だからあれほど浮かれるなといったのに
悪本不真面目(アクモトフマジメ)
第1話
夏であることを否定することが出来ないほど夏の8月上旬。何気なく、何気なく僕はグミを食べようと思った。ほらここ最近、と言ってももう10年くらいにはなるかな、グミがすごいと聞く。しかし、僕はそれをスルーしてきた。特に理由はない。強いて言うならお金をケチったからだろう。
そこでコロロというグミがすごいぞと、ホンマモンの葡萄を食べているみたいだという事なので、随分前からそのことは知っていたが、スルーしていたので、この時、何故かふと食べてみるかと思った。
コンビニへ入り、グミの棚を見る。目には入っていたが手にしたことはなかったココロを僕は見つける。すると隣に男梅グミがあった。僕はお酒をめったに飲まないが、梅酒はちょっと飲み、その中でこの男梅サワーが美味しかったと記憶していた。
気にはなるなと思いながらも、今日はコロロを買うと心に決めていた。
店を出て僕が手にしていたのは男梅グミだった。ま、これも何かの運命だ。いやうめいんだ。梅だから。
パクっと食べると、しょっぱい。しょっぱい。しょっぱい。おにぎりをよこせ。パク、しょっぱい。しょっぱい。
僕は美味しいものを食べれた時、今日は勝ちと思う。美味い。このしょっぱさが癖になりもう一口と手を伸ばす。パウチになっているから衛生面も安心して外でもパクパク食べれる。すばらしい。これはいいものを手に入れた。
ココロも美味しいんだろうが、今日の僕には男梅グミだったようだ。勝ち確定の今日が決まったことで、これもふと、ふと思ったのだが、月島へ行こうと思った。
東京都月島はもんじゃストリートで有名で大阪に住んでた頃から聞いたことはあって一度行ってみたいとは思っていた。しかし、その大きなきっかけは最近観たアニメ「江戸前エルフ」の舞台となっているからだ。つまりは聖地巡礼ということだ。
ま、言ってもプチ聖地巡礼みたいなものだ。僕は電車へ乗り月島へ向かう。その間 もよくないが車内で、ついパクっと男梅グミを食べる。
もちろん僕は月島が初めてなので、乗ったことない路線の電車に乗ることになった。今でも何線なのか覚えていない。そんな車内でも僕は男梅グミをパクパク食べていた。暑い夏なのでこの塩分、しょっぱさを体が求めているから仕方がないのだ。
などと言い訳をぶつぶつ思いながらパクパク食べていた。僕はこの男梅グミのおかげでテンションが上がっていた。テンションが高いと落ち着きがなく、座ることが出来ず僕はガラガラの車内でも立っていた。
目の前にはモニターがあり自分とは無縁な化粧品の広告などが流れていた。それをボーっと観ながら男梅グミをパクパク食べていた。
男梅グミを嚙みながらモニターを観ていると、『注意!』という文字が出た。僕は他人事のように男梅を噛みながら「ほうほう一体何が注意なんだい?」と思いながらモニターを観た。
「梅毒注意!」
「・・・・・・」
僕はそーっと男梅グミを飲み込んでパウチを閉めた。封印するかのように。
この梅には毒がありますってか!?梅を食べている人が見たくなかった漢字二文字がまさか、僕の目の前に現れるとは誰が予想できたのだ!!
そもそも何で、梅に毒なのだ?性病なのだろう?僕は童貞なんだぞ!!なんでこんなにもダメージを食らわなければならないのだ!!あれか、この為か!この為に梅に毒という漢字をあてがったのか!?
僕は当初の目的ではココロを食べるつもりで、それが男梅グミをとって、別に月島に行くつもりもなかったけど、気分が良くなって行ってみるかとなって、テンションが高くなければ座っていたから、モニターを観なかったかもしれない。テンションが高くなければ、本かスマホを見ていただろう・・・・・・これがうめいんなのか!?
そういえば、僕はもう浮かれないと自分に誓ったはずだ。それは浮かれると必ず何かドーンと落ちるようなことがすぐにやってくるからだ。
タコを釣って上機嫌にしてたらヤクザまがいのおじさんに無理やり連れていかれそうになって、テンション高く走っていたらぶつかりそうになり、ヒステリックに怒鳴られたり。それは僕の不注意が原因だから、浮かれると注意力が散漫にもなるので、だからもう浮かれるのはやめよう。浮かれても得をすることを少なく、むしろ冷静でボーっとしている時の方が評価が良かったりすることが多い。
そうだ、僕は浮かれちゃだめなんだ。そもそも僕には翼がない。空何て飛べない。冷静に冷静に落ち着いて、テンションを上げず、浮かれず、ボーっと何も考えてないように、情熱を捨てて、冷まして、感情を抑え、抑え、そして自分を見失う。
だからあれほど浮かれるなといったのに 悪本不真面目(アクモトフマジメ) @saikindou0615
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