第7話 ママの暴走 嘘日記で煽られる

「おかえり、ミミ」

ドアを開けるとママはスマホを持って立っていた。

「学校どうだった?」

「うん?」

「先生は、また何か言ってこなかった?」

「忘れた」

「もう、ミミ! 本当の事言いなさい」


あの日の嘘を信じたママは暴走している。

スマホばかり見ている。


「SNSの教師批判アカっていうものがあってね、

そこでは素晴らしいアドバイスを貰えるのよ。

いい時代になったわ」


そこでの後押しもあり、ママの暴走はとまらない。

学校へ電話。

校長室への相談。

担任への誓約書。

アドバイスを元に、

いろいろやっているみたい。


担任の葉月先生が、会議室にミミを呼んだ。

校長先生もいる。

「ミミさん、あなたのお母さんが怒っているんだけど、

意味が分からないの。知ってる?」


何も言えなかった。


「あのねミミさん。

これから、警察の人が学校に来るの。

大変なことになっているの。

ミミさんにも話を聞きたいと言っているわ。


あのね、子どもに話すことじゃないかもしれないけど、

私には恋人がいてね、

二宮さんって言うんだけど、

その人が私に仕事を辞めるように言うのよ。


なんだか、先生、疲れちゃって。


今月いっぱい、次の先生が決まるまではいるけど、

その後は辞めますってお母さんに伝えて」


校長先生が目を閉じて、大きくうなずいた。



【日記】7月6日 雨

もう消しゴムのことは終わった。

先生のことは許している。

先生もいろいろ忙しいし、忘れることもある。

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