タワラ村③(上) 罠

「はぁ…はぁ…速いな、アイツ…」

 俺は必死に金ピカ剣士のことを追いかけていた。


 アイツ鎧着てるのに体力ゴリラか何かか?


 日が傾き、薄暗くなった森を俺は必死に追いかけ続けていた。

 そして…ふと後ろを見ると、さっきまでついて来たはずのシーフースーがいない。それに気づいた俺は、その場で静止する。


「どこ行った?アイツら…ったく。世話かけさせやがって…」

 その時だった…


 シュッ!!

 背後から投げられたソレを俺は回避する。しかし、どうやら少し、かすってしまったのか、俺の頬からは血がたらりと出てくる。

 俺の後ろから投げられたは、俺が本来いたはずの場所の、後ろの木に刺さった。と、その刹那…金ピカ剣士が木に刺さった剣を瞬時に抜いたかと思うと、俺に向かってそのまま強烈な横なぎをはなってきたのだ。


 俺はそれを瞬時に相棒でガードする。


「ほぉ…とうとう尻尾出したかさんよぉ。まさか一人になったところをなんてな」


 金ピカは俺が、そう言うか言わないかのうちに、自身の手から光る何かを放つ。


聖光の乱れ雨ホーリーシャワー

 奴の手からは光る雨のようなものが放たれる。


 まずい!!


 俺はしゃがみながら頭と臓器を、腕と相棒でガードするが、幾つかの雨が俺の体を切り裂いた!!


「痛えな…不意打ちなんて、《《剣士》)として恥ずかしいと思わないのか?」

 足や脇腹をかすった程度だが、ダメージは中々だ。

 俺は血を垂らしながら金ピカ剣士と向き合う。


 聖光の乱れ雨ホーリーシャワー…光、中級魔法

 光を雨のように分散させ、散弾のように対象にぶつけるって技だ。ソロンがたまに使っていたから覚えている。


 さて、どうするかな…

 俺は負傷しているが、幸いまだ動ける。奴との距離は。近づいて攻撃したら、その間に魔法で蜂の巣にされる。


 つまり、の出番だな。


「なぁお前、喰らったことあるか??」

 俺がそう言った瞬間、奴の動きが一瞬止まった。


 今だ…!


 俺は腕に力を瞬時に込める。

「なぁ俺がどうしてリペルソルジャーって呼ばれてるか知ってるか?俺の能力はありとあらゆる衝撃をカウンター。つまり跳ね返すことができるから…それがリペルソルジャーだ!!!」


 俺は相棒を思いっきり振り下ろし、スコップにかかった空気抵抗を空気の玉として弾き飛ばす!!


空気の衝撃砲パウンド!!!!」

 俺の正面にはもの凄い風が吹き、木々がなぎたおれ、金ピカは吹き飛ばされて遥か遠方の木に激突して…止まった。


「わりぃな…少しやりすぎちまった」





————————

 

 俺は、倒れている金ピカの元へ行き、試しに兜を脱がせてみた。すると…


「こ、これは!!」

 そこにあったのは人の顔ではない、の顔面だった。





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