おい、有尾。」苦道さんから声をかけられて正面に向き直るとまた携帯で写真を撮られた。夕日の明るい教室でズボンを下ろしてチンチンを晒している姿をだ。

 「止めて、撮らないで。もう命令どおりしたからいいでしょ?」右手でチンチンを、左手で顔を隠すが撮られた後だ。手遅れだろう。

 「1回遊んだくらいで終わるかよアホが。また呼び出すから逃げるなよ。」苦道さん達は笑いながら教室を出て行った。

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