タワラ村③(下) ヒーロー

「不味い…!宿主が王様格の熊のせいで中々近づけない!!」

 金ピカ剣士が熊と戦っていたその時だった。


「おい…!助太刀に来たぞ!!」

 シーフード3兄弟のシーが助けにやってきたのだ!!


********


「貴方はさっきの…貴方は下がってなさい。ここは私一人で十分よ…!!」

 金ピカ剣士は俺に対してそう言い捨てる。


「はぁ…!?ふざけんなよ!!お前は一人で魔物と戦うことがどれだけ危険なことか分かってるのか!?」


「あぁ…分かってる。でも、私はから…貴方まで巻き込むわけには…」

 金ピカの言葉を遮って俺は続ける。


「あんた一人でこの化け物に勝てる保証はあるのか?生き残れる保証はあるのか!?お前とは何の関わりも持たない赤の他人だがな、お前が死ぬところを見るとこっちも気分が悪くなるんだよ!!

 いくら強くても一人で戦うなんて無茶だ。勝手で悪いが援護させてもらう」


 俺はそう言っての回復ポーションを金ピカ剣士に渡す。


「それ、回復するまで俺が持たせるからな…」


「あ、ありがとう…」


 何だ…普通にじゃねぇか。普通にお礼を言うを見て、俺はそう思った。


 正直言ってこいつに勝てる算段はねぇ…なぜなら俺は、からだ。

 兄弟の中でも一番の出来損ないで、な魔法しか使えなくて…だがな、俺は思いついちまったんだよ。


「植物ってのはに弱いんだろ?だったらなぁこれでどうだい?」

 俺は自分の剣に火の魔法をし、熊に横なぎをはらう。


「グルギャァ!!!!」

 俺の横薙ぎを喰らった瞬間、熊はジタバタとその場を暴れ出した。


「効いてる…!?」

 金ピカ剣士は驚きの声を上げる。


 そりゃあそうだろう。王都の剣士が苦戦するほどの魔物を、まさかこんなの餓鬼がんだから。


 そのまま俺は熊に燃える剣の蓮撃を与えていく!!


「どうした…!?ってわりにはずいぶん骨がねぇじゃねぇかよぉ!!」

 火を消したと思ったら、火をつけられその繰り返しになる地獄はさぞかし耐え難いだろう。


 そして、「これでトドメだァァァ…!!」

 と言わんばかりに火の剣を化け物に振り下ろそうとした。


 その時だった。


 ピュッ…


「うわっ…何だこれ!?なんかベトベトしてる…」

 化け物からドロドロとした液体が飛んできたのだ。それは甘く、鼻をならすと、いい香りがする。


「花の…蜜‥だ」


 クマの方を見ると、クマの背中から、美しくも毒々しい花が咲き誇っていた。


「くそ…がァァ……」

 剣は蜜だらけで錬成した火も、消えてしまっていた。俺は咄嗟に剣を振り下ろそうとするが、もう遅い。


 俺は後ろにふっとばされ、ものすごい勢いで木にぶつかった。

 自分の骨が折れる音が聞こえ、血が口から出てくる。しかし…奴はすぐそばまで迫ってきていた。


「ああ…手が…動かない……」

 ドスンドスンと迫ってくる足音の中で、俺は朦朧と呟く。


 は…は…自分より強い奴を助けたい…だ何…だって

 言ってたやつがこ…の有り様か。


 は…は…は…

 ふぅ〜…


 母……さん、父さ…ん今……そっち行くよ………


 妹と弟を残して死ぬなんて…

 なんてクソ兄貴なんだ



 ガキン!!





********


 

 俺は相棒のスコップで熊の攻撃受け止めながらシーに言う

「そうだな、今死のうなんて…とんでもない鹿のすることだ。

 それに…と呼ばれたこの俺が…

 …それを簡単の許すと思ってるのか?」


「…!…遅えよバカ」

 シーはみたいに目に溜まる涙を堪えながら言った。


って奴は、遅れてやって来るって言うだろ?」


 お前らに、俺の不思議な力について教えてやろう。俺の能力はありとあらゆる衝撃をカウンターする。つまり…

 …この脳髄まで腐った化け物に弾きかえすことだ!!!


 俺はこの化け物にシーの分を乗せた一発を、この化け物の腹に叩き込む!!

 

衝撃の報復インパクト!!」


 衝撃に耐えることもなく化け物は木っ端微塵となり、その破片は彼方へ吹き飛んでいった!!


「俺の友達ダチをいじめて生きて帰れると思うなよ、カスが」

 飛び散る肉片に対して、俺は一人呟いた。

















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