翡翠さんの腋の匂いを僕だけが知っている。

明日から本気だす

プロローグ

突然だが、君たちは女の子の臭いを

嗅いだことがあるだろうか?




乳液とかとか、シャンプーとか

服にかかった香水とかの匂いじゃなくて、

もう少し生身の身体から発する匂い。




僕は今、実際まさにその場面に直面している。 




今、ぼくの眼の前には、腋がある。

従姉妹の、女の子の腋だ。




なんでこの状況が生まれたかは分からない。

ただ、突然、匂いを試してほしいと言われ 

連れてこられた。

 



ワンピースだけを着た彼女の腋の下からは、

かなり独特の臭いが放たれている。




ホットミルクのような、少し酸味もある、今まで嗅いだことのない甘酸っぱい匂い。







なんだこれすごい






「やっぱ...改めて恥ずかしいね...これ......笑」

そう言って彼女は頬を赤らめて恥ずかしそうに笑った。



うっわ......可愛いな。なんだこいつ…










いやいやいやそうじゃなくて!?


なんなんだこの状況?


なんで俺は女の子の腋を嗅いでるのか?


そしてなぜコイツははこんな恥ずかしながら

微笑んでるのか…?




 

もはや訳がわからない。














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私は今日、男の人に初めて腋の匂いを嗅がせた。

正直、恥ずかしかった。だけど、少し、興奮した。





私には腋臭の悩みがある。





きっかけは2年前、中2の夏、

水泳の授業で更衣室で着替えていたとき、

ほのかに牛乳のような匂いがして…



最初は給食室からの牛乳瓶の匂いだと思った。実際近かったから。牧場。

自分がこんな匂いを放つわけが無い。



「ひーちゃんってさ、何か腋の下から独特のにおいするよね。ミルクみたいな」

親友の白瀬ちゃんに言われて気づいた。



図星だ。



これは私の腋の匂いなんだ。って





でもこんなことクラスの皆には打ち明けられない。


惨めすぎるから。

私は、一応清楚キャラで成り立っている。



そんな私から腋臭を知られたら…恥ずかしいだけじゃすまされない…きっと黒歴史になる



だから、従兄弟の山田くんに頼んで腋臭を嗅いでもらうことにした......。




「翡翠さん......これ....一体なんなんですか?」


「いいから嗅いで

 匂いチェックだから

 すぐ終わる」



「…は?

いやいやいや 無理ですって!!」



「お願いっ すぐ終わる」



今、実際に嗅がせている。



「え…翡翠さん。。。。。。。。腋えっろ...........。」



「じろじろ見んなっ、」

 


「いや、、、見せてんのそっち.....

ガフッ」



「いいから黙って嗅げっ……」



人生で、一番恥ずかしかった

とても死にたくなりました。



もう二度とやらない






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今日、僕は彼女の腋を嗅いだ。


すごい匂いがした。


ムチムチだった。どうしても意識が肉体からのフェロモンと、匂いに吸い込まれた。




僕は、人としての尊厳を色々失った気がした。





西日が差し込む頃、

彼女は頬を赤らめてこう言った。




「ごめん山田………

明日も、朝、嗅いでくれないかな……」













..........は!?

















こうして、僕らの奇妙な、関係は、始まった







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2025年

7/19日 土曜日 

快晴 

最高気温37度  






最高湿度80%






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翡翠さんの腋の匂いを僕だけが知っている。 明日から本気だす @tthm0214

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