第3話 友だちの家って、こうなんだ……

リコちゃんが公園で遊ぼうって言うので、ママに頼んでみた。

「そうね、同年代の女子との付き合い方を学ぶのも、今後の人生に必要なことかもしれないわね。帰ったら、もちろんピアノ1時間。勉強3時間。食器洗いの手伝いとトイレ掃除もしてね。17時には帰っていることが条件よ。いってらっしゃい」

遊びに行かせてもらうので、手伝いがひとつ増えている。

ママは「ミミが将来困らないように、あらゆることができる女性に育ててあげている」のが口癖。

「はーーい。わっかりましたー」


公園では、リコちゃんとシオンちゃんがゲーム機で遊んでいた。

リコちゃんが声をひそめた。

「ミミちゃん、ゲーム持ってないの。だから、やめよう」

「じゃあ、うちに来る? うちでゲームやろうよ。」

ってことで、シオンちゃんの家にお邪魔することになった。


うわああああ、友だちの家って、こうなんだ……

おどろきは、必死で隠した。

家に入ると、靴がいっぱいある。

うちは、ひとり一足ずつしか玄関には置いてはいけないルールになっている。

部屋に入ると、うわああああああ

色んなものがある。

テレビでしょ

開いたマンガ本。よその家の子は、こういうの読むんだーー。

脱いだ服も何枚もある。

脱いだ服は洗濯かごにいれないと、ママは許さない。

こうやっても怒られないんだ。うらやましい。


大きな画面のテレビ。

「ゲームやろ」

シオンちゃんが言う。

「あの、ミミ、これ読みたいんだけど、いいかな」

リコちゃんが助けてくれる。

「あのね、ミミちゃんのママってきびしい人でマンガとか買ってもらえないの。

ゲームはふたりでやろう、シオンちゃん」


ということで、初めて少女マンガを手に取った。

マンガは面白かった。

ときめいたのは恋愛ものだ。

どきどきしちゃった。

主人公の女の子が告白されるシーンは、

すてきすぎて、さけんでしまいそう。

あーー、今夜はこれを思い出して眠れなくなりそう。

誘ってくれたリコちゃんに感謝。


シオンちゃんのママが仕事から帰ってきて、

「あら、珍しい子ね。ミミちゃんていうのね。またいらっしゃいね」

誘ってくれた!!

「はい。またおじゃまさせてください。えっと、言いづらいんだけど、母がきびしくて。シオンちゃんのおうちってリラックスできて最高です!!」

ああ、危ない。帰る時間だ。

遅れたら叱られちゃう。



【日記】6月29日 晴れ

今日は公園で遊んだ。

リコちゃんとシオンちゃんといろいろ話して楽しかった。

シオンちゃんの家に行かせてもらって、

良い経験ができた。

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