第2話

僕の名前は新内日和。

中学1年生。

一人称は『僕』だから、勘違いしただろうけど、僕は女の子。

性自認は女の子だけど、性志向はまだ分からない。


朝目を覚ます。

自分の力ではない、母さんが起こしに来てくれる。

あるいは、双子の妹である光が起こしに来てくれる。

光とは仲が良かった。

今は光の機嫌を取りながら接している。


今は夏休み中で、学校は休み。

だけど、塾の無い日は、家には僕だけしかいない。

光は女子バドミントン部で日々汗を流している。

3歳年上の兄である郁人はどうやら青春をITの勉強とアルバイトに捧げているらしい。

父である飛鳥は現役消防士で日々忙しくしている。

母である静恵は、最近パートを始めて平日の昼間は基本的に家にいない。


だから、結局僕を除いて最後に家を出る人は、家を出る前に僕を起こしに来るのだ。


1学期。

学校に通って知ったことは、僕は人と仲良くすることが苦手だということ。

中学校なのだから、小学校からの友達と仲良くすれば大丈夫、なんて勘違いしている人に教えてあげよう。

僕が進学した中学校に、同じ小学校の出身者は光しかいない。

僕も知らなかった。

友達を作ることがこんなにも大変なことだとは。

今まで僕は、光と近所に住んでいる幼馴染のおかげで友達がいたのだと、初めて気付いた。

自分の力で友達を作ったことなど一度もない。

だから友達の作り方が分からなかった。

入った部活のチョイスのせいで、女の子達と仲良くなりにくくなってしまったのもある。

僕が入ったのは、科学部で入部時の女の子は私と、今現在唯一学校で仲良くしてくれている渡会星美のみであった。

先輩には女の子がいなく、女子部員は私達が初めてだと言う。

その星美だって、色々あって今は卓球部に転部している。


学級内の男女比的にみても女の子は孤立しにくいはずであった。

男の子が7割、女の子が3割程度しかいないのだから。

人数にして14人程度。

たった14人しかいない女の子の中で孤立するなんて、中々ない。

その珍しい事態を起こしたのが僕なのだ。

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無題(考え中…) 玉井冨治 @mo-rusu

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