第26話 シルフィー、ラブコメ展開すらも1秒で破壊する。やはり奴隷は奴隷で残念美少女なのか

ヌキヌキベールとやらに、何故か因縁をつけられ決闘をすることになった。


正直行って、めんどくさいことこの上ない。

上級生からの申し出は断れない……か。


「シルフィーがこの決闘を断るってことはできないのか? 」


「当事者でもない人は断れないよ。……ルヴェールヴェー先生から説明あったはずだけど、ヘルク聞いてなかったのかい? 」


「俺が聞いているとでも思うか? 」


「ダーリンそこドヤるとこじゃないよ……」


「そんなアナタも素敵です♡♡ 」


「ツムギ……あんたあーしより盲目になってない? あれだけ真面目だったツムギが授業の言わばサボり行為を肯定しちゃうのびっくりなんだけど」


「恋は盲目……ってやつかな? 」


「きゃ〜♡ 」


三人でワイワイ盛り上がっている。

確かにツムギの変わりっぷりには俺も驚いている。


今じゃ真面目系は……ルナくらい?

ネルシーも真面目だけど、ただグループに属してるだけ、って感じだし。


「とりあえずセリカとも合流出来たし、また探しに上行くか」


俺がそう言うと、たたたっとメリアとツムギが走ってきて、メリアは背中にジャンプ。


「うおっ」


急に体重がのしかかってくるものだから、思わず声が出た。


「なによ……重いっての? 」


「うん、重い。とりあえずジャンプで背中乗るのは辞めてくれ」


「ひどーい」


普通にゆっくり体重を預けてくれればいいだけだろ……とは言わないでおいた。


「どうした? 」


ツムギは目の前まで来たが、そこから動かない。

ゆっくりと身体を近づけてくる。


あー、さっきみたいにお姫様抱っこして欲しいってことか。恥ずかしがったかと思えば、またさせようとしてきたり、どっちなんだろう。


お姫様抱っこをしてあげると、ツムギは凄く笑顔。

それをみて呆れるセリカ。


「えっ、これで歩いて移動するのかい……? ツムギちゃん以外と度胸あるんだ」


「意味わからんこと言ってないでお前もはやくこい。それとも一人だけ歩いてあいつら探すか? 」


「へ? 歩いて探す以外にどうやってーーー」


「つべこべうるさいぞ。ほら、いくぞ」


セリカの腕を引っ張って、【空中浮遊】でまた空に。


「……」


「おい、どうした」


「宙に浮いてる……!? こ、こんなこと有り得るの……いや、夢か。うん、寝よう……」


「なんだ夢だと疑ってるなら目を覚まさせてやろう」


「へ?


ぎゃあああああああああああああああああああああ!?!?!?!?!?!?!!!!?? 」


どんどん急降下していくにつれて、叫び声が大きくなっていく。そいっ、【ワープ】。


しゅいんっと落下していたセリカが、俺の元に。

ぜぇぜぇと息を吐いて、青ざめてる。


「な? 夢じゃいだろう」


「ダーリン、敵には容赦しないってわかってたけど、身内にすらもえげつないことするのね……」


「ひぇっ……じ、自分にはあんなことしないでね……」


お姫様抱っこされてニコニコなツムギも顔が引きつっていた。


「えげつないって……【ワープ】があるから瞬時に元の位置に戻せれるし、このくらいの距離なら落ちても死なんだろう」


「「「いや死ぬわ!!!!!!! 」」」




数分後……。


「あっ、シルフィーさんいましたよ。アナタ」


どれどれ。

ツムギが指した場所を見てみると、確かにシルフィーがいた。


「全員で降りてはまた登ってを繰り返していても疲れるだろうし、俺一人で行ってくるよ。皆はここで休憩しながら他のやつらを探していてくれ」


【空間生成】で、大きな足場と、落っこちないように念の為【防御障壁】の応用で周りを囲う透明な壁を展開してから、シルフィーの元に向かった。


「……うぇっぷ」


「行ってらっしゃいダーリン! 」


「行ってらっしゃいです♡ 」




地上に降り立った。

シルフィーは一人でぽつんと座っていたが、俺に気づくと顔を輝かせながら走ってきて、抱きついてきた。


「ヘルク様あ♡ やっと会えた」


「……やっぱお前はサークル嫌だったか。すまんな、こんな事に付き合わせて」


「全然いいんですよ。お姉さんなんだからたっくさんサークル紹介しよう!って張り切って、一緒に回ってたエニナさんに教えてたんだけど……」


「はぐれたか」


「はぐれました……ほんと、わたくしめってダメダメです。皆には個性があるし、可愛いけど、わたくしめには何一つ無いです。それに加えて、気にかけてくれてるエニナさんとはぐれてしまう始末。はぁ……」


落ち込んでいるシルフィーの頭をぽんぽんっとしてやる。

驚いたように俺を見上げるこいつの顔には一筋の涙が流れていた。


「嫌だったか!? すまん」


「この状況でそんなわけないじゃないですかあああ……もっと、もっと早くからヘルク様と出会っていたかったです……そうだったら、もっと……楽しかったのかな」


ほんとに、こいつはトラウマを抱えすぎている。

こんな純粋無垢な女……純粋ではないな。こんないい子を、自分たちのストレス発散の道具、サンドバックとして扱ってきたゴミ貴族への怒りがふつふつと沸いてきた。


「お怒りになられてるのですか……ふぇっ」


思い切りシルフィーを抱きしめる。


「な、なんですか急に!? 」


「もう絶対にお前が嫌な思いはさせない。絶対に……」


「……♡ じゃあ離さないですからね。奴隷なわたくしめを愛してくださいっ♡♡♡ エニナさんを探すためにわたくしめがヘルク様の足になります♡ どうぞ背中にお乗り下さいいい♡♡♡♡♡♡ 」


俺は驚いている。

つい数秒前まで、こいつは恋するヒロインみたいな感じだったし、すげぇ清楚だったはずだ。それなのに今はこれである。


四つん這いになって、無駄にでかいケツと太ももをこちらにどんっと見せながら、そう言っている。


……こいつは本人が望んでる通り奴隷が似合ってるのかもしれない。だけど、そんなこいつも大事にしてやろうって思ったのだった。


「ほらっ、早くわたくしめに跨って♡♡ 」


「うるせー」


こいつの首根っこを掴んで、皆が待っている上空へと上がって行った。


当然皆、一部始終を見ていたようで。


「なんで四つん這いなってたんですかシルフィーさん……」


「ダーリンがシルフィー抱きしめた時は、ちょーきゅんきゅんしてたのに、ものの数秒でわんちゃんのポーズしてたのウケるんですけど」


「ふ、二人とも!? 触れないであげようって自分言ったよね!? よね!? 」


「見られてたんですかぁぁ!? てか、ここどこおおおおおおおおおおおおおお!? 」


「見たら分かるだろ。空中だ」


「空中ーーーーーー!!!!!!!??????


脳の理解が追いつかない〜! 奴隷からペット枠に成り下がっちゃいますー!!! 」


シルフィーは色んな意味で大絶叫するのであった。


……人間のペット枠はマズイだろう。せめて、竜とかそこらで。


いやまぁ、さすがに竜がハーレムに加わったりはせんだろうが。


――――――――――――――――――

【あとがき】 「続きが気になる!」「面白い!」「ハーレム要因だヨシ!」「なんだ? フラグか?」と少しでも思って頂けましたら、 広告下からフォローと星を入れていただけますと、幸いです。皆様の応援が、執筆の原動力となります!よろしくお願い致します! ――――――――――――――――――

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